死神の精度 (文春文庫 い 70-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167745011

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は死神、名前は千葉。不慮の事故で死ぬ1週間前に死の候補者と出会い、本当に死ぬことに「可」でいいのか、「見送り」するべきなのかをこの死神が判断する。通常は「可」。死神は人間ではないので、死の候補者との意思疎通がとれない。殆どの死の候補者が死神(千葉)と話して、「あんた、面白い人だな?」「あんた、いったい何者なんだ?」。んっ?、この死神は缶コーヒーCMのトミー・リー・ジョーンズなのか?と思わせる程。6話の天丼。ごめんなさい、この話は自分には合わなかった。読んだ感じは「重力ピエロ」と同じかな。

  • 再読の感想です。初めて読んだ時は心が動いた感じがしたと思ってました(星4位の評価)が、今回はお話しとしてすんなり読み終わってしまいました。
    死神の千葉が対象者の身近に現れ1週間をすごし、判断をくだす6つのお話しでした。
    当たり前ですが、色んな人生があるんだなと感じました。

  • 私は本にはそれなりの方向性がなければいけないと思います。 一貫した論理の下で展開されない本は、完成度において重大な欠陥が生じるしかありません。 その点でこの本を読みながら、その方向性は一体何なのかを悩みました。

    クレーマーに苦しめられたOLが経験した苦痛が、実は誤解に過ぎなかったというエピソード、ヤクザの抗争エピソード、毒殺(事故死?)エピソード、誘拐犯誤認殺害エピソードなどなど。 この本の短編は、概して超越的な存在である死神千葉の視線を借りて、人々の文字通り命をかけた人生を滑稽に描写しています。

    そのように精一杯人々を笑いものにしておいて最後には感動的な結末を下そうとする地点では一体これは何の物なのかという考えを止めることができませんでした。 これまでシニカルな千葉の視線を通じて、あたふたと生きていく人間たちを精一杯嘲弄したなら、せめて最後までその一貫性だけは維持してほしいものでした。 感動的で人間的な最後のエピソードの存在が、それ以前のエピソードの登場人物をさらに馬鹿にする気分でした。

    暇つぶし用ならともかく、熟読するには少し足りない死神の精度でした

  • あぁぁっ!そうですよね!伊坂幸太郎ってこういうことするんですよ!っていう読後感。
    伊坂幸太郎は、細かいところの設定がガバガバなんだけど、「僕はここでは全部は話しませんけど、大体こんな雰囲気の事情です、君たちはこれだけ知ってれば十分ですから安心して下さい」という感じに仕立ててくることがあるじゃないですか。この小説もまさにそんな感じです。
    非常にうまく機能している(という設定の)死神システム下で勤務している死神が、様々な生者に会って、ブラックボックスの判断基準によって生死を決定していく話です。読者に与えられる情報が絞られているので、頭を使う余地とかはないです。
    シチュエーションを楽しむ小説。

  • 結局人間を達観して評価を下す死神にとって人間はどう映るのだろう?猿の祖先?アダムとイブの子供?どれにせよ、人間を測るものさしなんてない。人の人生それぞれに意味があると死神は感じたはず。死神の人を測る精度なんてもうぐちゃぐちゃ。伊坂幸太郎らしくしっかりと伏線も張り巡らせてあります。

  • 死が近づいてきた人に人間の姿をした死神が近づき、死を可とするか、見送りとするか判断するお話。
    ひとつひとつのお話は、のちに繋がるんだろうと勝手に思い描いてしまって「あら?」となってしまった。
    最後繋がっていた話もあったけど…。映画にもなっていたので期待値だけが大きくなってしまったのかな(汗)

    • ノス太郎さん
      僕も期待を裏切られた気がしました。せっかく魅力的な設定なだけに残念です。
      僕も期待を裏切られた気がしました。せっかく魅力的な設定なだけに残念です。
      2011/10/18
  • 初伊坂さん。おもしろいけどもっとぐいぐいきてほしい。
    要は、人間に対してイロイロ言いたいのね。

