見えない鎖

著者 :
  • 潮出版社
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本棚登録 : 102
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267018534

作品紹介・あらすじ

失踪した母、殺害された父。そこから悲しみの連鎖は始まった。私は"幸せ"ですか?人間の"業"とは、そして幸福とは。乱歩賞作家が問いかける、予測不能の人間ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 警備員の父が殺害され、犯人と目される人物も不可解な遺書を残して縊死した。父の死の真相は?

  • 2019.02.17午前2時
    学生時代以来ではないけど、昨日の13時から読み始めたこの本を寝る前に手にとって一気に読み終えた。久々の経験から来る感動と小説の中身からの感動とで満たされている自分がいる。
    言葉は時として残酷だ。人の命だって奪いかねない。しかし、人を救うのもまた言葉かも知れない。
    人を犯罪行為に走らせておきながら逮捕もされず、何の裁きも受けない人間がその陰に存在する。
    法律に抵触することだけが悪ではない。法律に違反しないと裁判官が判断すれば、無罪放免されてしまうことに耐えられなくなった。
    本当に強い人というのは勝ち続けている人をいうんじゃない。負けても負けても、負け続けたとしても自分を見失わない人なんだって。その人は結局、人生に勝利しているんだとね。
    最後の「乗り越えなければならない心の山が、そこにあった。」これほどほのかで純真な愛情表現を言い得てる言葉はない。すごいラストだ!
    鏑木蓮に出会えて良かった。

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    失踪した母、殺害された父。そこから悲しみの連鎖は始まった。私は“幸せ”ですか?人間の“業”とは、そして幸福とは。乱歩賞作家が問いかける、予測不能の人間ミステリー。
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    主人公は、短大で栄養学を学ぶ19歳の生田有子。幼いころ母が家を出ていき、父のためにと家事をこなしてきたからか、とても19歳とは思えない大人な印象である。だが、そんな折、建設現場の警備員として働いていた父まで殺されてしまう。一体父は、だれにどんな理由で殺されなければならなかったのか。警備会社の社長で、父の友人でもある元刑事の中原の力を借りて、独自に経緯を調べ始めると、少しずつ鎖を手繰るように、思っても見なかった事実が現れてくるのだった。殺人事件の謎を追う様子はもちろん、人間関係や感情の動きが濃やかに描かれていて、人間ドラマを観ているような読み応えがある。正義とは何か、罪に見合う罰とは何か、不仕合せと不幸のこと、そして自分を信じるということについて深く考えさせられる一冊だった。

  • サスペンス的にありそうな話でした。いっきに読みました。

  • 突然父親を失った女子短大生・有子。しかも怨恨による殺人の可能性が。しかし時が経つにつれ、何故?どうして?という感情が次々と沸き起こる。「もっと自分を信じてあげなさい」という早乙女先生の一言で、自分を見つめ直した有子は新たな一歩を踏み出していく。

  • 悪とは何か。自分でも時折考えることがあるテーマだけに、興味深かったし、その分辛くもあった。突き刺さる言葉が至るところに

  • 失踪した母、殺害された父。そこから悲しみの連鎖は始まった。私は“幸せ”ですか?人間の“業”とは、そして幸福とは。乱歩賞作家が問いかける、予測不能の人間ミステリー。

  • マイナスの要素が重なり合って悲しい事件が起きてしまう、、、。
    主人公は小学生の時に母親が失踪して短大生の時に父親が殺されてしまう。
    「どうして父が?」そんな疑問から父親の友人から話を聞いたり失踪した母親と再会する事で段々と強く自立しようとする主人公。
    読んでる途中で、「実はこの人が犯人なんちゃうん?」なんて思ったけど違ってたり( ´艸`)
    読み終わって、「なるほどねぇ。」って思ったしグングン読めたけど普通(笑)
    あと、登場人物達が話してる神戸弁が微妙に神戸弁じゃないのが気になるぅ(ー_ー)
    それでも、★4つなんは神戸が舞台やったからオマケ(^_^;)

  • 盛り上がりに欠けます。主人公の魅力もそれほど感じられないし,もと伝説の刑事の人物像もなんかリアルに感じられない。てっきり・・・と思ったのに,そうでもなかった。

  • 突如起こってしまった身内の不幸。なぜそうなってしまったのか、という原因を追い求めるミステリ。犯人は分かっていて世間的に事件は解決しますが。遺族としては、なぜ殺されてしまったかという事情が分からないと、気持ちが治まらないものなのでしょうか。痛々しくはあるけれど、読後感は悪くないです。
    発端はちょっとしたことなのだけど、そこから繋がってしまった「見えない鎖」はあまりな悲劇。とはいえ、天網恢恢疎にして漏らさずとはよくぞ言ったもの。やはり自分の身に降りかかってみないと分からないものかもね。

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著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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