正義をふりかざす君へ

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198636180

作品紹介・あらすじ

地元紙の記者だった不破勝彦は、神永美里と結婚し、義父の仕事を助けるべくホテル業へ転身する。が、やがてホテルは不祥事を起こし義父は失脚、妻との不和も重なり、彼は故郷から逃げ出した。七年後-彼は帰りたくない故郷へと戻る。元妻の不倫相手を救うために。問題を起こしたホテルを、正義の名のもとに攻撃した新聞社。そのトップに就任したのは、高校の先輩である大瀧丈一郎だった。ホテルは彼の傘下に吸収され、不破を恨む者たちが次々と現れる。そして、ついに魔の手が彼を襲う-!「正義」の意味を問い直す、渾身の長篇ミステリー!!

感想・レビュー・書評

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  • 著者の本をはじめて読んだ。
    いつもこんな感じなのか、この本だけなのか分からないけど、暗い雰囲気で固い文章のイメージ。

  • 相変わらずぐいぐい読ませるけど、読後感はやはり二時間ドラマかなあ。最近の「相棒」な感じ。タイトルから受ける印象と深さは感じないし、構築は簡単なはずの「正義」が内包するダブルバインドについてなども一切ふれてい無い。なんでこのタイトルにしたかな。まさかサンデル先生に便乗?

  • 誰に対しての「君へ」なのか。
    特定の誰かに対してでなく、登場する人間全てに対しての言葉のような読後です。
    単純に考えれば、ある一人の人物にたどり着くのですが。
    それは読み終えたからこそ、そう思うのであって。読み進めている最中に感じたことは、皮肉と斜に構えた優越感。

    「正義」という言葉のなんと使い勝手のいいことか。

  • ホテルと選挙とそして女。
    長野県の小さな地方都市に7年ぶりに舞い戻った男は捨てたはずの過去と
    得体の知れない悪意に巻き込まれていく。
    果たして誰が?なんのために?

    複雑に張り巡らされた謎と伏線が見事に回収されて終結させているのはお見事。
    ひとつひとつの事件が繋がってすっきりと読了しました。
    話としては地味だけど小役人モノを得意していた作者の初期作品を思わせる内容。
    新聞社やホテルの内幕は特に興味深い。
    難を言えば動機がちょっと弱かったかな。
    でも、これはわたしが女故の感想なのかもしれない。
    男性の意見もぜひ聞いてみたいところです。

  • 久しぶりの真保裕一であったが、期待したほどではなかった。タイトルがなかなかいい感じだったので期待していたのだが。推理物やサスペンスというより、エスピオナージュに近いので、最初は何がなんだかよくわからないし、誰を信じたらよいのか全く分からない。それはそれで手法としてはいいのだが、全体の枠組みが小さい。そのためこんなことのためにここまでやるのか、と思ってしまった瞬間、リアリティが欠如してしまった。そこからは単に絵空事をなぞるだけになってしまう。もっと面白くかけたのではないかとおもうと少し残念。

  • 前半の引き込まれ具合は流石であるが、後半はもう一歩。出張先でさらっと読むには良い。

  • 石持浅海の本みたいなタイトルだな、と思って読み始めた。

    主人公は写真の送り主をつきとめてほしい、という依頼を元妻から受ける。
    その写真は元妻と市長選に立候補している男性の不倫現場を撮ったもので、選挙妨害か?現金目的のゆすりか?ということで主人公は調査を進めていく。

    主人公は離婚前、実業家だった元妻の父(故人)の片腕として働いていたり、義父のホテルが人手に渡ったのは主人公のせいということにされていたり、ラグビー部の先輩が元妻の不倫相手とは敵対する市長選の候補者の後援をしていたり、イロイロ詰め込まれてるな〜って感じで、少し食傷気味。

    もう少しシンプルにしたほうが最後の衝撃も大きいんじゃないかな〜と個人的には思った。

  • 別れた妻と故郷を捨てた元記者が、地元の利権を牛耳る先輩の悪を詳らかにする。

    記者から長野の棚尾の資産家・神永家に婿養子に入った不破だったが、経営するホテルが食中毒事件を起こし、死者まで出る事態に。

    勤めていた信央日報からも糾弾を受け、棚尾を捨て、妻を捨てた不破に、別れた妻から妻の不倫相手で、棚尾市長に立候補する朝比奈亘との密会写真の真相究明を依頼され、再び棚尾に戻る。

    しかし不破の動く先々で妨害が入り、真相を隠そうとする不破の先輩で信央日報を牛耳る大瀧へと疑惑を深めていく。


    画策された悪事が巧妙すぎて何が本題か途中でわからなくなりました。
    この中での正義って、いろんな登場人物のいろんな形の正義がぶつかって、弾けて、苦悩する世の中を表しているのかなと思いました。

