ア-ト:“芸術”が終わった後の“ア-ト” (カルチャー・スタディーズ)

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  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255001326

作品紹介・あらすじ

アートは、より頭脳的に進化する。もはや"アート"は、"芸術"ではない。では、今のアートは、何を表現しているのか。内外の最新の動向を踏まえ、21世紀のアートの新しい見取り図を明晰に語る。

感想・レビュー・書評

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  • 80~90年代にかけてのアートの潮流を抑えた良書。本当は入門書と言いたい所だけど、この時期のアートの理論的土台は現代思想の概念に拠る部分が多いため、その辺りについて詳しくないと難しいかもしれない。現代アートは自身が批評的まなざしを内包し、その批評性が問われるため真善美という旧来の芸術における価値基準が2次的問題となっていくのが大きな特徴と言えるだろう。その批評性はまた反動と次なる批評を生み出してゆく訳で、現代アートとは体系付けられた時点で過去のものとなってしまう刹那性から逃れられないものなのかもしれない。

  • 19世紀末、芸術家が作品を自分自身で考え制作するようになって以来の、主に欧米と日本における芸術の主義主張の流行を俯瞰した本。
    特に1980年代以降に重点を置いて記述されている。

    1980年以降の美術の傾向を知りたくて読んでみた。
    美術業界についてまったく知らない状態で読み進めたのですが、批評家の専門的な論文を噛み砕いて説明してくれていて、いくらか詰まりながらも読み進めることができました。
    ただし、芸術家の作品の図版は質が悪いし数も少ないので、作品についての記述は調べながら読まないと想像しにくかったです。
    また、文章のまとめ方が、主義主張についてきっちり仕切っているわけでなく、年代を軸にめくるめく状況をそのまま示した、みたいな書き方をされていて、記述の変化のスピード感にややついていけないところがありました。

    美術の世界は、芸術家だけでなく、批評家とキュレーターなども一緒に状況を作り出しているということらしく、なるほど一見さんお断りというか、市民の絵画展覧会とは違ったえらい世界があるなと思いました。
    前衛を追い求めるのはわかるけれども、それが社会の最新の状況を反映したりいままでにない視点だったりの作品だったとしても、結局のところ一部の人間が喜ぶ作品を作っただけなんじゃないか。
    そのことでなんで大げさに騒がれたり深読みされたりするんだろ? という違和感がなくもなく。前衛って徒競走で一番を取りたがってるみたいなものなんじゃないのかと思ったりしました。

    とまれ、最近のアート事情を知ることができ、また自分にとっての芸術を一歩引いた目で考えるきっかけもつかめ、ありがたかったです。
    著者の考え方をいくらか含んでいそうな内容ですが、勉強になる一冊でした。

  • 芸術からアートへ。
    90年代にかけてのアートの潮流を分かりやすく解説。

  • 【資料ID: 1116009747】 702.07-Ma 77
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA5613235X

  • [ 内容 ]
    アートは、より頭脳的に進化する。
    もはや“アート”は、“芸術”ではない。
    では、今のアートは、何を表現しているのか。
    内外の最新の動向を踏まえ、21世紀のアートの新しい見取り図を明晰に語る。

    [ 目次 ]
    第1章 モダンからポストモダンへ―「芸術が終わったあとの芸術」の始まり
    第2章 表象批判からファンタジーへ―変貌するポストモダン芸術
    第3章 リアルなものの探究―「おぞましい」身体、文化多元主義、はかなさの力
    第4章 美と日常性の再発見
    第5章 「モダニズム」の閉じゆくフィールド、立ち現れる「現代の美術」

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 椹木野衣さんのシュミレーショニズムと松井みどりさんのこの本を読めばとりあえずの80年代&90年代を総括できる。

  • 80年代と90年代の現代美術の動向を要約した優れた一冊

  • 2010年9月16日~2010年9月18日
    2010年11月25日レポート提出
    現代美術が全くわからなかったんですがさらさら読めた。というか、普通に面白い。あと作家が何人か紹介されているのでそこから興味を持ちやすい。

  • 60年代以降の芸術は「単なる物」として存在することは許されず、その存在理由を思想、哲学に求めなくてはならなくなった
    見て楽しむものではなく、観客に何かを考えさせるもの
    アプロプリエーション(流用) サンプリング、カットアップ、リミックス
    アレゴリー 断片を通してより大きな意味へと観客を誘う
    ネオジオ ジェフ・クーンズ
    アブジェクト(おぞましいもの) マイク・ケリー
    スラッカーアート
    フルクサス フェリックス・ゴンザレス=トーレス
    第3の波 
    ストレートフォト 荒木経惟
    ウルフガング・ティルマンス 直接の主題とは関係なく表れるイメージが観るものに説明的な意味の枠を超えた時間の広がりを感じさせ、記憶を呼び起こし、現実のなかに偶然作られるフォーマルなパターンを意識させる。偶然的な断片が写真を観るという体験を枠の中で固定されたイメージの凝視からより広い感覚の場の想起へと押し広げている
    「コンコルド」持続する生の時間をトータルに捉えることと、そこで起こる小さな、しかし大切な出来事を繰り返しの効かないものとして捉えることの、ふたつの衝動が込められている
    エリザベス・ペイトン
    リクリット・ティラバーニャ パッタイ 実存から実存者へ
    ダグ・エイケン(Doug Aitken)
    マイケル・スノー 構造映画
    キッチュ
    ミクストメディア・パフォーマンス マイク・ケリー
    マシュー・バーニー クレマスター5
    YBA ダミアン・ハースト、チャップマン兄弟、クリス・オフィーリ

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