たまさか人形堂物語 (文春文庫 つ 19-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801441

感想・レビュー・書評

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  • リストラに遭った30代後半独身の主人公が祖父母の営んでいた零細人形店を継ぎ、人形とそれにまつわる謎を解く短編集。
    事件自体はシリアス。

    文章がうまくない…すごく平坦。
    一人称なのに誰のことをいっているのか途中でわからなくなる。
    読解力が足りないならそれまでだけど、そんな集中して読むほど引き込まれる内容でもない。
    2,3ページ読んで合わないかなと思ってたけどやっぱり合わなかった。
    短編の方が技量が出ると思う。
    しかも収録作はすべて30ページ程度という中途半端な長さ。
    小粒すぎるか物足りないかで、これはちょっと詰め込みすぎでは。

    このタイプの話は登場人物がどれくらい深いかだと思うけど、主人公も自虐性以外キャラがつかめないし、
    探偵役の人形マニアの従業員冨永が嫌なやつ。
    すごく嫌いなタイプでいいところがまったくなくてイライラして無理。
    登場人物たちの心の動きについてもオチありきという感じがして、唐突感がある。

    一話目の『毀す理由』だけは面白かったから、これで充分。
    久々に評判のよさがよくわからない本。
    目新しい設定だけで評価されてるのか?
    人形というちょっと怖い小道具で不可思議な世界観を作っているのに、唐突に現実的な部分が出てきたりして興醒め。

    一応最後まで読んでみたけど、ああ、合わないんだなという本でした。

  • 津原氏の小説は今作で二度目だ。

    前作に漏れず「独特の世界観」を構築する筆力は健在だ。

    作品名を読んで大体予想はつくと思うが、本作は人形店が舞台だ。
    様々な理由で持ち込まれる人形に纏わる依頼を、ひょんなことからお店を継ぐことになった「澪」を筆頭に、才ある押しかけ従業員富永君と、一級品の技術を持つ謎多き職人「師村」さんの助けを得て解決していく。

    人形というのは不思議な性質を兼ね備えているものだ。持ち主の人生や、辿った歴史をまるで「記憶」しているかのようにその身に刻んでいる。
    そのミステリー性を十分に生かしつつ、物語に組み込んでいくプロットに読者は魅入られるだろう。

  • ■祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。■


    津原泰水はバレエ・メカニックしか読んでいない。なので壮大で残酷な幻想劇を書くというイメージしかなく、このようなあらすじを読んでまずびっくりした。

    内容としてはキャラクター・その関係性がとても心地良く感じられた。何気ない問答からそれぞれに起こる事件にまで、見え隠れする人形への造詣が興味深い。和やかな空気感は、絶えず緊張感を強いられたバレエ・メカニックとは裏腹で、頁を気軽に捲っていった。

    その分、殺人が起きたときには驚いた。非現実感に落とされるような結末にも。おそらく僕の期待の仕方が間違えていたのだろうが、僕はこれらを"不穏"と受け取ってしまい、思うように楽しむことが出来なかった。

  • これも初めて読んだ著者だけれど、他の作品も読みたいと思った。まあ、ちょっと引っ張りすぎた謎が途中で好奇心よりも思わせぶりな感もなきにししもあらずではあったけれど、楽しく読了。

  • 分かり易いが、物足りない感。最後まで読んでしまって「これで終わり?」と思うのが辛いので、積読中。

  • 人形もしくは人形堂を中心に据えた物語。ぬいぐるみからラブドールまで様々な人形が登場するが、描かれるのはその持ち主や作り手、それから人形堂の三人。
    ラブドールの回は好奇心も手伝って非常に面白く読んだし、他の話も人形という素材に心惹かれていたので最後まで読みきった。
    しかし全体としてどうかと言うと、ひどく物足りなさが残った。すべて中途半端なのだ。早々に廃刊になった女性誌に連載されていたそうだが、連載打ち切りのような最終話はそのせいなのだろうか。
    勿体ない作品だった。

  • 読み終わってあとがきで男性作家さんだと知ってびっくり。
    タイトル買い&衝動買いの本はあんまり先入観を持ちたくないので、あらすじをさっと眺めるくらいで本編に入ってしまうので(今回著者名すら注視しなかった…。
    しかも出るまで紆余曲折だったのですねぇ。

    直前までドールズシリーズを読んでいたので、骨董・アンティーク系の話だと良いなぁと思って手に取ったのが切っ掛けでした。
    ううーん、まさかラストでそんなことになるとは!
    続きがあるなら楽しみに待ちたいと思います。
    この人の本なら他のも探してみようかな。

    それからの為に再読。
    独特のテンポだよなぁと今更ながらに思うなど。
    とっとっとっと、前のめりに読まされてしまうのだけど、そこへあちらからもこちらからもと集まって寄り合わされて…という感じが強いです。

  • 母の市松人形"さよちゃん"が恐くて恐くて仕方無かった私を思い出しました。

    "恋は恋"
    津原さんの恋の物語はどれもきれいだ。
    この御本を読了した直後、"空気人形"のサウンドトラックを教えて頂いて、"恋は恋"にぴったりな音だと想いました。

  • ミステリとして読むと謎部分が弱い印象なんですが、可愛い感じの物語でよかったです。キャラが可愛い。

  • 【祖母の形見の零細人形店を継ぐことになった澪は、押しかけ従業員で人形マニアの冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしている。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告をみて、今日も傷ついた人形を抱えたお客さんがやってくる。人形と大事な思い出を修理すべく澪たち3人の活躍が始まる。】

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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