  • 黒部の羆を読み、真保裕一さんの他の作品も読んでみたくなり、今回はこの本のタイトルにひかれ手に取りました。

    前半は中々話が進まず、寝落ちでページも進まず…と苦戦しましたが、途中からは一気に読めました。

    タイトルへの期待感が大きかったせいか、ちょっと拍子抜けかな…

    後半の、事件の真相を追う場面は、元新聞記者らしくスピード感もあり、次の展開はこうなるのでは?と楽しめましたが、個人的には最後がなんとも後味が悪い感じがしました。

  • 別れた妻に頼まれ、七年ぶりに故郷へ戻ってきた元新聞記者の男。結婚を機、地元の名士である義父の経営するホテルに転職したのだったが、食中毒事件をきっかけとした地元紙の報道で一家は没落し、裏切り者の汚名を着せられた男は逃げるように町を後にしたのだった。
    その町は今、二カ月後の市長選に向け候補者の両陣営が攻防を繰り広げている最中であった。
    知人を訪ね歩いていた男は暴漢に襲われる。自分が何かを知りえる立場にいると気づいた男は、過去を探り始める。

    中々全容が見えてこない前半に、少々飽きそうになる。
    確かに、正義を声高に叫ぶ人はなんだか恐い、特に集団は。マスメディアに流されず、自分の目で見極めたいとは思うけど、一般人には中々そんな手段はないし。
    最後まで読んで、正直そんなに隠す必要はなかったのでは?と思ってしまった。念を入れるつもりがあだとなったというところか。
    色々なテーマを内包しているようで、ちと考えが追いついていないです。

  • 登場人物本人も自覚しているようだけど、
    誠実かもしれないけど、こんなに甘い人間
    っているのかしら?
    …って思いました。

    東京に出てから結婚し、病死した妻が
    実は…

    …って内容なんですが、

    普通、この妻を赦せますかね?

    http://noinu.blog.fc2.com/blog-entry-145.html

  • ホワイトアウトで有名な真保裕一さん、ホワイトアウトの他にも奪取などのドキドキハラハラの面白い本が多々あります。この本以外にも真保さんの本は十数冊読みましたが、今の所真保作品で一番面白かったのは「デパートへ行こう」です。次いで「ローカル線で行こう」そして「ホワイトアウト」という順番です。「デパートへ行こう」はいい内容だったなぁ。。真保作品では一番のオススメ。。

  • 読みやすい印象を受けたがメッセージ性が読み取りにくく感じた。また、物語としてもスカッとする場面が少なくも感じた。わたしの読解力が低いのが原因が知れないがすこししょうかふりょうなきがした。

  • ある事件をきっかけに別れた元妻から、不倫相手との写真を送りつけられたとの相談を受けて、生まれ育ったまちに戻ってきた主人公。
    その身に次々降りかかる事件と、写真に隠された真実。

    タイトルと中身が、あっているのかいないのか…
    正義感の虚しさとか、描きたかったのかも知れませんが…

    事件は二転三転しすぎてどこに落とされるのかよくわからないし、人間関係ぐちゃぐちゃすぎてよくわからなかったです。
    策略や罠も、それ本当に機能するの?というものばかり。
    謎解き部分に関わる主人公のひらめきも、まったく必然性のない、こじつけに近いものに感じました。
    ミステリに出てくる、ワトソン役の方々の調子っ外れな推理がどんどん当たる、みたいな。

    結末も中途半端。
    救われない人が多すぎる。

    タイトルから見ると「正義」がテーマの作品なのかもしれませんが、私にはそうは感じられませんでした。

  • 初めて読む作家。文体が読みやすくてサクサク読める。ミステリーのようだったが、内容としては先が読めてしまい、ミステリーとしてではなく単純に小説として読んでしまった。小説のキモとなるべき設定そのものに必然性が弱くて、主人公がなぜハメられていくのか、なぜ人が集まるのかもイマイチ。全体的に中途半端なまま終わるストーリーはどうかなぁと言う感じ。ストーリー展開の良さで読み切れた。

  • 不破勝彦.地方新聞の記者だったが、その地方の企業グループの令嬢に惚れて、ホテルマンとして活躍した.食中毒事件でグループは崩壊し、勝彦は離婚後その町を去る.突然元妻から不倫を示す写真が届き、その背後関係の調査を依頼されその町に戻ってきた.大瀧丈一郎を始めとして様々な人物が登場するので、その役割を理解することが大変だったが、市長選を舞台に物語が進行する.最終的には、元妻神永美里が構想した計画が明らかになるが、女の執念は怖いことが改めて分かった.

  • 真保先生の大ファンだが、近年発刊されている著作は
    昔のものに比べるとあまり自分の好みでないことが多い。
    この著作も、面白いことは面白いのだが
    膝を打つような謎解きや息もつかせぬどんでん返しというよりは
    比較的予想がつきやすく淡々と描写されていくイメージのストーリーだった。

    素人なの玄人跣で大活躍するのはいつものパターンなのだが
    警察や探偵ならいざ知らず、元新聞記者、元夫というだけで
    元妻はじめたくさんの人が頼ってくることがいまいち解せなかった。

    正義を振りかざす『君』へのメッセージがいまいちというか
    黒幕に対しての不破の思いというものが大人としての逃げのような
    はっきりしない態度に思え、
    正義感を振りかざしても仕方ない、自分は元々この町を捨てて逃げた卑怯者だ
    というニュアンスは初めの方から端々にあったとはいえ
    すっきりしないラストだったなと思う。

