ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか (一般書)

  • 徳間書店
3.87
  • (6)
  • (23)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 123
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198636586

作品紹介・あらすじ

現役プロ棋士と最強コンピュータソフトによる第2回将棋電王戦。人類vs機械の頭脳戦という破格の戦いは、ニコニコ動画で生放送され、多くの注目を集めた。結果は人間側の1勝3敗1引き分け。TV・新聞でも報道された裏側で、人間たちは何を考えたのか。対局した棋士、ソフト開発者、将棋を愛する小説家・漫画家など、さまざまな形で今回の対局に関わった者達が語った大会の全貌。将棋界に限らず、人間と機械との関係をも考えさせる刺激的な1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 佐藤大輔のインタビューが貴重

  • 将棋AIと棋士との対戦イベントを描いた本です。今から振り返ると改めてAIの進化に驚かされます。

  • 将棋のルールを今に至るまで知らない人間が読んでも、十分に意味が通じる本でした。

    電王戦というイベントにかかわった人のインタビュー集。
    ニコ動はたまに利用するので、バナーとかで電王戦というタイトルは知ってました。
    コンピューター対プロ棋士で行う将棋。

    本の総括としては……レギュレーションの統一は大事だね、ということと、
    プレイスタイルの異なる者同士の対戦は、摩擦を生むなぁということ。
    よかれあしかれ。

    棋士側も、勝ちを目指すか、過程を追うか、団体勝利を目指すか、個人技を追求するかで違うし。
    コンピューター側はもう、開発者さんのキャラクター性でぜんぜん違ってて。(……プログラムの個性っていろいろなんですね……)
    そしてここに興業者サイド、観戦者サイドの思惑が混じるというカオスっぷり。

    インタビューという形式だったので、そういう「思惑の違い」みたいなものに目がいきました。
    将棋は難しそうで(あと、やるとはまりそうで)手は出しませんが、将棋系の読みものを読むのは意外と楽しいんだなあ、と思うきっかけになりました。

  • 『ドキュメント電王戦 ――その時、人は何を考えたのか』
    執筆者:夢枕獏、海堂尊、貴志祐介ほか
    構成:末國義巳、三村美衣、鈴木雅展
    協力:ドワンゴ
    デザイン:福田功

    【メモ】
     当時のグダグタとハラハラが味わえる一冊。

    【書誌情報】
    発売日:2013年08月29日
    ISBN:978-4-19-863658-6
    判型・仕様:四六判
    定価:本体1,600円+税

    現役プロ棋士と最強コンピュータソフトによる第2回将棋電王戦。人類vs機械の頭脳戦という破格の戦いは、ニコニコ動画で生放送され、多くの注目を集めた。結果は人間側の1勝3敗1引き分け。TV・新聞でも報道された裏側で、人間たちは何を考えたのか。対局した棋士、ソフト開発者、将棋を愛する小説家・漫画家など、さまざまな形で今回の対局に関わった者達が語った大会の全貌。将棋界に限らず、人間と機械との関係をも考えさせる刺激的な1冊。 
    http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198636586

    【目次】
    はじめに [005-010]
    目次 [011-013]
    対局ルール [014-015]

    夢枕 獏 INTERVIEW 017
    勝又清和 INTERVIEW 025
    羽生善治×川上量生 CONVERSATION 044

    第1局:阿部光瑠四段×習甦 053
    阿部光瑠 INTERVIEW 054
    竹内章×宮内悠介 CONVERSATION 059
    阿久津主税 INTERVIEW 069
    第1局棋譜 076

    第2局:佐藤慎一四段×ponanza 077
    佐藤慎一×柴田ヨクサル CONVERSATION 078
    山本一成×宮内悠介 CONVERSATION 100
    野月浩貴 INTERVIEW 110
    第2局棋譜 117
    瀧澤武信 INTERVIEW 118
    山崎バニラ INTERVIEW 128

