新装版 義経 (下) (文春文庫) (文春文庫 し 1-111)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167663124

作品紹介・あらすじ

義経は華やかに歴史に登場する。木曽義仲を京から駆逐し、続いて平家を相手に転戦し、一ノ谷で、屋島で、壇ノ浦で潰滅させる…その得意の絶頂期に、既に破滅が忍びよっていた。彼は軍事的には天才であったが、あわれなほど政治感覚がないため、鎌倉幕府の運営に苦慮する頼朝にとって毒物以外の何物でもなくなっていた。

感想・レビュー・書評

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  • いやー面白い!
    こんな天才的な人物ひどく惜しい。
    が政治的能力がまるでないので頼朝に嫌われるのも仕方ないかな。
    つい義経目線で読むので頼朝を憎みそうになるけど。
    大河ドラマ、今後の展開楽しみ!

  • 源義経の生涯を描く司馬遼太郎の上下2巻の歴史小説。数奇な義経の生涯を司馬遼太郎が料理し、一流のエンタメ小説に仕上げたという印象です。ブックオフの110円コーナーで見つけ、何気なく読み始めたらやめられなくなりました。

    義経の平家に対する怨み、一ノ谷、屋島、壇ノ浦の戦いで見せる天才的戦術、後白河院に弄ばれる幼稚さ、痴呆な政治的無感覚者ぶり、すでに危険視されている頼朝への思慕がテンポ良く描かれます。もちろん、日本人として義経の生涯を知っていますが、それでも司馬遼太郎の軽快な文章によって義経を身近に感じることができました。一方、戦術家としての義経の歴史的意義等にも触れられ、単なる歴史小説として終わっていません。

    本当に面白い歴史小説。「鎌倉殿の13人」の菅田将暉は本書の義経に近いと思います。

  • 歴史の舞台に華やかに登場する「源義経」の下巻。木曽義仲の討伐、平家一族を相手に「一の谷の合戦(鵯越)」「屋島の戦い(讃岐)」での奇襲戦法、潮流を逆手に取った「壇の浦の戦い」で大勝利に至るまでのくだりは、息を吞む間もない一気読みの痛快さ。 平家を討滅させた戦功が兄頼朝を狂喜させると信じた義経。その大功がかえって兄頼朝を戦慄恐怖させるとは思い至らず 「自分は鎌倉殿の弟である」の観念を拭えぬまま鎌倉幕府の露と消えた義経、朝廷安泰と称し、義仲、義経らを利用した後白河法皇の悪辣さに唖然・・・歴史の闇を知る。

  • なんぼヒーローでも阿呆はあかんのやなと思った。どうやって義経が死ぬのか知らなかったのでサラリと書かれていたのが残念。

  • 下巻でついに義経登場!という感じです。
    天才的戦術で勝ち誇っていくたびに、その後訪れる悲劇の種が何度も何度も描かれ、壇ノ浦のところでは「この戦を読み終えたら悲劇しかないー!」と思ってなかなか読み進められなかった思い出です。笑
    ですが悲劇の種が描かれていたからこそ、その悲しみを受け止められたかなと思います。
    最後はあっさりした終わり方ではありましたが、読みごたえはじゅうぶんにあります。

  • 義仲の滅亡から一ノ谷、矢島、壇ノ浦の戦いを経て義経の滅亡までを描く下巻。義経の戦における才能と裏腹に政治的才能も情勢を見極める事ができる家臣もなく、やがて落ちぶれていく過程が上手く描かれている。物語のきっかけとなる政治家の行家とうまく折り合えばと考えるが、それにしても歴史というものは際どい所で成り立っているものか。
    終盤はかなり急ぎ足で締めくくっており、その後の頼朝の状況や義経の敗走のエピソード、安宅の関での弁慶との勧進帳の逸話も触れることなし。弁慶は出会いこそ劇的に描かれているが活躍の場があまりなく残念。
    法王のあまりの俗人的なところは宮内庁あたりから文句が出そうな描かれ方で、ある意味人間臭さがあり面白い。
    ともあれ、物語としてとても面白かった。

  • 来年は司馬遼太郎作品を時代順に読んでみよう。義経は以前読んだので早速登録。読む前は絵本の牛若丸のイメージだったが、読んでみると義経の人物像が深堀されていて面白い。 軍事的天才は政治的には幼稚。バランスを欠いたキャラゆえに物語になるのかな。それにしても英雄や京男はモテてエエなぁ。

