だから荒野 (文春文庫 き 19-19)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 980
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907242

作品紹介・あらすじ

こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、息子たちは、「キモいおばさん」扱い。46歳の誕生日の席で、朋美を軽んじてきた彼らに対し、ついに反乱をおこす。身勝手でわがままな家族たちとは決別。レストランの席を立って、夫の愛車で高速道路をひた走る――。家出した妻より、車と女の住所が入ったゴルフバックが気になる夫をよそにかつてない解放感を味わうが、車を失い、ヒッチハイクで出会ったのは、原爆を語り継ぐ老人と青年だった。家族とどう生きるかの孤独と希望を描いて、新聞連載時大反響を呼んだ話題作、ついに文庫化!〝家族〟という荒野を生きる──。解説・速水健朗

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの桐野作品。一気読み。存分に楽しめた。
    桐野作品によく出てくる夫婦間のゴタゴタや、ダメ男には毎回頭が下がります。

  • 新聞連載時大反響を呼んだ話題作と裏表紙に書いてあったので買った一冊。

    家族からの逃亡の話でした。

    主人公である女性がかわいそうに見えた。
    旦那の言い分もわかる部分はあるが、優しさや気遣いがない.

    でも一番ムカついたのは息子達
    特に長男

    旦那や次男は最終的に少しは人間が変わった感じがするが、長男は多分成長していない。
    優秀な人間らしいが、人間の根本がダメだと思う。

    最終的には家族が元に戻るかわからんが、何かが今でと変わったのではないか

    逃亡中出会ったクソみたいな人達
    それがどうなったかちょっと気になった小説でした。

  • 一言で説明するならば、平凡な主婦の日常からのドロップアウトを描いた辛口スパイスの効いた冒険小説であろう。ストーリーは非常に面白いのだが、結末には少し納得がいかない。

    主人公の主婦・朋美が荒野のような家庭からドロップアウトした理由に共感する部分も多い。家族として繋がっているはずの夫と二人の息子も、朋美をまる奴隷であるかのように扱い、ついに朋美がぶちギレる瞬間が訪れる。夫と息子たちの余りの身勝手さに、自然と朋美を応援したくなった。

    朋美の46歳の誕生日のお祝いの場であるはずのレストランで、ついに朋美に我慢の限界が訪れる。家族との決別を決意した朋美は車で高速道路をひた走る…

    朋美の決意と勇気と夫のマザコン気味の優柔不断さと身勝手さの対決を面白く読みつつも、もしかしたら元の鞘に納まるのではないかという些か不謹慎な不安を抱いた…

  • 読み始めのページがつらすぎる!!!!
    もう子供とか一生いらんっておもえる笑
    話が進んでいくうちに読みやすもあったり、どこにでもある一家庭のある事件を垣間見た気がした。読み終わってみれば、たまたま昼過ぎに暇で家にいる時に見た、女優も俳優も昔の方で誰かわからないような刑事ドラマのようなものをみた気分になった笑

  • おもしろかった! 読みやすい!
    まず旦那と息子二人の酷さにびっくり。わたしが見ききする範囲では、今どきの普通の旦那さんや息子さんたちってみんなとてもよくできた人たちなのに、こんな家庭もあるのか、っていう。わたしは家庭をもてなかったことを後悔することが多いけど、もしわたしが家庭をもっていたらこんな家庭だったかもな、と思うとむしろ独身でよかったかも、とすら。
    だから、主人公が、突然車で姿をくらましたときはすかっとした。ただ、桐野夏生だから、ほのぼの話にはならないだろうって予感がしてびくびく読んだんだけど。逆にほのぼの話になってもいやだな、と思いつつ。でも長崎ではもっとひどい目にあうことになるのかな、ひどい目にあう話がメインなのかも、と思っていたら、そうではなくてよかった。。。

  • 家族に対する不満が、ある日臨界点を超えて家出をする妻が主人公。
    その夫と息子二人の四人家族のお話ですが、私はこの家族全員が好きになれませんでした。

    あくまでも私の感じた人物像ですが、

    友人や逃避行の中で知り合った人物からは『合理主義』や『猛々しい』などと言われているが、その本質は変わる事や家族間の問題から逃げているだけで無知で無鉄砲な妻。

    口癖のように『社会で通用しないぞ!』と言って妻や息子を頭から否定するが、自分も組織やグループでは浮きがちで、何よりも家庭で通用していない事に気づいていない夫。

    一見要領が良く、人当たりにも問題が無いようでいて、実は家族に無関心な長男。

    ネトゲ廃人一歩手前で現実を直視せず、一緒に住んでいる時は暴言の連発なのに離れると寂しがって追いかけるが、追い付いた途端また現実逃避し始める次男。

    そんな家族がいろいろあった末に、雨降って地固まるが如く、再度ひとつ屋根の下で生活を再開するのですが、それを私は家族であることの希望とは感じられませんでした。
    本質は何も変わっておらず、いずれ同じような事になりそうな印象でした。

    文章は読みやすく、妻の夫に対するちょっとした仕返しや、逃避行の中でのトラブルのシーン等はとても楽しめたのですが、私には家族の希望ではなく、いつ爆発するかわからない不発弾を抱えて家族ごっこを繰り返すお話と感じられました。

  • 日々生活していると、すごく不幸なわけではなくても、全てを投げ出して遠くに行きたくなる瞬間ってあります

    でも実際はそんなことできない

    だから私の代わりに、朋美が頑張って旅をしてくれてる気がしてすごく応援しながら読みました

    私だっていざとなったらどこへだって行けるんだと思って元気が出ました

  • ロードムービー好きにはたまらないロード小説。何故か鈴木京香が思い浮かぶと思ったら数年前にドラマ化されていた。夫婦の立場は逆だが、ふらっと長崎までドライブ行ってみたい。

  • リアルー。私の母もこんな事思っていたのだろうか。
    1人旅にでて色んな場面に直面していく。どこもかしこも荒野。人生楽じゃない。想像してるよりロマンなんてない。
    それでも荒野で生きていく。

  • 面白かった~。桐野作品だから、ちょっと読むのに勇気がいりましたが(救いようのない暗い作品が多い)これはそんなことがなかった。主人公は46歳の専業主婦。夫と息子2人。家族はみんな勝手な事を言い、専業主婦の主人公を見下してる感じ。そんな家族に嫌気がさし車で家出。家から飛び出した主人公は社会の厳しさを知り、残された家族はバラバラになっていく。ラストはモヤモヤが残るけど読み手の想像に任す~という感じでしょうか。同じ世代の主婦ならある程度、気持ちはわかるんじゃないかな。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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