- Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167639013
作品紹介・あらすじ
天才技術者・本田宗一郎、名経営者・藤沢武夫の二人は、ホンダを創り、独自の文化を持つ世界企業に育て上げた。しかしホンダは、二人の創業者なき後、官僚主義や人事抗争などがはびこり、進むべき道を迷い始めた-世界的な自動車業界再編が進む中、ホンダの行く末を占う決定版。第27回大宅賞受賞作品。
感想・レビュー・書評
-
本書には、ホンダが創業期の二輪事業からモータリゼーションの波に乗って一流四輪車メーカーへと飛躍していく姿、そして創業者二人が一線を退いた後、子供たち(二人の薫陶を受けた社員たち)が二人の創業者を頼りかつ縛られながら会社経営に悪戦苦闘していく姿が克明に描かれている。
ホンダは結局、製品開発と工場運営を担当する本田工業と、資金を調達し販路を開拓し組織を管理運営する藤沢商会の、二重の組織が緊張感を保ちつつも微妙なバランスの上で何とかやってきた、奇跡的な組織だった。まあ、平たく言えば、天才肌で独善的な技術者・発明家の本田宗一郎を、実質的な経営トップである藤沢武夫が上手く使って一流企業へと育て上げた(藤沢が天才本田を「ホンダ教の教祖」に仕立て上げた」)ということになるんだろうなぁ。
世界で初めてマスキー法をクリアしたホンダCVCCエンジンが巻き起こしたセンセーションと、その後結局他社は採用せず、ホンダも三代目のアコードから採用を見送り、長く使われる標準技術にはならなかったCVCCのその後の顛末が、なんとも不思議。CVCCは、ホンダの技術力を世界に知らしめるためだけに一時存在した儚い技術だったなんて。
本田&藤沢のコンビ、大学発ベンチャーが成功するには、このパターンしかないんだろうなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私は地面に鼻がくっつくほど近づいてガソリンの匂いをかぎました。そこには文明の薫りがありました。(p.539)
そういう人間がいちいちラジエターの水をチェックしたり、確認するか。しないだろう。だからそれを確認する必要がない空冷がいいんだ。(p.227) -
ホンダ創業の話があまりにも面白く、もっと詳しく当時のことを知ってみたいということと伝説的な創業者が去った後、ホンダの子供達がどのようにして現在につながる軌跡を残そうとしてきたのかを知りたくて読んだ。
本の厚みが語るように(680ページ!)著者の徹底的なまでの取材能力のおかげでとても濃い内容だった。
自分が現在置かれている状況にもおおいに参考になり、今後の自分のビジョンをより明確に照らしてくれた。 -
この本の680ページは長く感じた。『陽はまた昇る―映像メディアの世紀』 (文春文庫) でも然り。読みきるには気合が必要だ。時間軸で話がすすむわけではなく、主要登場人物またはトピックスごとにお話がまとまっているので多少とまどうところもある。著者は書きたいことを書きたいだけ書いている風にみえる。2冊とも共通する感想である。この本のダイジェスト版があれば読者層も増えるとおもう。内容はホンダ創始者たちの苦労と後半は、あとを担う社員の苦労をながながと書き連ねる。読了後は普通の偉人伝にあるような勇気がわくわけでもなく、すがすがしい気持ちにさせるわけでもない。
-
サブタイトルに「教祖のなき後で」って書いてあるし、どうせ批判的なんだろうと思って読み始めたら、見事に期待を裏切られた。(良い意味で)
ホンダ創業期のトップ二人の出会いから引退まで、その間の成長の過程が丁寧に書き綴られている。(その後のお家騒動も若干。これも面白い)
著者は記者から作家になった人物だが、「何でそこまで知ってんの?」と思うくらい内部事情が赤裸々に書かれている。 かと言って、ホンダ万歳ではなく、あくまで中立的な立場で書かれているのが好感触。
戦後の焼野原から、今に至るホンダを築き上げたダイナミズムが文章からヒシヒシと伝わり、一読の価値アリ。 今の日本人に、こんなエネルギッシュな人はいるのかなぁ・・・
読んだのは2~3年くらい前だけど、もう一度読みたくなる一冊。 -
ホンダには2人の創業者がいた。
本田宗一郎の本田技術工業。
藤沢武夫の藤沢商会。
2人の天才が世界のホンダを作った。
戦後、焼け跡の中から産声をあげたホンダは、瞬く間に世界一のオートバイメーカーとなり、4輪者にも進出する。
今から考えれば信じられないことだが、ホンダは日本の自動車メーカーとしては最後発である。
まさに神話の世界。
「第二章 二人羽織」を読んでいると泣けてくる。 -
\105
-
クルマに関心が高い人、企業経営に興味がある人、本を読むのが好きな人には、面白いと思います。ノンフィクションであり、大河ドラマになりそうな、さまざまな出来事があって、出会いがあって、別れがあって、教えがあったり、そんな1冊になっています。