  • 戦での歴戦の雄でも思い浮かべられないような戦略と決断の早さ。一方で政治面の無知さや純粋さ幼さ。昔の英雄ならあたり前ではあっただろう好色さ。やはり切ない。追討の院宣が出て以降の最期は意外にシンプルに書かれているのが、多くのファンがいる義経への敬意なのかなと勝手に納得しました。

  • 歴史小説ってだいたい前半を苦労して読んで後半やっと面白くなっていく印象がある。
    だけど本作は初っ端から面白い。どんどん読める。義経の生い立ちからしてドラマチックだからかな。
    むしろ後半の死の予感が辛くて壇ノ浦あたりから読む気力がなくなっていってしまう。
    死ぬ時(エンディング)があっさり過ぎて取り残された感じの読了感だった。

    2つの視点から見て面白かった。
    一つは歴史的考察。
    朝廷という古くからの権威に対して新興の武家勢力。
    義経はある意味両勢力に踊らされて犠牲になったと言える。
    奥州、板東、京都の勢力図も勉強になる。

    二つめは義経という日本人が大好きなキャラクターの魅力。
    中性的で色白の小兵というルックスでありながら戦の天才というギャップ。しかも大の女好き(というかシモ半身が奔放w)という。
    マンガキャラ的要素満載で、これは愛されてきた理由がわかる。だからこそ夭折がつらい。
    派手に咲いて一瞬で散っていく。ロックスターみたいな感じかな。
    R.I.P

  • 小学生の頃、日本昔ばなしの「牛若丸」を観て以来の「判官びいき」です。
    今回、司馬遼太郎さんの作品を読んでみて、源氏と平氏の争いと言うよりは、源頼朝と後白河法皇の争いと言う印象を強く持ちました。
    今、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を毎週見ていることもあって大変興味深く読むことができました。

  • 日本人ならほとんどの人が知ってるであろう義経。
    日本人の義経像の形成にもかなりの影響を及ぼしたであろう小説。

    意外にも講談や多くの物語で取り上げられてい弁慶との逸話や、奥州落ちの物語が欠落して、最後はアッサリ終わっている。何かしらの意図があるのかな。

    いくらでも大冊にできたであろうに、文庫二冊に納めている。もっと書き込んで欲しい部分もあった。

  • 京都生まれだからか牛若丸は馴染みと親しみがあり、なんとなくな感じで好きだった。改めて歴史を知ることで京都人の判官贔屓が理解できたことでその根拠が解った気がした。
    義経の“青さ”と“不器用な実直さ”は魅力でもあり、それに弁慶たちも京都人もそして私も引き込まれたんだろう。
    また昔は弁慶は強いとの印象があったが、ただの強さではなく父親のような温かな強さであったと改めて感じた。

  • それぞれの心理描写が丁寧で面白い。欲を言えば、奥州への逃亡や、自害に至るまでも読みたかった!

  • 義経が後世の人々に愛される理由がわかった。だめなところがまた可愛く思えるのか。現代に生きてたらいいところ発揮できないだろうし、どんな風なんだろう。想像すると楽しい。生まれ変わった時には幸せに生きてほしいなと思う。

  • 面白かった。
    あえて、そこで終わるのかという結末。
    司馬さんの本は結構読んでたつもりでしたが、
    本当に楽しめた。2年も本棚で寝かしただけはあるw

  • 頼朝と義経の関係はなんとなく知っていたが、これほど憎悪に満ち溢れていたとは。。。意外な展開と結末のあっけなさ。

  • 平家追討の最大の功労者であり自分の弟でもある義経を、自分の武家政権擁立のために悪として誅する頼朝に対し、正義とは何なのかと考えさせられる作品だった。惜しいのは義経の最期。奥州に落ちてから、死の描写が完全に簡略されていることと、京、鎌倉、平泉の三竦み状態だったはずなのに下巻では平泉の情勢などが省かれてしまっていたのが心残り。

  • 大将としての義経の凄さと、それ以外の時の義経の幼さに、大きなギャップを感じて、そこがまた魅力なんじゃないかと思いました。
    京を離れた後、詳しいことは書かれていませんが、奥州へ逃れた時、自害した時は一体義経がどんな心境であったのか、非常に気になります。結局一度も頼朝と戦おうとはしなかった義経は、最後まで頼朝を慕っていたんじゃないかな...

