- Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167812133
作品紹介・あらすじ
1945年8月15日。玉音放送の響く中で見つかった女の死体。そして1年後に発見される第二、第三の死体。GHQ占領下の東京に殺人鬼が徘徊している!そいつを追う警視庁の三波警部補。だが三波自身も警察組織も暗い秘密を隠していた…。実在の連続殺人に材をとり、圧倒的リアリティで描く戦後の闇。衝撃の警察小説大作。
感想・レビュー・書評
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書架で見かけて。
すごい。
日本人でもここまで描けないと思うような、
戦後占領下の東京の猥雑な、ある意味熱い空気感というか臨場感が
ひりひりと描かれている。
翻訳家が秀逸なのか、編集者が凄腕なのか日本語も全く違和感がない。
ここのところ、どうなのよという翻訳をちらほら見かけたが、
日本人が書いたといってもわからないぐらい。
というか、話の展開がすっきりしないところとか、
主人公の内面をどろどろを書きつづるところとかは、
日本人が書いたという方が納得できるかも。
そして、一応実際の連続殺人事件が題材なのだが、
そこの謎解きはあるんだかないんだか、よくわからない。
主人公の秘密の方が謎解きの主題なのかも。
いづれにしても、ミステリーとしては、いまひとつ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
病的に繰り返される同じ言葉に飽きます。翻訳のせいなのか、はたまた翻訳のせいなのか訳のわからないストーリーが頭に全く入ってきません、!。
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玉音放送の日の午前、女の腐乱死体が見つかったという通報を受け、駆け付けた刑事三波(と部下、憲兵など)。彼らは倉庫の別の部屋に隠れて震えていた朝鮮人の男を犯人と断定し、その場で殺してしまう。その一年後、同じような手口で殺された女性が次々と発見される。
謎解きとしての面白味、警察小説としての面白味もあるけれど(何せ実際に起きた事件で有名な事件なので結末を知っている人も多いと思う)、何より戦後の東京の混乱ぶり、歪んだ秩序、不衛生さ、傲慢さ、そういう部分の描写がすごく上手で、暑い痒いくさいなどの感覚的なキツさにぐいぐい引っ張られた。
Ⅱは帝銀事件、Ⅲは下山事件を描くらしい。楽しみ。 -
すごい。
巻末に挙げられた参考文献や映像の一覧も圧巻です。 -
著者はイギリス人で、
イギリス人の感性で書かれる第二次世界大戦後の日本に興味を覚えて読み始めた。
終戦からストーリー始まるが、その時代設定の警察小説なんて読んだことないので興味を持ったのだが、
読み始めてみると、
文章が僕には合わなくて読みずらい。(これは著者ではなく、訳者と相性が悪いのかわからないけど)
100ページくらいで読むのやめた。 -
この作家は第一作以来で読んでみたのだが、依然としてエルロイのバッタもんくさいところは否めない。ちょっとスタイルにこだわりすぎと言うか。
しかし終戦直後の東京を舞台にして、ガイジンが書いた不自然さもあまり感じさせぬ。このドロドロした感じが出せるのはたいしたもの。次作も読んでみたい気になった。
解説によると上田秋成と泉鏡花を意識していたと。言われりゃなるほど納得だが、ミステリとかけ離れた取り合わせで、読んでいる最中はそうとは思わなかった。
ラストは何となく予想できたスジではあるが、いまいち何がどうだったのかきちんと分かっていなかったりする。 -
実在した事件―――小平事件を追う一人の警官。
何が真実で、何が嘘なのか。
誰が本人で、誰が偽名で生きているのか。
価値観の大転換期。
復興への喧騒、それは昨日までの真理をいとも簡単に覆してしまう。
そんな時代の真実。
一つの真実は殺人鬼がいるという事。
被害者の生きていた足跡も真実だという事。
病んだ警官、病んだ組織。
事件を追うのは矜持なんだろうか。
それとも、現実からの逃避行なんだろうか。
それとも、妄想に次ぐ、妄想?
世相―――時代背景の描写、リアルな"生"と"性"。
実在人物と"タブー"。
史実と虚飾の組合せ。
圧倒されたなぁ。
日本人作家ではここまで書けたかどうか。
外国人作家だから書けたであろう、終戦直後の赤裸々な日本、日本人の姿。
倫理も秩序もへったくれもない混沌と荒廃の東京。
とんでもない異質なノワール小説です。 -
ひたすら重い。
戦後の日本の状況を垣間見ることができる。
戦争に負けるってことがどういうことなの考えさせられる。 -
小平事件をモチーフにしたノワール?
ちょっと読みにくいところもありますが、イギリス人がここまで戦後の日本を書き込んだというだけでも脱帽。