    第3局:船江恒平五段×ツツカナ 139
    船江恒平×貴志祐介 CONVERSATION 140
    一丸貴則×宮内悠介 CONVERSATION 162
    鈴木大介 INTERVIEW 172
    第3局棋譜 179

    第4局:塚田泰明九段×Puella α 181
    塚田泰明×大崎善生 CONVERSATION 182
    伊藤英紀×宮内悠介 CONVERSATION 205
    木村一基 INTERVIEW 215
    第4局棋譜 222
    佐藤大輔 INTERVIEW 224
    川上量生 INTERVIEW 233

    第5局:三浦弘行八段×GPS将棋 245
    三浦弘行×海堂尊 CONVERSATION 246
    金子知適 QUESTION and ANSWER 268
    屋敷伸之 INTERVIEW 274
    第5局棋譜 281

    大崎善生 MANUSCRIPT 282

    おわりに [286-287]

  • う~ん、第二回のまとめっぽいのかな?

    そんな本です。

  • 海堂尊 第2回電王戦観戦記

  • 第二回電王戦のドキュメント/インタビュー。棋士と開発者そしてニコニコ動画が何を考えていたかを様々なインタビューを組み合わせて浮かび上がらせている。コンピュータに敗れた棋界の将来について議論は尽きないが、渡辺竜王の「自分が負けることは想像出来るが、自分が全く勝てないコンピュータも想像出来ない」という台詞が印象的。
    将棋を知らなくても面白い!かどうかは分からないけど、日本人にとって人間と人工知能の分水嶺になった出来事として読んでおいて損は無いんじゃないかと。

  • 関係した人のそれぞれの立場での感想・コメントが非常に面白く読めた。

  • 将棋にもソフト開発にも詳しくないけど興味深く読めました。
    インタビュー=話し言葉だからか、棋士の方・ソフト開発の方それぞれの意気がダイレクトに伝わってきた気がします。
    敵視とかなく、互いに敬意をはらっているのがよくわかって良かったです。

    奇しくも読み終わったのが第三回電応戦の初戦の日。
    前回唯一負けたソフト「習甦」が今回は勝ったみたいで「よかったね」と思う部分もある反面、残念に思う部分もあり…本書を読んでどちらにも肩入れしたくなってしまったのが悩ましいです。

  • 第二回電王戦に関わった28名のインタビューやコメントを集めた一冊。コンピュータ将棋の基本や歴史も簡単にまとめられてて、ここから読み始める人にもわかりやすい。

    米長元会長の攻撃性を継いだのが塚田九段、立場と勝負に拘ったのが三浦八段、というのもよくわかった。将棋というゲームの究明と勝負ごとのどちらによりウェイトをかけるかの違いも、人それぞれであることも、よくわかる。
    コンピュータ将棋の開発者を除くと、インタビュアー含めてやや年配の方の方が、コンピュータ将棋にロマンティックなイメージを持っていて、600台も繋ぐのは、とか、第4手に人の手が入ったのは、おかしい、とあるのも、考え方の違いが浮き彫りになっていておもしろい。プロ棋士から見ると、コンピュータの方が道に正直で身内に甘い、というのもおかしかった。外からではわからない声が聞けたのも収穫。
    トップの開発者でもなく、厳しい勝負事に生きてるわけでもない自分は、共感よりは情報を仕入れたという感じではあるけど、唯一GPSの金子氏が、当日は勝ち負けよりも無事に大役を果たした安堵でいっぱいだった、というところには共感。失敗が許されない運用現場では、とにかくシステムを無事に運用しきることに精力を注ぐのはわかるなあ、と。

    今回の一戦は負け越しになったけど、これで完敗ではなくて、まだこれからの可能性を感じている人達が多くて(伊藤氏はもうミッションコンプリートかな、と仰ってるけど)、次回も楽しみになる。

    最後に。ここに書かれているコメントを読めば、みんな真摯に向かい合ってることが伝わるのに、それを、解せずに開発者を貶めるような発言があってもめてしまったのは残念な限り。

