僕が死んだあの森 (文春文庫 ル 6-7)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167921217

作品紹介・あらすじ

『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートルが放つ、極上の心理サスペンス。 あの日、あの森で少年は死んだ。 ――僕が殺した。 母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。殺すつもりなんてなかった。いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になっただけだった。でも幼い子供は死んでしまった。 死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。だが子供の失踪に村は揺れる。警察もメディアもやってくる。やがてあの森の捜索がはじまるだろう。そしてアントワーヌは気づいた。いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら……。十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか? 殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間――その代償がアントワーヌの人生を狂わせる。『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。文庫解説・三橋暁

感想・レビュー・書評

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  • ピエール・ルメートル『僕が死んだあの森』文春文庫。

    最初から最後まで息が詰まるような重い雰囲気の中で物語は展開していく。主人公の12歳の少年が抱え続ける罪の意識が彼の人生を少しずつ狂わせていく何ともイヤな話だ。


    夫と離婚した母親と共に2人きりで小さな村に暮らす12歳の少年アントワーヌは、森の中で隣家の6歳の男の子を誤って殺してしまう。

    死体を隠して家に戻ったアントワーヌは大切にしていた腕時計を失くしてしまったことに気付き、愕然とする。そして、小さな村は幼い子供の失踪に騒然となる。

    いつ、男の子の死体が見付かり、自分の犯行が発覚するかと怯えるアントワーヌだったが、その3日後に村を嵐が襲い、男の子の死体が発見されることはなかった。

    それから時は流れ、アントワーヌは医者となり、村を離れて暮らすが……

    男の子の死体が発見されると……

    本体価格810円
    ★★★★

  • 主人公であるアントワーヌの心情が細かく書かれていて、ドキドキがこちらまで伝わってくる
    どういう結末になるか気になってどんどん読んでしまう。
    そして結末…超びっくり!って感じではないけど、想定外の結末だった。
    面白かった。


    海外ミステリーは苦手だけど、こちらはとても読みやすい。

  •  ピエール・ルメートル安定のイヤミス感。

     ラストに分かる、コワルスキー氏と母親の関係性、そして事の全てを知っていたという事実、自身の出生…。

     始めに可愛がっていた犬の死、その死に耐えられず意図せず自分を慕っていた子供を殺してしまうシーンは読んでいて胸が苦しくなりました。

     エミリーとの事は自業自得すぎて、こればかりは軽率すぎるとしか…絶対に妊娠したやろ…と先が読めました。この事さえなければ、アントワーヌが思い描いた未来に進めただろうに…。

     色々後味が悪いですが、おもしろかったです。 

  • 衝撃のラストが!

    ルメートルさん、相変わらず、人生は厳しいんですよ。を突きつけてくる。
    前半、あまりにもつらかった。
    どうしたら良かったのか。
    嘘をついて事故にしてしまえば良かったのか。

    最終的に、アントワーヌはどんな人生を送るんだろう。ほっとできるのは、死ぬ時だけかも?

  • 一九九九年/二〇一一年/二○一五年

    十二歳の少年の偶然の犯罪。彼は時をどう過ごしていくのか。
    罪を犯した事実は彼の中から消えることはない。けれど、時は過ぎ彼も成長していく。
    そして、彼の知らなかった事実を知ることになる。
    その後は??

  • 小学生、中学生の頃の自分を思い返すと、当時は当然だが未熟で今思い返すと恥ずかしいことばかりある。そんな中で主人公のように事故のような形で人を殺してしまうことが絶対にないと言えるだろうか、そしてあるとしたら、主人公のような人生を歩む可能性もあるのではと思ってしまう。

    人間描写が価値観同じ気がして好き

  • 文庫化にて再読。

  • 少年時代に犯した罪がいつ露呈して人生を棒に振ることになるのか、絶えず見えない恐怖に怯えながら生きるアントワーヌの物語。事件直後に村を襲った自然災害のおかげで事件の捜索がうやむやになり窮地は免れたものの、それからもずっと自分を苦しめ続けるのは紛れもなく真実を知る自分。幼馴染みのエミリーとのごたごたも加わり、アントワーヌが自身に下した決断には、ああ…となった。そしてその決断から四年後にわかる驚くべき真実。こんな結末が待っていたとは。非常に面白かった。本国では映画化もされたとか。私も見てみたかった。

  • 衝動的に犯してしまった少年期の罪。良心の呵責に支配されるその後の人生が刻々と描かれ、読み手を引きこむ。登場人物が大人になっても続いていく小さなコミュニティの中の人間関係。「最後に明らかになる真実」と書くと平凡だが、ここまで引っ張れる力量と明るみに出る話の中身は、さすがルメートルとしか言いようがない。

  • ラスト、最高。

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