ベスト・オブ・映画欠席裁判 (文春文庫 ま 28-2)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801700

感想・レビュー・書評

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  • 映画欠席裁判
    ■字幕翻訳の女王?ナッチ

    ★柳下: でもね、戸田さんがやるようなハリウッド大作になると、海外の配給先むけに字幕製作用台本っていうのがついてくるの。Mt.Fuji 日本の最高峰って感じで、固有名詞とか慣用句に注釈が付いている。
    ☆町山: なんだ、じゃあ中学生だって訳せるじゃん。
    ★柳下: それでも『マイノリティ・リポート』で、プリコグ(超能力者)の三人が「アガサ、アーサー、ダシール」ってミステリ作家の名前なのを戸田字幕は「ダシェル」にしてた。
    ☆町山: ハメットも知らないのか?英文学部だろ?
    ★柳下: 他の映画でも大天使ミカエルのことを大天使聖マイケルだって。
    英語の発音に忠実にした、って言うのかな。
    ☆町山: たんに無知の言い訳じゃん。
    ★柳下: 女王だから周囲も文句言えないのかも。
    って思ったらなんと、ナッチが『ロード・オブ・ザ・リング』の字幕から降ろされそうらしいですよ。
    ☆町山: ああ、指輪ファンたちが署名運動してたね。
    いよいよナッチ王国崩壊の序曲か?

    映画秘宝2002年38号


    ■ベストテン
    ☆町山: 評論家は、派手に宣伝されないから一般の人が気づかない映画の中から、新しい作品や才能を見つけて紹介するのが義務なんじゃないのか?

    ☆町山: 評論家なんて「誰を評価したのか」ってとこでしか評価されないんだぜ。
    だから、新しい才能、作品を見つけるために海のものとも山のものとも知れない映画を見まくるしかない。だって誰だって最初は新人だから。
    その90パーセント以上は本当のクズだろうけど、そのゴミのなかに新しい才能や表現が埋れているんだよね。
    評論家と称してタダで試写を見ている以上、お金や時間がなくて月に数本も映画を観ることのできない一般の人に代わりにゴミの山を漁るのが(評論家の)仕事だろうよ。
    それを面倒くさがって、すでにいい評判が伝わっている映画しか観ない先生野郎がほとんどなんだよな。

    ★柳下: その意味ではゴミでも何でも観る松田政男先生や双葉十三郎先生って本当にプロだね。

    映画秘宝ベストテンなんかぶっとばせ98年

  • 数年前に「映画欠席裁判」のどこかの巻を読んだとき、
    「この人たちは有名どころの作品を貶めることで、『おれたちは大衆とは違った鋭い感性なんだぜ』ってことをアピールし、優位に立ちたいだけなんじゃないか」
    という感じを抱いたのだけど、いやすみません、当時は間違っておりました。

    あの頃よりはるかに映画を見、また人生経験も積んできた今になって二人の対談を読むと、二人は本当に映画を愛し、愛するが故の罵倒であることがよくわかる。
    終わってからその価値に気づいた僕が言うのはアレだけど、このシリーズ、もう新作が見られないのはほんと惜しいなあ。

  • 「常識を疑え」ということでしょうか。

    著者達は、日本映画の作り手たちの力の低下を嘆いて、批判しているが、振り返って、自らの映画を観る基礎体力の無さを痛感した。

  • 著者が映画を切りまくる本。
    町山さんは大好きなんだけれど、残念なことに紹介されている映画のほとんど知らなかった。
    ここ最近の映画でまた作り直してくれることを期待!

  • いやー、面白かった。
    後継ぎ(子供)がおるおらんでやはり考えは変わるのですな。

  • 図書館。

    学んだこと
    ・作り手の業が深ーくこもっている作品は、(良かれ悪かれw)印象に残る
    ・多数決はアテにならない
    ・自分が好きだと思える作品を信じとけ
    ・いいものも悪いものも見てこその批評家だろがぃ

    世の中で新しく生まれる面白い映画が減っていくのは悲しい…

  • ある程度映画を知っていれば、おもしろいです。下ネタに耐性が必要ですけど。なんというか、テレビ東京 午後のロードショーで放映されるような作品まで言及するのは、すごいです。難を言えば、さくいんを入れて欲しかったです。メインだけじゃなくて、派生的に扱った作品もレファレンスとして引けると楽しめると思うので。

  • ボスの机の上から拝借した本。なるほどと思ったり、笑わせられたりもしたが、自分の観知って、分析もした作品数本については「うわ、この人たち浅っ」と思って途端に小物くさく感じたのも本当。スタイルの違いが大きいのだろうけど。
     
    そういうことがあったためか、単純に<寄せ集めした本>の宿命か、途中で飽きてきて、全部読む気にはならない。とはいえ面白かった。本日ボスに返却済。

  • 図書館本。
    『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』シリーズ3作の再編。なので読んだことある章もけっこうあった。にもかかわらず声出して笑っちゃうような傑作やりとりが盛りだくさんで、文庫になったこの機会に購入しようと決意。
    映画秘宝での連載が終わってしまったのは残念だけど、終了間際にかけての邦画批評のツッコミや怒りは確実に秘宝ファンや現在の日本映画業界を疑問視している映画好きに共有され、役目を終えたのかもしれない。

  • 単行本版の3冊を読んでいても、やっぱり面白い。ベスト盤なので話の追加は無いけど、宇田丸さんの解説が追加されている。その内容も二人への尊敬と畏怖と軽い軽蔑?満載でグッと来た。今回もまた同じ箇所で笑ってしまった。。。チャーリーズエンジェルの話が一番笑えるかな。あと、蓮見センセイとのシンクロ率の高さも最高。

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著者プロフィール

1962年生まれ。映画評論家。1995年に雑誌『映画秘宝』を創刊した後、渡米。現在はカリフォルニア州バークレーに在住。近著に『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(文藝春秋)、『映画には「動機」がある「最前線の映画」を読む Vol.2』(集英社インターナショナル)、『最も危険なアメリカ映画』(集英社文庫)、『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』『町山智浩の「アメリカ流れ者」』(スモール出版)などがある。

「2021年 『町山智浩のシネマトーク 恋する映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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