深淵のガランス (文春文庫 き 21-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753573

感想・レビュー・書評

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  • 途中までしか読めずに返却。
    北森氏の作品にはちょっと気取ったミステリアスイケメン&レディが多い気がするが、このシリーズの主人公もそういうタイプ。清涼院みたくやりすぎるとちょっと気持ち悪いけれど、北森さんくらいのだとイヤミなく読み進められる。

    美術品を主軸にしたミステリというのも好感度が高い
    (あんまりないから

  • ・深淵のガランス
    ・血色夢
    ・凍月

  • キャラクターが生き生きしていて楽しめた。

  • 面白い。
    かなり専門的なことも書いてあるけれど
    天才的な技術を目の当たりにできる感じで
    とても、いいです。

  • 東銀座に事務所をかまえ、花師と絵画修復師の二足の草鞋を履く
    佐月恭壱は「確かな筋」から受けた仕事でありながら
    何故かトラブルに巻き込まれる。
    美を巡る世界に巣食う魑魅魍魎はどこにでも顔を出す。

    オリジナル(原作者)と同様の心を持ち、それ以上の腕がなければ
    成し得ない修復の技。
    ミクロとマクロの作業を同時進行させる精神力。
    一歩間違えれば贋作者に転落する危険を伴う仕事。
    恭壱が修復の作業に入った時は読み手も緊張する。
    思わず息を殺して活字を追ってしまう。

    恭壱と一緒にいる善ジイもすごくいい!
    恭壱の修復作業に必要な道具&材料を絶対に集めて来る。
    この人の情報網も侮れない。
    あの、洒落にならない悪戯は最高だったわぁ~

    そして何より驚いたのが、女狐女史って
    あの人だったのね・・・気付くの遅かった・・・
    女って・・・怖い(-。-;)
    続編も読むぞ!

  •  花師と絵画修復師の二つの顔をもつ佐月恭壱。
     彼は修復を通して、絵画の奥の謎を明らかにする。

     北森鴻は、どれほど引き出しを持っているのだろう。
     民俗学者、骨董商、ビール専門バーの店主に、寺男、どれも専門知識を駆使してミステリーを超えた独自の世界を作り出している。その世界の一つに、絵画修復師が加わる。
     読み始め、骨董の世界との近さを感じた。が、読み進めるにつれてそれは全く違う世界なのだと思い知らされる。
     骨董が、作られた世界を守るものであるとすれば、修復はある種の破壊と再生なのだ。
     総髪、作務衣に雪駄という時代がかった佐月の姿は、修復をする絵における<神>たらんものであるのかもしれない。
     と、いつものように人物造詣が上手い。
     花師としての高慢とも言える態度や、時代がかった服装も、佐月をむしろ孤高の人として、そういう明らかな表現をなしに、描くことに成功していると思う。それは、修復という薄氷を渡るような作業の切なさも内包している。

     ミステリーとしてももちろんとてもよく完成されている。
     とくに表題作の「深淵のガランス」は最後まで息のつけない展開で結末に思わず感嘆の声をあげてしまった。
     「凍月」では、若き日の佐月が描かれている。
     まだまだ謎の多い佐月なのである。

  • 短編3つのはずなのに、長編並みに重い。読み応え充分。

  •  作者の作品としては、標準レベルか。 しかし、よく勉強して作品を書く作家であったなぁ、と思う。 必ずしもファンというわけではなく、また熱心な読者でもなかったが、結構好きで作品を手に取っていた作家だけに、物故したのは何とも残念。 しかし、一度読んだことがある作品かどうか、書店に行ってもにわかに判断がつかないのは、ちと難儀。

  • ★あらすじ★銀座で花師を営む佐月恭壱には、凄腕の絵画修復師というもう一つの顔があった。塗り込められた油絵の下には何が隠されているのか?表題作他、厳寒の地で見つかった古代壁画を命懸けで修復することになる「血色管」を併録。
    ★感想★北村氏お得意の芸術もの新シリーズ。「深淵のガランス」の隠された絵を表に出そうとする者と死守しようとする遺族との攻防や、「血色管」での壁画に使われた画材・当時の状況を分析していく過程は、充分ミステリとして楽しめます。寡黙な男・佐月の絵画修復に懸ける執念。こういう特殊な世界に生きる人物を描かせたら、北村氏は本当に上手い。それにしても登場人物みんなアヤしいw 佐月に仕事を依頼する「女狐」は、やはりあの女性…?

  • 北森氏得意の職人シリーズの新版。相変わらずのオタクな知識の展開で読者をグイグイ引き寄せる筆力はさすが。ただ、題にもなっているガランスの意味が理解できなかった自分が悲しい。ピーコの解説がよかった。途中で、おっ~冬狐堂が出てくるかな…と期待したが、残念。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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