音楽選書オルフェ 新 音楽家の社会史 (オルフェ・ライブラリー)

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  • 音楽之友社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784276371019

作品紹介・あらすじ

まだ無名の音楽家が、ひとつのステージを持つことの困難さは今も昔も変わらない…。音楽の消費が着実に増大した19世紀ヨーロッパ社会の中で、市民の音楽生活はどうだったのか。現在の音楽社会への問いから生まれた、音楽社会史研究の出発点ともなった名著の改訂新版。

感想・レビュー・書評

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  • 当時のテキストが多く参照されており雰囲気もつかめる、ただし代わりに少々読みづらくなってしまった印象。

  • クラシックの作曲家は貴族をパトロンにして活動していたというなんとなく抱いていたイメージを覆しはしないんだけど、大きく修正しなくてはというのが読後の第一印象。

  • 17世紀から18世紀にかけて、モーツァルトやベートーヴェンが活躍した時代のヨーロッパの音楽家事情について、経済面ゃ社会的な面から描かれた本。
    この時代というのは、産業革命やフランスの革命とあいまって、社会の構造が著しく変化した時代であり、音楽の在りかたも大きく変化した。音楽が大きな娯楽になる一方で、芸術性も高まり、音楽家が需要が大きく増したにもかかわらず、社会的な地位は使用人のそれと変わらないままだった。宮廷楽団員でもない限り、音楽だけでは食べていけないので、たとえ売れっ子の音楽家といえども、ピアノのレッスンはもとより、楽譜の出版や批評活動に手を染めなくてはならなかった。が、このことは一方で、音楽文化の発達と成熟も担っている。
    また、著作権という概念も未発達で、有名な作曲家ほど海賊版に手を焼いたという。
    音楽家自らが、ふさしい立場を得るために奮闘する様子も紹介されている。
    読み終えて思うのは、現代の音楽シーンが抱える問題はすべてこの時代に顕在化していたということ。非常に興味深く読めた。

  • 【選書者コメント】19世紀の音楽家の日常が分かる、興味深い本。
    [請求記号]7600:1024

  • モーツアルトが、ベートーベンが、シューマンが
    そして多くの名もない音楽家が堂のような社会の中で生きてきたのか
    音楽を聞く心構えがかわってきそうです。

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著者プロフィール

1952年山形生まれ。東京藝術大学大学院博士課程満期退学。現在、桐朋学園大学音楽学部名誉教授。18、19世紀を主な対象とする音楽社会史、音楽思想史を専攻。
著書に『新版 クラシックでわかる世界史──時代を生きた作曲家、歴史を変えた名曲』『ピアノ大陸ヨーロッパ──19世紀・市民音楽とクラシックの誕生』(以上アルテスパブリッシング)、『神と向かい合った作曲家たち──ミサ曲とレクイエムの近代史 1745–1945』『《ドイツ・レクイエム》への道──ブラームスと神の声・人の声』『シューマン 全ピアノ作品の研究 上・下』(以上音楽之友社)、『ピアノの誕生』『クラシック 名曲を生んだ恋物語』(以上講談社)、『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』(平凡社)、『世界史でたどる名作オペラ』(東京堂出版)、共著・共編書に『ベートーヴェン事典』(東京書籍)、訳書に『魔笛とウィーン』(平凡社)、監訳・共訳書に『ルル』『金色のソナタ』『西洋の音楽と社会(7)ロマン主義と革命の時代』(以上音楽之友社)、『オックスフォード オペラ大事典』(平凡社)などがある。

「2023年 『バロック音楽と国際政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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