産業医のファイルから こんな上司が部下を追いつめる (文春文庫 経 2-1)
- 文藝春秋 (2008年9月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167753085
感想・レビュー・書評
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今年120冊目。
■ホーソン実験 -
産業カウンセラーが過労やうつの原因として上司と部下の関係性に焦点をあてた内容。
事例が多く参考になる。
メンタルヘルスは予防と起きたときの早期対応、復帰のしかたがポイントだと思うが、これだけ事例が増えても対策が浸透していないのは、
ひとりひとりの症状と環境にあわせていくことが必要だからだと思う。
起こらなきゃ一番いいんだけど、上司も部下も読んでおいたらいいと思いました。 -
巷にはメンタルヘルス対策の本や、ビジネスの視点からの管理職の手引きのような本が溢れているが、本書は企業の産業医として活動する著者からみた、「上司に求められるもの」を具体的に示した、きわめて実践的な書である。
職場が原因で起こるメンタルヘルス不全をどう防ぐか。そのポイントを著者は職場の「雰囲気づくり」にあるとし、それを主導できるのが「上司」と呼ばれるポジションにいる者であると論ずる。
質問しにくい雰囲気や、失敗を必要以上に責める雰囲気(もちろん場合によって叱責が必要なことはある)、過度に従業員に対して恐怖を植え付ける行為、こうした諸々の要素が「上司」によって形成されることで、その部下には本人でさえ受け止めきれないほどの精神的重圧、あるいは傷害が与えられるのである。
こうした事態を防ぐための方策を、著者は自験例をもとに具体的に述べる。また、不幸にして精神的・肉体的に限界に達しつつある社員に対してどう接するべきかについても指南しており、その内容はさすがに産業医という会社の組織論理を熟知した職種であるがゆえ、具体的かつ的確である。
ぜひ企業の人事部門担当者や衛生管理責任者、そして、人の「上司」となっている方々に一読をお薦めしたい良書である。 -
かつては,自分が苦しみ嘆いている状況だった。このような本は,部下の立場で読み,それで救われることもあった。また,いつかはよい方向に変えていけると思っていた。
でも,世の中の状況は変わっていない。身近なところでは,わたしの時代と比べたら格段によくなっていても,問題がなくなるばかりか,その幅が広がっているようにも思う。もっと複雑な様相だ。
本書に出てくる事例は,極端なようではあるが,いまでも実際にあり得ることだろう。特に,正社員ではない不安定な状況ではなおさらだろう。仕事があればよい方だという声も聞こえてきそう。
現場を知らないで指示を出す。強引にやらせようとする。そこには,組織としての問題もはらんでいる。できそうにないことを目標に掲げる。現実に目を向けようとすれば批判される。戦時中のような組織では,いつかは破綻する。
精神論ではなく,きちんと指導し,わかり合って進めていくことが理想だと思い,これまでやってきた。しかし,現実はそれほど単純ではない。なかなか伝わらないため,わかり合うと言える状態に到達できない。伝え方が悪いのかとも思ったが,伝える内容にも問題があるのかもしれない。
理屈だけでは解決できない。50を過ぎて,多少は人間味が出てきたのか,そのようにも思うようになった。理詰めで諭して,がむしゃらやって見せたところで,お互いに苦しいだけなのかもしれない。
上司から部下へという一方通行では解決はできない。部下から上司への情報も重要だ。また,部下同士のコミュニケーションが大切だと思う。上司に多くの部下がたこ足配線のようにつながっている組織では,うまくことは運ばない。
本の感想ではなく,自分自身の反省や悩み,単なるぼやきになってしまった。でも,上司・部下の別なく,考えてみることは必要だと思う。 -
産業医が仕事を通じてみた過労死等の実態。
過労死という言葉が意味するのは、
「過労働」ではなく、「過疲労」。
過労死の共通点は、
肉体疲労だけでなく、精神的疲労が大きく影響する。
・会社(上司)が部下をモノのように扱う。
・休日出勤を会社の命令で強制されている。
・極端な責任と業務量
などが共通ケースとしてあげられる。
自分で業務量を調節できるうちは忙しくても、
過労死にはなりにくいそうだ。
思い切って産業医に相談し、
長期間休む等をすると回復しやすい。
ケーススタディができるので、
知っておけばイザという時、役に立ちそう。