物乞う仏陀 (文春文庫 い 73-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.87
  • (58)
  • (73)
  • (59)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 647
感想 : 81
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717919

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著書の作品はこれで5冊目の読了となりました。

    本書でスポットライトを当て照らし出されるのはアジア諸国で物乞いをしながら生きながらえる子供や障害者。

    いわゆる社会的弱者と呼ばれる人々を潜入取材した衝撃のノンフィクション。

    世界の他の国々よりも日本人としては親近感が持てるアジアの国々。

    目を覆いたくなるような事実と共に、物乞いで命を繋ぐ人々の日常が描かれています。

    彼等、彼女達が物乞いをしないと生きていくことさえ出来ない事実とそこに関わる戦争の悲劇やドラッグ、売春、臓器売買、マフィア...

    先天的に障害を持って生まれてきた方も含め、彼等に罪はない。

    むしろ国家や周りに居る人々が共に生きる為にサポートすることが必要。

    自分自身、振り返って出来ているのか?と問えば、出来ていないとしか答えられません。

    自分の中で何かが変わるキッカケとしないといけないと思いながら読み終えました。

    説明
    内容紹介
    アジアの路上で物乞いをする子供や障害者たち。彼らと共に暮らし共に食らうことによって、その実相を伝える衝撃の大宅賞候補作
    内容(「BOOK」データベースより)
    アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    石井/光太
    1977年、東京生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに雑誌や本に寄稿、そのほか、ペンネームでの写真発表やラジオ、漫画のシナリオなども手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • インパクトが強い。
    世界の状況(そっくりそのまま真実かはさておき)がわかる本。
    貧困から抜け出せない人々が仏陀の輪廻転生を信じる。それは、死をもってしか貧困から抜け出すことができないからなのだと思う。
    宗教になじみの薄い日本人には印象的な本だと思う。

  • 最終章のインドは特に衝撃的。
    前章の諸国も強烈だったけどどこか希望めいたものがあって暖かい気持ちになれたけどインドに関しては絶望しか無かった。
    この本は15年前に書かれたものだけど今はどうなんだろうか。
    いずれインドも含め東南アジアはゆっくり旅したいと思っているけど、石井氏ほどは無理としてちょっと踏み込んだ旅にしたい。

  • 神経をえぐられるような、重要な作品。

  • 内容が内容なのでなかなかヘビー。ゆっくり読んだ。
    読み進めているとなんだか夢見心地になってくる。『本当に起こっているのだろうか?』とすら思ってしまう。

    それだけ今が恵まれている証拠だろう。日本の場合、ストリートで生活する人たちは地方で生きることはほぼ困難で、都会に住む場合が多いように思える。それ故に、その景色を目の当たりにしたことが無い人達がたくさんいる。

    最も印象的だったのが『出来ることが物乞いしかなく、それを仕事にしているだけ。それがどうして恥なのか?』というフレーズ。培ってきたレッテルが剥がれかける瞬間であり、言葉では説明がつかない感覚だった。
    どの章からも、悲痛な叫びが今にも聞こえてきそうで、辛かった。それでも読んでよかったと思う。知らずにいることは出来ないと思うから。時には命をかけて取材を続けた著者に感謝したい。

  • 読み始める
    どうしても
    つらいところで
    立ち止まってしまい


    しばらく
    他の本に手を出して
    しばらくしてから

    また
    読み進める
    そして
    過酷なルポに
    ついつい考え込んでしまって
    しばし ページを伏せて

    また
    他のモノに手をだして

    の繰り返しを
    しながらも
    結局
    最後のページに至って

    ほっ
    と ため息をついている

  • 著者である石井光太さんがアジアの国々の物乞いや障害者を訪ね歩き、その体験をまとめた本。
    東日本大震災の被災地を訪ねた「遺体」を読み、深く心に刺さったので彼の本を他にも読みたいと手に取ったが、読みながら何度もつらさに手が止まった。

    彼が出会う人々は実に様々だ。
    戦争によって障害を負っていたり、先天的に障害を持って生まれたり、そして貧しさ故に障害を負わされた場合もある。障害を仕方のないものと受け入れる人もいれば、これは自分の業が悪いのだと諦める人、乞食という仕事にさえ誇りを持つ人もいる。
    特に胸がつまったのは、インドのレンタチャイルドの実情だった。
    彼らは幼い頃に誘拐され、物乞いする大人たちがより自分を可哀想に見せるために貸し出される。そして、子供としての商品価値が無くなれば腕や足を切断されるなどして、次は自分が乞食をさせられるのだ。
    こんなことが世の中に起こっているのかと、衝撃だった。
    もちろんもしかすると今現在では状況は多少なりとも良くなっているのかもしれない。ただ、わたしにはそうして暮らしていくことが普通になってしまった場所がそう簡単に変わるとは思えない。

    日本で普通に暮らしていて想像する「障害者」とはまったく違う彼らの暮らし。
    いつか世界中の人々が、普通にやりたいことをやり、幸せに暮らせる時代はくるのだろうか。そもそも幸せな暮らしってどんなものなのだろうと途方に暮れた。

  • ルポルタージュ風だがフィクション的文調。お金を払って読もうとする方にはここが最大の焦点。
    個人的には強烈な違和感も、既に醸された物議。著者の明確な意図に基づくものと判明している。
    そういう意味ではこの酸鼻なるタイトルは中味に如実。著者の恣意的な文学表現付き印象操作に惹かれる方にはお勧め。そうでなければ、出来損ないの私小説のような語り口に吐き気を催すだろう。
    ただ取材の内容は素晴らしく期待を満たすものであることは保障できる。
    著者が好ましくない私は星4をつけました。

  • [ 内容 ]
    アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。
    そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。
    カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。
    アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。

    [ 目次 ]
    第1章 カンボジア―生き方~買春と殺人
    第2章 ラオス―村~不発弾と少数民族
    第3章 タイ―都会~自立と束縛
    第4章 ベトナム―見守る人々~産婆と家族
    第5章 ミャンマー―隔離~ハンセン病と信者
    第6章 スリランカ―仏陀~業と悪霊
    第7章 ネパール―ヒマラヤ~麻薬と呪術師
    第8章 インド―犠牲者~悪の町と城

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 同じ作家さんの本を続けて読むのは3冊くらいまで、と、なんとなく自分の中で考えているのだけど(やはり、なんとなく飽きてくるので)、どうしてもハマりやすい体質のため、次々に読んでしまう。

    重いー。
    ベトナムやタイ、行ってみたいなーと思ったりした時もあったけど、とてもとても・・・。

    同じ人間なのに、こうも"生きる"ということに違いがあるなんて。

    だけど、笑顔があるのっていい。

著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石井光太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×