- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167913052
作品紹介・あらすじ
27歳、童貞、無職、全財産0円。笑いに狂った青年が、世界と正面衝突!〝伝説のハガキ職人〟による、心臓をぶっ叩く青春私小説。21歳にして「ケータイ大喜利」でレジェンドの称号を獲得。「オールナイトニッポン」「伊集院光 深夜の馬鹿力」「バカサイ」「週刊少年ジャンプ」などで、他を圧倒する質と量で圧倒的な採用回数を誇り、「アメトーク」でも取り上げられる。いつしか彼は〝伝説のハガキ職人〟と呼ばれるようになる。構成作家を志すも、〝人間関係不得意〟のため、挫折の繰り返し。命を削るように面白いネタを書くことに邁進する、貪欲なまでのストイックさ。恋と、挫折。やがて彼の頭の中に奇妙な「カイブツ」が棲みつき、主人公をときに叱咤し、ときに罵倒する。休むことのない内なるカイブツとの戦いの果て、主人公はいつしか「死」を想うようになる。笑わせるか、死ぬか。この主人公は、著者自身なのか、それとも頭の中のカイブツが生み出した妄想なのか?ツチヤタカユキの熱狂的な道行きが、いま紐解かれる。単行本刊行後を濃厚に描いた「文庫版あとがき」を収録。出版によってメジャーな世界に一歩踏み出したことで、主人公(作者)の鬱屈は晴れる日がきたのか、それとも・・・?とどまることのない激情の発露が、読者の心に突き刺さる、感動の「最新章」。
感想・レビュー・書評
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凄い人だったなあ、、
まさに人間関係不得意。
ここまで尖ってるの凄い笑笑
お笑いに全てをかけたその生き様と情熱は心打たれるものがあります。
報われなかった天才が最後に認められた瞬間を見た気がして良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一気読みでした。
とても共感できるとは言えない。
でも、怖いもの見たさで読み続けてしまう。
友達にはなれそうもない。
バーテンダーにいたら、
そこの店にはきっと入らない。
絶対に接点がないだろう。
でも、読むのを途中でやめられない。
本書は、絶対に好き嫌いがわかれるので
万人にはお勧めできません。 -
映画に興味あり、先に読了。「私小説」はちょっと苦手かも。絶望と毒吐きの連続に疲れてしまった。ここから6年経って、今は普通の構成作家さんとしてやってるのかな。
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読み始めたときは「なぜこれが映画化?」と思ったが、読み進むにつれてなんとも言えない凄み。
笑いにのみ捧ぐ時間、命。
カイブツと化した、むしろ、カイブツに囚われた日々の、世の中との乖離、笑いへの追究、自身の葛藤。
読んでてわかった気になっていたとしても、正直本人の思いのどれだけを感じ取れているのかはわからない。
映画、観たいかも。
9冊目読了。
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深夜三時半ってのに一気読みしちゃった。
大喜利に始まり、漫才、コント、落語と沢山のネタを創り出した著者。
笑いを生み出しているはずなのに著者自身が笑う描写がほぼ無かった。
狂気じみていて猟奇的、それでいてとても情熱的。
唯一自分の正義を信じて生きていけると思ったお笑いの世界でも現実を突きつけられ、社会や人生に対して嫌悪感を抱き続ける日々。
自分の正義を貫いて一つのことにここまで狂うなんてまず普通じゃない。
それでもネタを量産する手は止めずにずっと動かし続ける姿は恐ろしくもあるけど、周りの景色が見えない程に熱中するパワフルさ、生命力みたいなのを感じた。
ピンクも元カノさんも本当に素敵な人。
二人もきっと刑務所や学歴で色々苦労をしてきたんだろうけど、普通に生きてそういったものを手に入れられる人には無い優しさや物事の見方があるんだろうな。
この本は文字通り命を懸けて笑いに向き合い青春を駆け抜けた著者の叫びでもあり文中にあったように遺書でもある。
著者の想いの強さとは裏腹に報われない辛さとか読んでいて苦しくなる場面も多いけど後半部は本当に泣いた。
誰よりも笑いに狂ったからこそ誰よりも想像の世界に生きたんだと思う。
ツチヤタカユキさん、貴方が過ごした苦しい日々で生み出したネタがなかったら、メールが送られていなかったら、きっと今のお笑いの形は違ったし、私みたいに沢山の人が深夜ラジオで笑って、泣きたいような夜を乗り越えることも無かったんだろうと思います。
そう伝える術が無いけれど沢山の感謝を伝えたい。
著者は「あの人」が来年立つ東京ドームライブ、見に行くのかな。 -
これをどう映像化するのか気になりすぎる
見に行こっと -
「笑い」を追い求めることに己の生をかける主人公の孤独と絶望が描かれる…。
が、正しいことを追い求めているのに、なぜこんなに自分は孤独や絶望のなかにあるのか…という、高校生あるあるのような、決してそんなに深くはない内容と、それと不釣り合いな文学的っぽい表現の羅列は、自己陶酔的であり、読んでいてキツイなあ…と感じたのが正直な感想である。
狂気じみた求道者、というよりはただ自分の殻にこもる、幼い人間が描かれ、小説としての面白みはいまひとつだった。
辛辣な書き方をしてきたが、高校生とか大学生とか、そのへんの若い人には、共感出来たり、引き込まれたりして、ハマるかもしれません。おじさんには合わなかったです。 -
「面白い」にただただ愚直、という筆者のスタンスは、正しいからこそ苦しい。超理想でいえば、面白いものが真っ直ぐに、純度100%で面白いと評価される世界こそが正しいとは思う。ただ現実は、たとえば「人当たりの良さ」のような、面白さとは全く別のベクトルも作用する。
それ故に「面白い」に全てのステータスを割り振ってしまうと苦しくなる。これは人間が社会性を持っているからに他ならない。作品は「他者と」「協力し合って」作る。他者との関わりを抜きにして作品を作り・届けることは現代社会においてはほぼあり得ないのではないだろうか。
それでもやはり、超理想から考えると、面白いものが真っ直ぐに面白いと評価される状態が正しいと思う。だからこそオードリー若林は彼を助けようとしたのだろうと思う。「社会性と尖り=個性の両立」にはこれからも悩み続けるんだろうな。 -
若林の著作に、仕事では能力だけでなく人間関係の処世術が求められる現実にツチヤが「クソです」と答え、若林が昔を思い出して笑ったというエピソードがある。若気の至りというか、可愛げのある"ツチヤ"が映る。その若林フィルターがとれたツチヤ本人の自伝。正直、想像を超えて過激だった。努力で培ってきた能力に自信(過信)を持っている。ただ、悲しくもそこには出口がない。救いがない。私も社会をクソだと思うことがあるが、同時に能力のなさを人間関係に救われる時もあり、一概に否定できないのだ。彼とは決定的に違うことを痛感した一冊。
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創作に狂い私生活を捨てていく様が自分はとてもかっこいいと思ってしまう。
これだけの熱量があっても結局は社会性がなければ評価されないのは正直クソだと思うけど、自分はこれだけの熱量が出せる人間ではない分、クソみたいな社会性の恩恵を受ける立場だと思う。筆者と同じ世界に存在することはできないことが悔しい。