- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255008943
作品紹介・あらすじ
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。
ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を
追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。
人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、
周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
感想・レビュー・書評
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大学で就職活動が迫ってきたころ、「なんだかこの先の人生、タイヘンで、めんどくさくて、つまらなそうだなぁ…」と鬱々としていた時に、「TOKYO STYLE」と出会った。「あ、こんなふうにテキトーに生きてもいいんだ?」「こんな人が現実にたくさん存在してるんだ!」と救われる思いがした。自分も「多数決で負ける子」の方の人間だったから。
出版とはまったく無関係の仕事をしているけれど、この本に書かれている著者の仕事に対するプライドや愛情は、とても素敵で、その姿勢を見習いたいと思った。自分の仕事を全うするためなら、60歳になっても人に頭を下げられる、「毎月の振込よりも、毎日のドキドキの方が大切」とか言い切れるのって、すごくカッコいいなと。二十数年たって、また一つ救われた思いです。 -
独特の写真集や本を出していて、目にするたび「おおすげえ」と思っていただけに、今回の本には強く好奇心を刺激され、舞台裏が読めるとなるとページを繰る手ももどかしく、一気呵成に読んだ。とても面白かった。本好きの方には誰にでもおすすめしたい内容。
とはいえ。
著者は自分のことを「編集者」として位置付けているようだが、正確には「ライター」ではないか。もちろん、その時の仕事によって役割は変化すると思うので、この仕事区分にそれほど意味があると思わないが、しかし立場が変わることで、仕事に臨む態度も変わるのはたしか。
例えば。
著者は、営業の意見を聞いて、企画に責任をもとうとしないのなら、本末転倒、意味がないという。
しかし、腕の立つ編集者であれば、営業の意見を聞いてますよ、とアピールすることで、営業を本気で動かすよう誘導しているのだと思う。
編集はいい企画を立てて、売るためなら持てる力の全てを投入するものだと思う。
ゆえに、会議の無駄を減らすのは当然だが、無駄な会議をしないように工夫し、売り上げにつなげることができるのも、編集者の大事な能力なのだ。
無論、著者はそんなことわかっていると思うが。 -
熱かった。でも賛成できるところ多数。ここまで自分は批判的になれないが、おもしろくよめた。
聞き書きって久々に読んだ。 -
とても面白い編集者、物書きとしての語り。
聞き書きの形なので、内容的には、さっきと言ってること違うじゃん!みたいなとこもあるけど、概ね一本筋のとおったロックな生き方をしてるなぁと思う。
こんなふうに生きていける、食べていける仕事人は少ないし、とても魅力的に映る面もあるけれど、組織に属している多くの人がそれぞれの枠のなかでしっかりと堅実に作っていくものもまた、世の中に必要とされ、消費されることで、バランスが保たれている気がする。
どちらのスタイルが良い悪いとか、多くの編集者、出版社がダメなわけでもなく、それぞれの領分のなかでできる仕事があるんだろう、と思う。 -
都築響一さんが雑誌作り・本作りについて語った本。都築さんの本はいつも私を自由にしてくれる。「TOKYO STYLE」も、「夜露死苦現代詩」も、「独居老人スタイル」も。都築さんは読者を信じてるんだなというのが伝わってくる。メルマガ読んでみたくなった。
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都築響一さんの本は 友達に教えてもらってハマったけど
どの本も、他の人が思いつかないけれど
当たり前の在り方を変えてくれるような
そんな本ばかりで つい集めています
そんな都築さんが 自身の仕事について語る書籍なんて 面白いに決まってる!と思い手に取った
久しぶりにサラサラと読み終えてしまった
基本的に共感の連続だったからだ
業界内の飲み会で傷の舐め合いしてる時間は無駄で
その時間をも 愛する対象に向けてあげる方が
よっぽど素晴らしい仕事が出来ると思った
ジャーナリストは
みんなが これがいい と言っているところに
いや、こういうのもアリなんじゃないか?という選択肢をなるべく沢山示すのが仕事
という文言が特に 刺さった! -
編集者・都築響一さんのお仕事論&ポートフォリオ的な一冊。
「ちょっとめんどくさいけど、とてもアツくて親身になってくれる先輩」から、仕事の話を聞いているような気持ちになる。
都築さんの著書だと『夜露死苦現代詩』しか読めていないが、この本の帯に書かれている「多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。」という言葉に表れている人間臭さが、どの著書にも通底しているんだろうなということがわかった。
終盤、ウェブ編集に移行することで紙の制約を受けることなく届けたいコンテンツを編集できるようになったという話を読んで、「編集」ってなんだろうと改めて考えてしまった。
都築さんご自身も書かれていたが、編集者が伝えたいものをウェブ編集によっててんこ盛りできるようになったことで、読者に「長すぎる、多すぎる」と思われる可能性もある。
編集という作業には編集者の意図が多かれ少なかれ反映されるもので、あまりにもそれが前面に出過ぎても嫌だけど、逆にあまりにも「素材そのもの」だけを提供されるっていうのも、編集者の存在意義がおぼろげになってしまう気がする。バランスが難しい仕事だし、もうそこらへんは好みの問題なのかなあとも思った。