- Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309018744
作品紹介・あらすじ
彗君がかたむける魔酒の向こうに、夢幻と幽玄の世界が官能的に交叉する-亡くなる直前まで執筆された珠玉の連作綺譚。
感想・レビュー・書評
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青い絵が映える装丁に魅かれ購入。魔酒が誘うはこの世か、あの世か、はたまた来世か。そして酔郷に遊び、最後の一滴が喉元を過ぎる頃、残る余韻は現か、幻か?普段読まないタイプの幻想的な短編集、というよりは詩に近い何か。堪らなく花を愛で酒が飲みたくなる一冊だった。ただ綺麗過ぎる。ストロングゼロ民には縁のない世界だ。あと、挿入される漢詩や和歌の知識がなさ過ぎて恥ずかしくなったので勉強しようと思う。
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倉橋由美子の酔郷譚を読みました。倉橋由美子が没するまで執筆し続けた連作の短編集でした。九鬼さんと真紀さんのカクテルによる酔いは慧君をいろいろな場所にいざなってくれるのでした。あるときは天国のような場所に、あるときは霧深い山荘に。そして、倉橋由美子らしい、幻想的で妖艶な物語が語られていきます。こんな魅力的な文体は他の作家では読めないと思うと、この珠玉のような物語がいとおしく感じられます。
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『たんときれいに召し上がれ 美食文学精選』からの延長戦のつもりでいたら、完本である文庫版が真打の様子。しかし単行本もこれはこれで。
文庫版をいざ買ってみたらカバーが声優コラボだった……別に嫌いではないけど帯でいいんじゃないかなそういうのは。本来のカバーのものを見かけたらまた買おう。
古典の情趣豊かな異世界の描出にうっとり。現と夢の境界もあらばこそ、ごく当たり前のようにさらりと酔郷にいるというのがとてもクールで、酔い心地のうちにも頭が冴える。
高等遊民の青年主人公が妖しいバーテンダーの作る魔酒に導かれて異界と交歓する、という決まり切ったパターンの中で、古典のネタを変え異界の風情を変え、夢のお相手も主人公の身さえも変幻自在というめくるめく歓楽を尽くしてしかも飽きさせない。振り返ってみれば、通して読んで食傷するということが全然なかった。筆力のなせるわざだろうか。これは完本も読まねば。そして『よもつひらさか往還』も。 -
作者はお酒にまつわる話を書くと本当に上手い。こんな酒場になら行ってみたい。
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初めて読みましたが倉橋由美子さんは博覧強記なんですね。毎ページ毎ページニヤリとするところあり、追いつかないところあり...。漢学・西洋古典共に精通されているのがよくわかりました。ちょっと嫌味なほど教養を披瀝されます。
しかし文体は異常なほど柔らかく、内容も分かりやすく、この辺りを是とするか否とするかは好みなんでしょうね。個人的にはこの知識量でこの程度の内容にしてしまうのはもったいなくも思いました。教養をただの小道具にするのでは無く、一つのテーマとして掘り下げてみた帰結に興味があります。ともあれ、残るものは無かったにせよ、ページを開いてから閉じるまでは素敵な時間を味わいました。それから、久しぶりにバーでカクテルなど頼んでみたくなりました。 -
2018.01.28 図書館
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面白かったです。読んでいるあいだずっと、酩酊しているような不思議な気分でした。彗君が飲んだお酒の力?で訪れる異界で行われる官能も、耽美で、でもどこか冷静で。九鬼さんも不思議だったけど、真希さんも不思議でした。この陶酔は好きです。著者の最後の作品だと帯で知ってしんみり。
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おもしろかった?
倉橋由美子って、なんかよくわからんけどハイカラでよくわからんけど憧れる、みたいなイメージだったけど、それは10年くらい前に読んだきりのイメージで、今回のはなんかよくわからんけど酔っぱらっていろんな夢を見るだけのぼやけた話だった。
もう一回前に読んでよかったのを読み返すところからやってみようかな。