W県警の悲劇 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647520

作品紹介・あらすじ

警察官であるより前に、一人の人間として、常に正しくありたいんだよ――「警察官の鑑」と誰からも尊敬されていた熊倉警部。W県警初の女性警視へと登りつめた松永菜穂子は、彼にある極秘任務を与えていた。その最中の、突然死。事故かそれとも……。事故として処理したい菜穂子の胸中を知ってか知らずか、熊倉警部の娘が事件現場についてあることに気づく。『絶叫』『凍てつく太陽』の著者が贈る、ネタバレ厳禁!前代未聞の警察小説。

感想・レビュー・書評

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  • W県警察管内で起こった事件に対応する警察官たち(?)の活躍が描かれた短編集。重厚なイメージの強い葉真中作品とは一線を画す仕上がりかと思う。それでも『洞(うろ)の奥』と『消えた少女』には、奥深い印象を持った。

  • 保守的で男尊女卑的な、W県警。
    そこで働く女性を軸にした、連作短編集。

    かならず一ひねりを加えてある、ミステリ。
    予想外のどんでん返しもあれば、わかってしまうものの。

    文章は軽いタッチだが、描かれている内容は、結構ブラック。
    読後感は苦め。

    その中でめずらしく読後感のよい「ガサ入れの朝」が、よかった。

    『このミステリーがすごい! 2020年版』国内18位。

  • 表紙をよく見ると、髑髏が浮かび上がってくる。それが暗示するがごとく、W県警には、これからずっとずうっと悲劇が続いていくことだろう。正義を自認する者は、悪魔と紙一重であるのだ。いったい何を言ってるんだと思うでしょ。どんでん返しばかりの6つの短編を読めば、それが分かる。6つの短編の主人公はそれぞれ違うが、お互いに関りがいろんな意味である。その中の皆が仰ぎ見る松永菜穂子警視が最後に来るんだろうなあと思っていたら、その通りだった。警視から警視正になって、めでたしめでたしだったけど⋯。ところで、5話「破戒」で、神に対して犯した罪を俗世の法律による罪に肩代わりさせるというのは、どうなのだろう?ちょっと無理があると思うけどなあ。

  • 男尊女卑なW県警。県警初の女性最高幹部になろうとする松永警視の薫陶を胸に抱いて働く女性警察官達を主人公にした6つの短篇集。どの話もそれぞれの部署で奮闘する彼女達の姿と想像とは違う方向に捻ってくる結末が面白い。「洞の奥」でこの流れね、と構えていたら「交換日記」「ガサ入れの朝」で見事にしてやられた。よく読めばすぐ判る仕掛けなのに!どの主人公も少しずつ繋がっているのが最後の松永警視が主人公の「消えた女」で効いている。しかし最後、あれからどうなったのかが気になって仕方がない。

  • いやあ、完全にやられました!6つの短編から構成されていて、最初短編集とは知らず、2章目を読み始めたところでちょっと肩透かしを喰らわされた感じがしましたが、なかなか面白い話ばかりで楽しめました。
    前回読んだ『絶叫』がシリアスなミステリだったので、そういった作風の作家さんと思っていたら、大間違い!今回のは軽いタッチのミステリ揃い。ただ、どんでん返しが見事。そこは絶叫と共通していました。
    どんでん返しが見事と言いましたが、むしろそれがメイン。読書に対してこのトリックを見破れるか!と勝負を挑んできているような6編。
    1話目がこんな感じだったからと、2話目は注意して読んだら全く違ったトリックにやられ、3話目以降も同じようにスッカリ騙されてしまいました。

    ①洞の奥
    誰からも尊敬される堅物で有名な『警察の鑑』の熊倉晢。特命を命じられた熊倉は謎の死を迎える。その死に隠された真相とは・・・。

    ②交換日記
    日下凛子はコンビを組む上原に好意を抱く。2人が受け持つ事件は、少女が惨殺された事件。その真相に近づいた時、世界は一変する。

    ③ガサ入れの朝
    千春は嗅覚に自信を持っていた。その慢心からか、ガサ入れの際、想いを寄せる先輩刑事に怪我をさせてしまう。今回の任務でなんとか汚名返上したいところだが。

    ④私の戦い
    嫌なことを嫌と言えない千紗は、強くなりたいと思い柔道を始め、さらには警察官になった。しかし、警察官になった今も上司のセクハラの被害に遭っている。千紗の署に痴漢の被疑者が取り調べを受けることになる。果たして千紗の戦いとは。

    ⑤破戒
    滝沢純江は、結婚を機に一度警察を辞めた。神父が父親を殺すという事件が起こる。その神父に純江は過去救われた経験があった。決して人を殺すような人物ではなかった。しかし、自分が殺したと言い張っている。しかし、神父が殺したとされる時間と、監察が調べた死亡時間が合わない。神父は誰を庇っているのか。容疑者は2人。しかし、容疑者たちのアリバイも立証され・・・。

    ⑥消えた少女
    松永菜穂子はW県警始まって以来の女性警視正となった。菜穂子は所轄の事件の応援に呼ばれる。少女が遠足の帰りに行方不明になった事件だ。菜穂子は、母親が虐待をしていたことを見抜いた。しかし、見抜いたことが仇となり・・・。

    いやぁ、お見事!でも、長編を楽しみたかったかな。今度は思いっきりなミステリをお願いします!

  • W県警を舞台に、県警初の女性警視松永菜穂子を中心とした警官(主に女性警官)が県内で起こる事件解決してゆく。六編。
    男社会が強く残る組織で強く生き、活躍する女性の姿や、どんでん返しの内容で面白く(最後まで物語はつながっているしね)。ブラックだし、色濃く描けていましたね、メリハリありで楽しめた。私の中では「ガサ入れの朝」が印象に残る。

  • 最後までどんでん返しの連続でした。

  • 男尊女卑が色濃く残るW県警で活躍する女性警官を主人公にした連作短編集。
    「政治的に正しい警察小説」の流れを組む作品。
    ただのきれいごとばかりを並べた警察小説とは違い、それぞれの短編の主人公の女性警官の心の闇が、何とも言えない。
    社会派と言われる作者のダークな部分が見える一冊。
    それぞれに、ゾクッとするラストが待っており、これもちゃんとした「イヤミス」と言う分野になるのだろうか…

  • 面白かった!
    短編集だけど、話は繋がっている。
    驚くところも多くて、さくっと読める気軽さもよかった。

  • 女性 W県警の女性視点の短編集。

    思わず、可愛いってなってしまう話から、怖っ!!と思う話まで色々。

    ここに登録する時に、表紙がドクロになってるぞ!!と気がつく。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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