  • 最近 何かとよく話題となっている30代の新進作家である。
    この人の書いたものを読むのは本書が初めてだ。

    それにしても、

    『死神の精度』

    なんとも魅惑的なタイトルだと思う。
    作家の洗練されたセンスがよくわかる。
    (この作品は映画化もされている。)

    主人公は「死神」。
    「死神」といっても黒っぽいローブを着て大きな鎌をもった骸骨のような姿ではない。
    「死神」は、時に容姿よく、時に若く、時に年老い、人間と変わらない姿で街を歩いている。

    「死神」は、死を予定された人の前に現れて7日間にわたる調査(予定された死を可とするか不可とするかの調査)を行う。
    そして、8日目にクライアントの死を見届ける。
    なぜだか「死神」が仕事をする時は決まって天候が悪く、雨か雪が降っている。

    そんな魅力的な設定で小説は書きだされる。

    が、正直がっかりした。
    あれだけ騒がれているのだから、伊坂は将来の大器かと大いに期待していた。
    「死」をテーマに扱う作品としては内容が薄っぺら過ぎる。
    「死」に対する特筆すべき考察も見られないし、物語進行も単純である。

    同じミステリ作家の山口雅也は、自身の書いた小説『生ける屍の死』の中で、「死」について考察を重ねに重ね、一大作品を作り上げた。
    「死者が次々とよみがえるような状況の中で、殺人事件とはいかなる意味を持ち得ようか」
    「死後の想定できない状況の中で宗教とは何か」という問題を徹底的に問い詰めた。

    伊坂はこの山口の姿勢を模倣しないまでも、少しは見習い、「死」「死神」を考えるべきではなかったか。

    「死神は死なない」「人間はいつか死ぬ」
    この二つの命題がひっくり返されない大前提だとしても、この重要なテーマを安易に扱うことにはもう少し疑問を抱いてほしかった。

    と、読み終わって僕は思います。(2月12日読了)

    • Sizukenさん
      私も、この作品には疑問を持っている一人です。こんな薄っぺらい作品の評価がなぜ高いのか、どうしてもわからないんですよね…。

      伊坂作品を語れる...
      私も、この作品には疑問を持っている一人です。こんな薄っぺらい作品の評価がなぜ高いのか、どうしてもわからないんですよね…。

      伊坂作品を語れるほど読んでいるわけではないのですが、恐らく彼の持ち味は「話の繋げ方・回収の上手さ」と「ドタバタ群像劇」にあるのではないかと感じています。
      その点が十分に活かされ、「ゴールデンスランバー」や「グラスホッパー」はクオリティの高い作品に仕上がっていました。もちろん、私の好みのジャンルであるという補正はあるでしょうが、差し引いても「ゴールデンスランバー」の終幕は芸術的です。

      伊坂幸太郎は、死がどうこうといった重い作品には向いていないかもしれません。もしよろしければ、上記2冊などで是非違う側面から伊坂幸太郎を評していただけると、少なくとも僕はおもしろい思いができます :)
      2010/08/19
  • 「荻原はどう考えてるんだ? 恋愛とはなんだ」
    「それが分かれば世話ないですよ。でも、たとえば、自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりするのって、幸せじゃないですか」
    「同じことを?」なんだそれは。
    「たとえば、同じものを食べた後で同じ感想を持ったり、好きな映画が一緒であったり、同じことで不愉快さを感じたり、そういうのって単純に、幸せですよね」

    「恋愛で死神」p.172-173

  • 昔伊坂幸太郎の何かを読んで好きじゃないと思いつつ、時がたったいまは違うかもしれかもと期待して読んだけどやっぱり苦手。なんというか設定も曖昧だし割りとありきたりだし色々とチープ。きゃー!!この方ファン多いのに結構なこと言ってしまったー。

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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