死神の精度 (文春文庫 い 70-1)

著者 : 伊坂幸太郎

• 文藝春秋 (2008年2月8日発売)

感想・レビュー・書評

[みーさんの感想 · 2024年2月10日]

設定が斬新！「恋愛で死神」「死神対老女」が特に好きだった。
どれも死にまつわることだけど、淡々として普通の感じが良かった。（どう考えても普通のお話ではないんだけど）
だけど、友人などにおすすめしたいと思うほどハマらなかった…。伊坂さんの他の作品はまた読んでみたいです。

[のりてばさんの感想 · 2023年11月19日]

死神という非現実的な話なのにそれを様々な人生に落とし込んでいて違和感なく読み進めてしまう。人と死神との会話のズレも楽しみた。短編集でもいくつかの話が最後に色々と繋がったのがなんか嬉しい。

[りょーさんの感想 · 2023年4月11日]

死神が主人公の小説ってなかなか珍しいような気がするが、普通に面白かった。今作品も前の作品に登場した人物がまた登場したりして、他の井坂作品と同様に楽しめた。人間が作ったミュージックをこよなく愛するクールな死神、千葉の設定も伊坂作品らしい。死神だからか時間軸がおかしく、短編同士の関連があっても時はかなり経っていたりしていた。

[ひゃっほうさんの感想 · 2022年11月4日]

あっさりとしています。
“死”という重いテーマを扱っているにも関わらず穏やかに書けるのは、ある意味すごいのでは。

１週間、特定の人間について調査をし、死ぬべきか否かの判定を下すのが、主人公である死神の仕事。
基本的に“死”という決断を下すのだけど、だからといって冷酷でも残酷でもなく逆にほのかな温もりが感じられました。

個人的に好きだったのは「死神と藤田」。

この作品を読むと
「棺桶の釘を打たれるまで
　何が起こるかなんてわからない」
という台詞の意味が分かるような気がします。

[水野さんの感想 · 2021年2月1日]

伊坂幸太郎さんの作品を初めて読んだ。

死神目線で繰り広げられていくストーリー。
かなり面白かった。
情に流されて死を止めたりしないのも、
短編同士に少しの繋がりが見られるのも良かった。

特に好きなのは「死神と藤田」の回。

[ポプラ並木さんの感想 · 2020年8月11日]

主人公は死神、名前は千葉。不慮の事故で死ぬ1週間前に死の候補者と出会い、本当に死ぬことに「可」でいいのか、「見送り」するべきなのかをこの死神が判断する。通常は「可」。死神は人間ではないので、死の候補者との意思疎通がとれない。殆どの死の候補者が死神（千葉）と話して、「あんた、面白い人だな？」「あんた、いったい何者なんだ？」。んっ？、この死神は缶コーヒーCMのトミー・リー・ジョーンズなのか？と思わせる程。6話の天丼。ごめんなさい、この話は自分には合わなかった。読んだ感じは「重力ピエロ」と同じかな。

[ぺいしゅんさんの感想 · 2020年1月25日]

初、伊坂幸太郎。
クールな死神、千葉さん。付き合いがよくてけっこう人情味あるよなぁと思うんだけど、基本的に”可”なんですよね、やっぱりクール。

[吾妻燕さんの感想 · 2019年11月24日]

正直に言って伊坂幸太郎ワールドは私の心の琴線に触れないというか、あんま得意じゃないなーと思っていたし、そもそも短編集自体が苦手だから何故購入したのか分からぬまま積んでいた。

けれど、読んでみたらびっくり。短編集だけど短編集じゃない。
特に最後『死神対老女』では「えー！うっそ、ここで“あの話”と“あの話”が繋がってくるの！？」と驚愕の声を上げたくなるほど華麗に伏線回収されるので、本を閉じた後は、短編集というより一つの連作を読み終わった気分になった。
純文学みが感じられて良き。千葉さんの、死神故にどうしようもなくズレている感覚もまた良き。めっちゃ面白かった。

[miura1202さんの感想 · 2019年11月12日]

度々出てくる登場人物の哲学的な発言に引き込まれました。小説の終盤で美容室のおばあさんの言った「若者を怒らせてこその年寄り」には、この本が出た2005年当時の老人たちの「俺たちの時代みたいに、もっと若者はデモとかをして体制（政治）批判しろよ」という若者ばかりを責める意見に伊坂さんなりに違和感を感じていたのかも、と思いました。物語も、最終話には少し驚きもあって全体的に良い話が多くて楽しめました。

[ゆげさんの感想 · 2019年7月28日]

流石としか言い様がない。
伊坂ワールド。

死神のキャラクターといい
伏線の張り方といい
もう、感服。

恋愛→老女 この繋がりは特に素晴らしい。

恋愛は特に印象深く、何故死神が【可】としたのか、、、と思いを巡らせていた。
そして、まさかの最後老女で、残された彼女のその後の人生に巡り会うとは、、、。

涙すら出そうなった。
そして、老女に死神はどちらの判断を下したのだろうか。
そこにもまた思いを巡らせるのであった。

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。