ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座 (徳間文庫 い 17-10)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198925079

感想・レビュー・書評

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  • 旧約聖書と新約聖書の違いをこれを読んでようやく知った。ユダヤ教とキリスト教の関係も興味深かった。(昔は仲が悪かったとか今はキリストはユダヤ教に親切にしてるとか)
    後半はユダヤ・キリスト・イスラムの方とそれぞれ対談していたけど、ユダヤ・キリストはイスラムのことを良く思っていない一方で、イスラムは今の宗教問題は教えが問題ではなく政治的な問題が原因だと主張していたのが印象的。あと当然だろうけど、どこも自分のところが悪かったとは言わないんだなと。

  • ユダヤ、キリスト、イスラムのそれぞれの言い分が読めて面白かった。
    考え方に理解、同調できるかは別として。

  • 三宗教を分かりやすく対峙。神が同じか違うかの意見の相違が特に。旧約新約聖書の粗筋を頭にいれておくとわかりやすい。宗教だけでも政治だけでもない、両者を総合した人間の営みが怖いということだろうか。

  • それぞれの宗教リーダーへのインタビューとアメリカの友人からの手紙。どれも緊迫していて、興味深い。宗教者が宗教に対して、どういうスタンスを持っているのか?この問いは、非常に重要だ。かつ、その宗教の本質がえぐり出される質問でもある。これを読むと、宗教がいかに弱い基盤の上に、強大な権威を有しているかが分かる。宗教や思想に概して弱い日本人にもってこいの本だ。

  • ――――――――――――――――――――――――――――――○
    プロテスタント運動以降、一般の信者も自国の言葉で聖書を読めるようになり、一人一冊ずつ聖書を持つ時代を迎えました。聖書を重視するプロテスタントはローマ教会の権威を認めません。(…)プロテスタントは基本的にみな独立しているわけです。たとえばアメリカでも、クエーカーとかバプテストとか多くのプロテスタント宗派があります。多くの宗派ができるのは、同じ聖書でも自分たちはここの部分の解釈が違うということになると、そこで分かれてしまうわけです。55
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    ホロコーストについては一般に誤解があります。ホロコーストは戦争犯罪ではありません。(…)もともとはドイツの国内政策として始まったことですから、これは一種の政治犯罪です。しかも、ナチスが勝手にユダヤ人を弾圧したのではありません。民衆の合意によって、戦争下ではなく、理性的、冷静に考えられる平時において始められたという点できわめて悪質です。65
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    我々の目に神の働きは三つに映る。つまり、父(エホバ)が行動し、子(イエス)が行動し、もう一つは聖霊が何事かをなす。三者があって、それが相互に行動しているように見えるが、その根源は一つなのだというのが三位一体の考え方です。(…)カトリックもプロテスタントも九九%は三位一体説をとっています。そうでないと、イエスの神性を認めることが不可能だからです。70
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    ユダヤ教とイスラム教は、全く離れているようで、じつは共通点もあります。その共通点とは、三位一体説の否定、つまり、イエスがキリスト、神であることの否定です。(…)そのただ一つの神は天地を創造した神、つまり同じ神様ですから、本来ならば、この三者は同じ宗教を信じていると言ってもいいことになります。それなのになぜ殺し合いになるかといえば、預言者が聞いてきた言葉がそれぞれ違うからです。76
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    イエスの再臨は、すべてのユダヤ人がイスラエルに帰還を果たしたあとである。また彼らユダヤ人がみなクリスチャンに改宗したときであるという。そういう予言が新約聖書にあるから、クリスチャンたちはユダヤ人に親切をし、キリスト教に改宗するように手助けをしなければならない。そういう動機がある。このように福音派クリスチャンたちは、イエス再臨のためにイスラエルやユダヤ人が決定的に需要なことだと、考えているのです。(トケイヤー) 124
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  • 日本に生まれてよかったと思うことは、宗教に客観的に学べること。ユダヤ・キリスト・イスラム教の権威のある人からそれぞれの立場からインタビューされていて、お互いが相手の宗教をどう思っているのかわかりやすかった。宗教はもっと隔たった考え方をしているのだと思ったけど、インタビューの3人ともそれぞれの言い分は納得できるし、単純に正義と悪みたいな考え方はしていないんだな。お互い話しあうことは無いんだろうか・・。

    ネタバレ
    キリスト教:ユダヤ人を差別したのは昔の間違った考え方。今は協力的。だけどイスラム教はテロを育成している、テロ国家、仲良くできない。

    ユダヤ教:キリスト教は聖書をそのまま信じてる。ユダヤは聖書(的な役割のもの)をいろんな人がいろんな解釈をする。そのままの意味で捉えない。ユダヤ教的にはどの宗教とも仲良くなりたいが、相手の宗教がそうではない。ユダヤにとって国を持つことは重要。そこから文化が生まれる。

    イスラム教:神はいろんな宗教を信じて良いと言ってるから、相手がどんな主教であろうと関係ない。そもそも宗教によって戦争が行わてたのではなく、宗教に見せかけた権力どうしの殺し合いが多い。

    アメリカに住んでる日本人:宗教ヤバイ。私の周りの人は、中絶反対を指示してるってだけで、イラク戦争しているブッシュに投票する人が多い。中絶反対、これがキリストの教えだから、だから投票。マジでこんな人ばっか。反ブッシュとか大声で言える雰囲気じゃない。

  • ざっくりと3大宗教に触れ、その後、各宗教の伝導師らに話を聞いてまとめている点は凄く良かったと思う。
    凄く地味で緻密な調査を重ねた上で完成したものなのだろうな、ということが伝わってくる。

  • <決定版>世界の[宗教と戦争]講座が良かったこともあり期待はずれ。
    インタビュー相手と意見が一致せず議論になっていること、文章の体裁が整理されきれていないことの2点から非常に読みづらい。

  • 彼らが本当のことを言っているのなら問題は根深い。果てしなく深い。だけど彼らの中にもお互いを認め合って生きている者も少ないながらいるはず。それが大事。
    宗教戦争と呼ばれている現象の背後には誰かが何かしら利益を上げている。利益のために宗教を持ち出し戦わせ、一見宗教だけが問題かのように見せている。確かに宗教の相違が紛争に繋がっているのも事実だけど。
    彼らの声を聞きたい。本に載ってない人達がお互いにどう感じ考えているのか知りたい。強烈に。

  • 宗教関連の本は初体験でした。
    私は日本史専門なので、世界史に非常に疎い・・・。
    だから、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教が歴史的に複雑に絡み合っていることを詳しく知らないまま生きてきました。
    読んでいくうちに、歴史的事件・世界情勢と宗教の関係が浮き彫りにされていき、面白いな~と思いました。
    ただし、対談のパートは話者の話し言葉をそのまま書いたせいなのか、ちょっと読み辛かった・・・。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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