  • 「司馬遼太郎そろそろ読まなきゃだけど『坂の上の雲』とか長いしどうしよう!」という、どうしようもない理由で買ってみた。入門として。
    が、後からフリークの人に話を聞いたところ、どうやら入門としてはアレな模様。
    一通り読んでみると、なるほどその通りかな、と思った次第。

    本書の義経像は、だいたい以下の3点に集約される。
    ・(多分に先天的な)戦術の際を以って、戦場で華々しい活躍をすることによってのみ存在意義があったこと。
    ・関東武士団を中核とする御家人集団からは、頼朝による秩序を乱す者として白眼視され続けたこと。
    ・私生活はぐだぐだで、かつ大した教養もなかったこと。

    というわけで、壇ノ浦で平家が滅亡した時点で、義経その人の存在意義も消滅したということになる。
    だから、そこから終わりまでの記述は非常にあっさり。もともとあっさりだけど、特に。
    でも、もともとが時代の相をマクロ的に描き気味なので、衣川まで引っ張って悲劇性を煽るよりは、すんなり受け入れられたのかもしれない。

    個人的にはドラマ的要素を求めちゃいなかったので、納得と言えば納得なのだけど、スペクタクルを求めがちな方にはお勧めできないかなあ。

  • 前評判は知ってたのだけど空気読めないお子ちゃまな義経、面白かった!

  •  この時代については「1192つくろう鎌倉幕府」程度にしか知らなかった。戦国、幕末と日本史で人気の時代がたしかにある。あるのだが、あえてわたしは『義経』を押す。律令制から武家政治に変革する変わり目に現れた天才義経はとても魅力がある。わたしの中では信長越えまちがいなし、なぜなら800年以上前に騎馬戦術を理解し行動しえたのだから、すごいとしかいえない。いつの時代も改革者は変人なのである。

  • 評価が低いように言われていますが、大河ドラマの平清盛、私は好きですね。中井貴一の忠盛がよい。この本で同じ時代を丁度裏表から眺めて見て面白い。判官贔屓。今もこの国に残る感覚であり、汎用表現。九郎判官義経。よく知っているつもりの物語も、やはり司馬遼太郎の物語で新たな納得感がありますね。決してヒーローではない。

  • 義経の儚い生涯を描いた作品。自分が欲しいものを求めただけなのに、それによって殺される羽目になる。世に生きるということは、時に理不尽であるのかもしれない。

  • 時代のヒーローではない義経がみえる小説です。

    華々しい戦果から天才と呼ばれ、浮き名を流す義経とは違った一面が読めました。

    精神的にも子供がそのまま大人になったようなその姿が逆に新線でした。

    また、公家の社会から武家の社会へと移り変わる政治的な動きが、現代に通じるどろどろとした物があり、非常に怖い。

  • 歴史小説はそれぞれの思い入れが入ってくるから、
    ほんとの史実は別にあると思う。
    しかし、この義経は少し馬鹿すぎないかと思う、
    逆に頼朝はそこまで完璧な人間であってかというところも疑問にわく。

  • 義経の華々しい合戦の描写はあるのだが、結局残るのは、
    鎌倉どの(頼朝)と白河上皇の役者が違う存在感だった。
    司馬遼太郎の大作は何度も読んでいるのでこの作品は片手間で書いているようなのは見ればわかる。
    片手間であるが故に、素の文章に近くて面白い。
    それにしても、司馬遼太郎はあまり皇室を描くのが上手ではないような気がする、もしくは好きではないのか。
    やはり、幕末ものに代表される武士を描くのが性に合っているのだろう。
    私も鎌倉へ行き、頼朝の墓に手を合わせた事をふと思い出した。

  •  歪な義経が次第に際立ってくる感じが、終幕の気配を掻き立てます。終わりの呆気なさは、伝聞物らしさが出ていいと思います。実は後白河法皇に支えられた物語だったのかも、と思って妙に納得しました。

  • 2022/2/11読了
    当時、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』もあって、タイムリーな内容であった。
    司馬遼太郎は、物語の中で義経と頼朝の対立の原因を、義経の「空気読まない」具合と共に、都人と坂東武士の思考回路・価値基準の違いに帰していたが、大河では、純粋過ぎ、強過ぎる故に、却って周囲から怖れられ、疎まれ、やがて兄弟がすれ違っていく悲劇を描いていたように思う。――それにしても、菅田将暉の義経はクレイジーで素敵だった。
    (どっちの感想だ?)

  • なぜ頼朝と義経がすれ違いつづけたのか、思想や価値観の違いがありすぎた

  • 1000年経っても残る判官贔屓の言葉、その人物と影響力の大きさは、日本史上の傑出した人物の一人であることを理解することができた。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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