    グランドで明かされた事実も動機としては弱く感じ、
    何故そんなことのためにこんなことを、というところまで込みなのかもしれないが
    この当たりも納得がいかなかった。

    不破がここまで恐れられることも、謂わば誤解で不破がここまで憎まれるというのも今ひとつ登場人物たちに感情移入出来なかった理由のひとつだ。

    社会派サスペンスで、市長選やマスコミなどの描写は面白かっただけにちょっと残念だった。

  • タイトルが好みじゃないけど真保さんだから
    と借りてみたら
    やはり中身も好みにあらず。
    第一印象は当たるもんだ。
    【図書館・初読・1/19読了】

  • 殺人事件の起きないミステリー。最後まで読んでなるほどなあ、と思いつつもカタルシスはない。主な登場人物に魅力的な人物が出てこないと重苦しさやリアリティーは増すのだろうが、後味がねえ…。とはいえ、ページを捲る手を休ませることなく、引き込まれたので☆3つということで。

  • 正義の審判
    どきりとするタイトルである。
    私自身の印象だが、自分は絶対正しい、自分は絶対被害者だ、自分は全く悪くない、悪いのはすべてお前!
    という考え方をする人が多い気がする。
    事実を述べただけであっても、「私に責任があるっていうんですか」とまくし立て、最終的に人格攻撃を始める人がいる。
    彼、彼女らにとってはそれが正義なのだろう。
    しかしそれは正義の名を借りただけの身勝手な行動だ。
    話を戻そう。

    本書では逃げるように去った土地に主人公が戻ってくるところから始まる。
    元妻と、妻子持ちの相手の男との情事を思わせる写真。
    この送り主探しを依頼されたのだ。
    調べるうちに人間関係は複雑さを増し、主人公、不破は何度も暴力行為などの妨害を受ける。
    誰しもが怪しい。
    そして誰しもが自分は正しいと思っている。
    家族の罪を暴くこと、自分を捨てたものに対して、ワンマン運営の会社に対して......
    理由はある。
    ただ、それを追求することや懲らしめることは誰にとっての正義なのか?
    きれいごとだけでは物事は進まない、いや、結局のところ自分だけが損をしたくないからそう言っているに過ぎない。
    不破はそのことに気づいた。
    自分を恥じた。
    相手を思いやった。
    その後ろ姿は負け組なのだろうか?
    高笑いをして、胸を張って、相手を貶めている者こそ、振りかざした物の審判が行われている。

  • 8月-3。3.5点。
    地元の、前妻に呼ばれた、元新聞記者。
    前妻は立候補者と愛人。告発写真が。
    複雑に絡み合う、告発写真と、新聞社の社長。
    ラグビーの先輩が社長。主人公が地元に戻るのが拒絶か。

  • タイトルにひかれて読む。面白かった。そこまでできるものかしらね。

  • 無駄に長く、ろくでもない人ばかり出てきて、盛り上がりもなく。

  • 「正義」を語りながら裏で画策する新聞社

    地方都市の市長選挙に絡んで
    陰謀に巻き込まれた主人公が、何度も
    罠に落とされながらも奮闘していく

    カッチリとした内容に引き込まれるけれど
    脇に出てくる人物たちが、「えーと、これ誰だっけ?」ってなることもしばしば(汗

    ドラマ向きかも。

  • こんな結末は想定していなかったので、びっくり。本の主題とは全く関係ない話だけど、自分がA・M・H・O新聞等に感じるいやらしさって、こういうところなんだろうなぁ。

  • 「正義をふりかざすもの」といえば、それはマスコミ、新聞。
    マスコミが、自らの欲のために、その権力をどのように使い、どのように無辜の人を罪に陥れ、世間を操り、そして自らの利益をあげていくか。
    そのマスコミ権力に嵌められ、翻弄される主人公。
    物語りの舞台は長野県、そして地方自治体の首長選挙、地方経済の利権争い、そして、利己的でありながら正義をふりかざすマスコミ。そのいずれもが、フィクションでありながらあまりの現実感をもって展開する。
    最初のページを開いた時から、420ページを終えるまで、飽きることなく展開し続ける話に、すっかり引き込まれて読了。

  •  次々と展開していき、おもしろい。一番正義を振りかざして人を傷つけて知らん顔するのは、マスメディアだけれど、それぞれの主張で正義を振りかざす人たちがいる。そしてその人たちも人を傷つけていく。面白いけれど疲れる話ではある。

  • なんとなく想像したとおりの結末なんだけど、本のタイトルと内容がイマイチ結びつかなかったかな。。
    なので、★を一つ減らしました。

  • ★★★かと思ったが、近くに読んだ作品と比べて★★★★に。
    誰が不倫の証拠写真を送って来たか、犯人を探してほしいと前妻に頼まれて、逃げ出した町に戻るという男の心理は分からない。
    けれど小さな町で起こる利権争いは興味深く読めた。

  • だらだらと長い割には展開に起伏が少なく、たどり着いた真相にも事を起こすに至るだけの説得力はなく、おまけに読後感も悪いと、救いようのないお話でした。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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