人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~

著者 :
  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784297135652

作品紹介・あらすじ

ユーザー数が伸びるにつれて多くの要望が出てきても、新しい機能をスピーディーに追加できなくなってきた。
ちょっとした修正のはずなのに、ものすごく時間がかかる。

――そのようなことが起こる原因は、ソフトウェアが変化に適応できないから。

プログラミングを学んでも理解できないソフトウェアの本質を、プログラマーとして12年、経営者として12年の経験を持つ著者が集大成。

・完成しても終わりではない
・人が増えても速くならない
・たくさん作っても生産性が高いとは言えない
・人に依存せず同じ品質にはできない
・プレッシャーをかけても生産性は上がらない
・見積もりを求めるほど絶望感は増す
・一度に大きく作ると得に見えて損をする
・工程で分担しても効率化につながらない

これからの事業の成長に欠かせない思考法がわかる。

感想・レビュー・書評

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  • システム開発を進める上での「啓蒙書」である。

    人が増えても速くならない、というタイトルが既に真理を述べている。遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけになりかねない。人を増やすことで、教育コストやコミュニケーションコストが嵩むし、タスクを分解するにも限度がある。マネジメントの難易度も高まる。

    ソフトウェアのプログラミングにおいては、人数と生産性に必ずしも短期的には相関関係がない。工程を分離するよりも、できるなら、1人の人間が一気通貫で担当する方が、動的なソフトウェアを維持しながら変更していくには都合が良い。

    そう考えると、既にいる人たちの生産性を上げることの方が有効な場合がある。高い生産性を出せるような環境の用意やクラウドの性能の増強など。給料や受注金額を上げ、そのプロジェクトに関わる少数に振り分ける方が、人を増やして、一人当たりの取り分を減らすよりもよほど有効だと思う事は多々ある。しかし、組織は特例を作りたがらず組織の慣習に従うのが常だ。既得権化させたくないし、他者からも同様な要求を受けかねないからだ。インセンティブ制度は、事程左様に難しい。

    プログラムは単純に手を動かすだけでは開発できず、プログラムを書く仕事で求められるのは抽象化能力である。「近い未来は解像度高く、遠い未来は曖昧なまま」。肌感覚で分かっていた事を言葉にしてくれたような本だ。

  • エンジニアに向けてはいないと思っていましたが、AWS のセミナで「お客さんに説明する目線でエンジニアが読んでも良い本である」と評価されていたので「なるほど」と思い読了。

    まだ本書のように説明できるほど上手に言語化できなさそうですし、意外と肚落ちに至っていない部分もある感触ですが、また再読してみたい本です。

  • 文字数も少ないし、平易な言葉で書かれてるのでさくさく読めた
    それでいてなるほどそういうことが起こっていたのねとわかりやすい

    私は開発側で、作って欲しいものの依頼が来た時に「どういう用途/シーンで使うのか?」とかを最初のきっかけから知りたかったんだけどなんでかその質問の時に毎度座りが悪いというか、「なんでそんなとこまで聞くん…?」感を相手から感じていた、が、見積もりむずいの章で「受発注の関係になりがち」というのを聞いて合点がいった
    おそらくビズ側は作ってもらう分、せめて仕様は固めていこうと決めてきてるのに、それにもしかしたらケチをつけられてるというか「この仕様じゃ足らんかったんか?」という気持ちになってたのかもしれない

    円滑な開発にはエンジニアとビズの協働が大事とあり、そのためには「前提やきっかけから開発者も知ることが必要」と伝え続けること、1〜2週間など細かい単位で成果物進捗を見せることが必要な模様
    どうも作り出すと「これも付いてるときっと驚かれるゾ」と作り込んでしまうところがあるのでそんな個人的なサプライズ欲は封印してちまちま見せていけるようにしようと肝に銘じる

  • 非ソフトウェアエンジニアが、ソフトウェアエンジニアと仕事をする上での考え方を教えてくれる本

  • かなり凄い本
    この著者の方は何冊か本を出版しており、それの最新作
    内容がかなりシンプルかつ濃厚で、時間があまり取れない人でも読めるようになっている

  • 令和の「人月の神話」。
    意図的に平易な表現が使われ、ページも少なく、30分あれば一通り読み切れるサイズ感。
    エンジニア経験者なら「何を当たり前のことを」というような内容で、コンパクトにまとめたがゆえの語り落としもある(スクール出たてのエンジニアが戦力にならないとしたら、彼らはどう育てるの?とか、急かすと将来に影響があるのはわかるがビジネス的に守らなければいけない日程とはどう向き合うの?とか)。けれども、そんなハンデを背負いつつも「届きやすさ」に勇気を持ってふりきった本書に心から敬意を表する。

  • 2023.05.25 著者のツイートで見つける。アジャイル開発の方法は全てのホワイトカラーの生産性向上につながる。
    https://twitter.com/kuranuki/status/1655417523960180736

    2023.06.14 読書開始
    2023.06.16 読了 
    2023.06.16 社内読書部で紹介を受ける。

    【書評】『人が増えても速くならない』~アジャイルはソフトウェア開発者だけのものではない~ : なおきのブログ
    https://naokis.doorblog.jp/archives/agile_kuranuki.html

  • 感想
    なぜ生産性が上がらないのか。仕組みができていない。仕組みを理解していない。それ故に現場は散発的な思考を要求される。一本化されない。

  • 非ITエンジニア向けにシステム開発の原則を教えてくれる本。
    文字数が少なく、簡単な単語と表現で整理されていて、とても読みやすいです。

    IT用語を使わずにブルックスの法則、プロダクトマネジメント、アジャイル開発の要素を盛り込んでいるので、システム開発に詳しくない誰かへ説明するナレッジとしての学びがありました。

  • エンジニアの考え方や事情をただ記述するような、いい意味でで思っていたような本ではなかった。エンジニアをマネジメントする場合の考え方を示してくれる良き本でした。

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著者プロフィール

株式会社ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。1974年生まれ。京都府出身。小学生からプログラミングを始め、天職と思える仕事に就こうと大手システム会社に入社するも、プログラマ軽視の風潮に挫折。転職も考えたが、会社を変えるためにアジャイル開発を日本に普及させる活動を個人的に開始。会社では、研究開発部門の立ち上げ、社内SNSの企画と開発、オープンソース化をおこない、自ら起業すべく社内ベンチャーを立ち上げるまでに至る。しかし、経営の経験などなかったために当初は大苦戦。徹底的に管理する方法で新規事業はうまくいかないと反省。徐々に管理をなくしていくことで成果をあげる。最終的には事業を軌道に乗せて、その社内ベンチャーをマネジメント・バイ・アウト(経営者による買収)することで独立を果たして、株式会社ソニックガーデンを設立。ソニックガーデンでは、月額定額&成果契約の顧問サービス提供する新しい受託開発のビジネスモデル「納品のない受託開発」を展開。その斬新なビジネスモデルは、船井財団「グレートカンパニーアワード」にてユニークビジネスモデル賞を受賞。

「2023年 『人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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