- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198939311
感想・レビュー・書評
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面白かった
10作からなる短編連作の物語
博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀の物語
比翼屏風(びよくびょうぶ)
濡衣夜雨(ぬれぎぬやう)
長橋春潮(ながはししゅんちょう)
箱崎晴嵐(はこざきせいらん)
奈多落雁(なたらくがん)
名島夕照(なじませきしょう)
香椎暮雪(かしいぼせつ)
横岳晩鐘(よこたけばんしょう)
博多帰帆(はかたきはん)
挙哀女図(こあいじょず)
からなる物語
主人公、女絵師の春香(里緒)は豪商亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けます。
しかし、3年前、里緒は杉岡外記との不義密通により、破門。外記も3年後に迎え来ると、江戸へ。
離ればなれになりながらも外記を思う里緒。
そんな中、博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀、
おつきの文の過去、母親や父親との思い、遊女や歌舞伎役者の兄弟との出会い、男や女の悲しみ・苦しみなどなどが、各章で語られていきます。
そうした様々な人の想いが絵の中に込められていきます。
そして、外記と里緒は再び出会うことができるのか?
エンディングで語られる台詞が心打ちます
死なせてはならない心とは
「ひとを愛おしむ心じゃ。ひとはひとに愛おしまれてこそ生きる力が湧くものじゃ。」
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不義に問われた女絵師・春香こと里緒。
依頼された「博多八景」を描く過程で、里緒は八景それぞれに関係した人々の哀切を知ることになります。
人を思うゆえに生じる哀しみが美しく綴られていて、秀逸な連作短編集です。
春香と外記の描いた千鳥の絵を、是非見てみたいと思いました。 -
不義密通をして破門を受けた女絵師の物語.女絵師が描く悲しみと愛情に満ちた絵を私も見たいと思った.そしていつの世も人は愛なくしては生きられない生き物なのかも.葉室さんらしい凛とした良い作品でした.
以下あらすじ(巻末より)
女絵師・春香は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けた。三年前、春香は妻子ある狩野門の絵師・杉岡外記との不義密通が公になり、師の衣笠春崖から破門されていた。外記は三年後に迎えにくると約束し、江戸に戻った。「博多八景」を描く春香の人生と、八景にまつわる女性たちの人生が交錯する。清冽に待ち続ける春香の佇まいが感動を呼ぶ! -
全1巻。
哀しい恋をしている女絵師が、
様々な哀しさと出会う話。
結構いい。
葉室先生が女を書くと外れる印象を持っていたけど、
これはよい。
女絵師が依頼された「博多八景」。
その一景を一章として、
一章ごとに完結する哀しいエピソードが積み重ねられていく、
群像劇のような構成。
地味な話だけど中だるみ無く最後まで読ませる。
クライマックスは結構グッと来た。
「待つ女」なんて湿ったテーマだし、
活かしきれていないキャラがいて少し気になったけど、
奇麗な物語だった。
女性が読んでも良いかも。