白い闇の獣 (文春文庫 い 107-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919696

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったと言ったら不謹慎だし、なんて言おうと考えると、凄い話だったというのがしっくり来る。

    性善説を信じたいが、そうではない人間もたくさんおり、山岡らの所業は悪としか言えないものだった。
    心から反省しているか、同じ過ちをもう二度と繰り返さないかなんて誰が分かるのだろう。
    根っから悪の人間は、やはり悪なのだ。

    社会が裁くことができないなら、自分で制裁を下すしかない。そうしなければ被害者はこの先永遠に増え続けるだけだ。
    正直、朋美を自分の子の様に思っていた笠井は分かるが、朋美の元担任の香織がそこまでして制裁を下すかと驚いた。
    香織なりの罪滅ぼしと好きだった人を殺された復讐なのだろうけど、自分の危険を承知でやり遂げた意思が凄すぎる。

    こんなに簡単に少女の命が奪われて良いのかと思うとやるせない気分になる。
    残された人も決してこの先気分が晴れることはないだろう。
    ただ、どこかスッキリしてしまってもいる。
    私は復讐推奨派なのだろうか…。

  • Amazonの紹介より
    小6の少女・朋美が誘拐され、殺された。捕まったのは少年3人。だが少年法に守られ、「獣」は再び野に放たれた。4年後、犯人の1人が転落死する。失踪した朋美の父・俊彦が復讐に動いたのか? 朋美の元担任・香織はある秘密を抱えながら転落現場に向かうのだが――。“慈悲なき世界”に生きることの意味を問う、著者集大成!



    すっかり伊岡ワールドに読みやすさも相まってハマっていました。今回もゲスな登場人物に怒りが湧いてきました。

    様々な登場人物の視点で物語が進行するので、時には被害者、時には加害者だったりと色んな心情が知られました。
    なので被害者パートでは心苦しい描写もあれば、加害者でのパートに怒りが湧いてくる描写もあったりと、気づけばすっかり文章によって心を揺さぶられていました。

    残酷に殺された少女の父親が本当に犯人なのか?

    あらすじだけで想像すると、絶対犯人じゃないよね?とか誰かを庇っているんじゃないかといったことが思い浮かびます。いざ開いてみると・・・全員が怪しく見えるのですが、なるほどそうきたかと思いました。一筋縄ではいかない展開で面白かったです。

    どことなく、中山七里さんの作品のようなどんでん返しを彷彿させるのですが、伊岡さんならではのゲスさや陰湿さみたいなものが滲み出ていて、一味違っていました。

    いずれにせよ、どう転がっても報われない展開に、もしも自分だったらと思うと・・・悩まされました。
    被害者は帰ってこないので、どう自分はその状況に対処すればいいのか?色々考えさせられました。

    この世にこういった加害者がいないことを望みたいなと思いました。

  • さすがの一言 伊岡文学。

    どちらが最後まで冷静なのか?
    そこは「覚悟」の差なのかも知れない、自分を責め続けた結果はあまりに凄惨で残酷だけど……
    神に置き去りにされた夜 その神様に再び目を向けてもらう事が出来るのも自分だけなのだなぁっと。

  • フィクションでありながら、何よりもリアリティ溢れ、実際に「神など居ない」と常日頃思う自分にとって納得の一冊。
    ラストが少し呆気なさすぎるか

  • 少年法について考えさせられる作品である。
    やってることは凶悪犯、しかしカタチだけの罰を受け、世に放たれるが再び罪を犯す。
    そこにはられた伏線が回収されながら結末へと。。。
    面白かった。

  • これぞ伊岡作品!

    • ごりさん
      沢山 いいね&フォロー ありがとーございます♪

      ブクログも読書初心者ですが……
      よろしくお願いします m(__)m
      沢山 いいね&フォロー ありがとーございます♪

      ブクログも読書初心者ですが……
      よろしくお願いします m(__)m
      2023/08/31
    • mr.satomiさん
      こちらこそよろしくお願い致します。
      数年前にクズリ読みましたが、とてもヨカッタですよー
      こちらこそよろしくお願い致します。
      数年前にクズリ読みましたが、とてもヨカッタですよー
      2023/08/31
    • ごりさん
      まじですか♪

      柴田先生 なんやかんやで 有賀雄ニ郎(UMA)(ジャック)シリーズとGEQ 位しか読んでなぃので 楽しみ過ぎます。(笑)
      まじですか♪

      柴田先生 なんやかんやで 有賀雄ニ郎(UMA)(ジャック)シリーズとGEQ 位しか読んでなぃので 楽しみ過ぎます。(笑)
      2023/08/31
  • 少年犯罪をテーマにしていて、重め。けど、実際に全く反省もしてないのにたいした償いもせずすぐに出てきて、同じ事を繰り返すのも多いんだろうな。
    被害者、被害者家族はやり切れないよね。

  • 最後まで展開が読めず〜

    面白かった!
    ただ、内容が暗すぎて☆彡
    人におすすめするかというと、✖️

  • 悲観的なストーリーながらも最後まで、先が気になって一気読みしてしまいました。

    理不尽しか存在しない世界。
    少年法により護られる被告。
    子供を理不尽に失う悲しみは分かりませんが、残されたものが自分を責める気持ちや、やり場のない思いを誰に向ければ良いのかは、想像しただけで怖くなります。

    暴力的な衝動を抑えられず、罪を罪と思わない少年の残酷さが際立ちました。最近の事件を見ていると、本の中だけのストーリーとは思えなくなりますね。

    元教師の香織の苦悩。
    フリーライターの秋山の正体
    以外な人物の正体

    どれほど年月を経ても、人の目が語るものは変わらない。優しさであろうと厳しさであろうと

    名言が多いですが、好きな言葉がこちらでした。

    ひとは残酷で平気で他人を傷つけると思う一方で、ひとを救えるのもまた、ひとであると思える終わり方が最後に温かい気持ちにさせてくれました。

  • 何となく世界観は東野圭吾作品の【さまよう刃⠀】を彷彿とさせる物語

    伊岡作品の例に漏れず不気味、無秩序、不条理と言ったような、やりきれなさの要素も孕んだ作品

    物語は終始暗めの雰囲気
    極めつけは悪ガキ3人組もこれでもかと言うぐらいの悪党
    決して明るい作品では無いので注意

    推理要素は薄味
    ラストが唯一の救いか

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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