この子を残して (平和文庫)

著者 :
  • 日本ブックエース
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784284800761

感想・レビュー・書評

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  • 友人と話していてご実家が長崎だと知った。
    いろんな話を聞いて……
    少し前「長崎の鐘」を読んだので、もっと知りたくて図書館で借りた。
    クリスチャンとしての真の信仰に支えられ闘病の中で
    残していかねばならない愛児への切なる想い。
    そこにも信仰が貫かれていた。
    是非「如己堂」を訪れたいと思っている。

    むごたらしい原爆
    過去のもののはずなのに またしても!
    「戦争を終わらせるための必要悪」だったという認識は覆っていない。
    何なんだ、この世界は!

    ≪ ただ祈る 我が子の未来 ロザリオを ≫

  •  永井博士の存在を知ったのはたった3年前だ。修学旅行先が長崎に決まり、その下見の際に先輩の教諭から如己堂を訪れることを勧められた。
     その際、資料館も訪問して、永井博士の簡単な略歴は知っていたが、本書を読んで初めて、この人の思想を理解した。

     永井博士はただのキリシタンではなく、心より神を信仰する真のキリシタンであったのだと感じた。
     本書では、残り少ない命を感じながら、父として少しでも子に伝えられること(信仰心)を丁寧な言葉で綴っている。

     戦争の悲惨さ、物悲しさ、そんなものよりも、父の愛を感じる文章である。
    重要なのは過去の悲惨な出来事ではない、現状のありのままの自分を受け入れ、自らに求められていることのみをする、それが人類の在り方だ。
     永井博士は戦争や平和なんて言葉はちっぽけなもので、もっと大きなものに心をゆだねていたのではないか。そう感じた。

  • キリスト教信者の方には博士の気持ちがストレートに伝わるのだろうけど、キリスト教の解釈に理解が及ばず、我が子を思う気持ちは痛いほど分かるものの、孤児や孤児院関係者に対する辛辣な表現に耐えきれず途中で断念。

  • 4.13/47
    『この子を残してーこの世をやがて私は去らねばならぬのか!(本文から)
    長崎で原爆にあい、放射線を浴びて不治の原子病患者として床に伏す父親と、二人の幼い孤児予定者。
    この三人が生きてゆく正しい道はどこに或るのか。父親が考えたこと、子どもたちがしたこと、子どもたちに話したいことを、後で読んでもらうために書きに書いた父親の遺言書ともいえる感動の書。』(「Amazon」サイトより)


    冒頭
    『うとうとしていたら、いつの間に遊びから帰ってきたのか、カヤノが冷たいほおを私のほおにくっつけ、しばらくしてから、
    「ああ、……お父さんのにおい……」
    と言った。
    この子を残して――この世をやがて私は去らねばならぬのか!
    母のにおいを忘れたゆえ、せめて父のにおいなりとも、と恋しがり、私の眠りを見定めてこっそり近寄るおさな心のいじらしさ。戦の火に母を奪われ、父の命はようやく取り止めたものの、それさえ間もなく失わねばならぬ運命をこの子は知っているのであろうか?』


    『この子を残して』
    著者:永井 隆
    出版社 ‏: ‎日本ブックエース
    単行本 ‏: ‎262ページ

  • 2人の幼い子を残して逝かなければならない心情が痛いほどよく伝わってきた。敬虔なクリスチャンであり、放射線専門医であり、一人の父親であった。
    孤児に対する偏見や、血縁のみがホンモノで育ての親を全否定しているところは相容れなかったが。

  • タイトルから想像されるような子供へ哀切の情が述べられているのは本書のほんの一部です。

    確たるカトリック信仰を持つ著者は、自らの病も神の摂理と信じ、やがて孤児となる我が子の運命もきっと神が道を備えてくださると信じています。
    浦上周辺の雰囲気が感じられて良い本でした。

  • ふたりの愛児向けの書。価値観が異なる自分には、申し訳ないけど読むのがきつく(苛ついて)ながら読みで読了した次第です。
    この残されたふたりが、幸せな人生を辿れたのか、かなり気になりました。
    少なくとも戦争や原爆、闘病の書ではありません。

  • 1949年(昭和24年)ベストセラー
    請求記号:Fナガイ 資料番号:011412467

  • 富山などを舞台とした作品です。

  • 大戦中被爆した長崎医科大学の医師・永井隆博士の随筆。
    原爆症により病床に伏しながらも、貧しい子らや原爆症に苦しむ人々のために研究と執筆活動を続けた永井博士。
    二人の子供を残して死に行く自分への悔しさと、子供への愛が切々と綴られた本作は、改めて平和の意義を考える機会を与えてくれる。
    「家族愛」という普遍的なテーマで戦争が描かれているため、現代に生きる私たちも「過去のものではない」戦争を追体験できるだろう。
    「汝の如く他人を愛せよ」という聖句から名づけられた畳二畳の「如己堂」で執筆された名著のひとつ。

    人生で必ず一度は読んでおきたい本のひとつである。

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著者プロフィール

1958年群馬県生まれ。明治大学経営学部卒。東京タイムス記者を経て、フリージャーナリスト。著書には『究極にうまいクラフトビールをつくる』(新潮社)、『ビール15年戦争』『ビール最終戦争』『サントリー対キリン』『人事と出世の方程式』(日本経済新聞出版)『国産エコ技術の突破力!』(技術評論社)『敗れざるサラリーマンたち』(講談社)『一身上の都合』(SBクリエイティブ)『現場力』(PHP研究所)など多数。

「2023年 『日本のビールは世界一うまい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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