- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309014654
作品紹介・あらすじ
アナイス・ニンの膨大に残された無削除版『日記』を、限りない共感とともに、徹底的に読解することでかたちづくられた希有の評伝。少女時代の"謎"に迫る問題作「あるモデルの話」の新訳を収録。
感想・レビュー・書評
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なぜ、作者がアナイスに興味を持ったのかが結局わからない。ヒューゴとの夫婦の絆の強さに、お気に入りのプラトンの球体人間説を見たからなのか。私自身のアナイス観は「少女時代のトラウマを乗り越え脱皮した、稀に見るスケールの大きい成熟した女性」と捉えているので、作者のように少女時代にこだわりを持たれて論じられるのはどうにも奇妙な気がして。自分と同一化できる部分だけをすくい上げているように感じられる。そして、これが自らを殺めた作家の遺作というのも…。不可解です…。
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矢川澄子のエッセイ『妹たちへ』を読んでアナイス・ニンに興味を持ったので読みました。本書はタイトル通りアナイス・ニンの少女時代の評伝であり、彼女を知る上での入門書といった感じの読み物です。アナイス・ニンが書き残した膨大な日記は書籍になっており、そのうちの一巻を買ったので近々読むつもりです。矢川澄子自ら訳したニンの小説『あるモデルの話』は硬質なポルノグラフティ。短い物語ですが、本作を読むとフィジカルなものについてふと考えてしまう。矢川澄子もアナイス・ニンもこれから追っていきたい作家です。
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アナイス・ニンの著作はちくま文庫の『アナイス・ニンの日記』と官能小説集『小鳥たち』を読みましたが、この評伝は『小鳥たち』に繋がるアナイスの少女時代のエロチカを仄めかしています。実際『小鳥たち』の訳者は矢川澄子であるわけで、本文に隠されたアナイスの秘事を暗示するかように「モデル」の新訳を再収録しています。矢川澄子の少女性への偏愛は顕著で、妖しく艶やかにこの評伝にもこめられているのですが‥。その後の熟されたアナイスの姿が見え難く、やはり繕いのない露わなアナイスを知るには無削除版日記を読むしかないのでしょうね。
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有夫の身でありながら数々の浮き名を流し、幼い頃別れた父親と成人後再会し近親相姦の関係になった女性、ユングの謂う「父の娘」、アナイス・ニン。その後の人生を読み解く鍵として、11歳から16歳までの日記を引用し、どのような少女時代を送ったかを読み解く評伝。いつかはアナイス・ニンの無削除版日記を読んでみたい、と、思わせる本。
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矢川澄子がアナイス・ニンを、それだけで読んでみた。
『ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女』で
アナイス・ニンを知った。
もっと他の本を読んでみると面白いのかも。 -
★★★★★