  • 将棋を知らない人にも面白く読めた。人間にとってコンピュータの対自の仕方の様なことも考えさせられた。そして何より棋士の個性も5者5様で興味深かった。

  • 完全情報ゲームは本質的に暗算と変わらない、ということになってくるのか。生きてる間に、将棋がマッチ棒パズルと同じものに位置づけられるのか。
    人は、ツキとか流れといった、ロジック的に排除されるものに超人的要素を見出さないといけなくなって来るのか。

  • コンピューター将棋vsプロ棋士の5対5にまつわる関係者(棋士、開発者、解説者、羽生、ドワンゴ社長)のインタビューにより様々な人間模様やこの勝負にかけたそれぞれの意気込みが伝わる。特に一年前に戦った故人の米長永世棋聖/会長の将棋界の立て直しと後世にかける意気込みには感動。
    結果は人間側の一勝三敗一引き分けで終わり、先鋒の若手のみが勝ち、A級棋士も負けてしまった。この10年特に、ボナンザが全幅探索、機械学習を採用しそのソースコードを公開してからソフトのレベルが大幅に改善、700台のPCを連結したGPS将棋は解説者からも悪手がなかったと評されるほど。羽生さんはソフトと公式に対戦する場合は一年通常戦線の離脱による準備期間が欲しいとするくらいである。

  • コンピュータと人間の将棋バトル、もうコンピュータが人間を超えるのは時間の問題という一方で、将棋の持つ品格、棋士としての誇りはどうやってもコンピュータは身に着けられないんじゃないかと思うし、コンピュータに負けることで敵視するのではなく、コンピュータと共存し、活用しながら究極の一手を目指す、という流れが生まれてくるのだろう。

  • あの死闘はまさに格闘技だった。葛藤の中で戦った棋士の談話だけでも面白いのだが、仕掛人ドワンゴ川上会長のインタビューが示唆に富む。21世紀のテーマは「アルゴリズムに押しつぶされる個人」という。棋士への強い感情移入は、そういう不安に由来するのかもしれない。

  • 人間VSコンピュータが将棋を用いて対戦する。
    それはそう単純なものではない。
    インタビューを元に電王戦を振り返る本著はこの戦いがドラマであり人間VS人間の戦いである事を示している。
    まずビックリしたのが多くのコンピュータ将棋の開発者が純粋な強さやプログラムの強化を望んでおり、人間に勝つという事は二次的な副産物でしかないと考えている事。
    だからこそ意味がないからやる意味があるのだ。そこには故米長氏と現ドワンゴ会長川上氏の将棋への危機感がある。

    古来から日本独自として楽しまれてきた将棋を保ち続けるにはワンステージ変えなければいけないというその場として電王戦は提供されている。
    だからこそ私みたいな素人は将棋としてではなくドラマとしてこの戦いを見守りたい。

  • なんか違和感ありますな。ギクシャクしてる感じ。

  • 今春実施された第二回、棋士対将棋ソフト電王戦を振り返る本では「電王戦のすべて」に続く第二弾。春の対局から暫く時間を置いたところで棋士・ソフト開発者・解説陣にじっくりインタビューをしているので此れまでは触れられていなかった部分も多々あり楽しめる。特に阿部光瑠に敗れた習甦(しゅうそ)は棋譜の自己学習において羽生三冠の棋譜の重要度を他の棋士のそれの二倍にしていると云うのが無機質なソフトに少しばかり親近感を感ずるところだ。其れに対して阿部が「羽生さんに勝っている渡辺竜王の棋譜も重要ですよ」と指摘しているというのが笑えた。但し、残念なことにその阿部光瑠四段への改めてのインタビューだけが実は出来ていなかったことだ。本書から彼のインタビューが欠けるのは決定的な気がするが本当に時間が無かったのだろうか?インタビューを実施してからの出版でも良かった気がするのだが。あとここでも夢枕獏の第一局の観戦記ほどではないものの、かなりとんちんかんな内容のインタビューが掲載されていることかな。

全19件中 1 - 19件を表示

著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夢枕獏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×