- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309019413
作品紹介・あらすじ
お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎-かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。
感想・レビュー・書評
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最近体重が落ちませんw
ってな事で中村文則の『掏摸 スリ』
中村さんは教団Xを初めて読んだんで、ちょっと抵抗あったけど、何のなんの読み易いし面白かった♪
若い時から掏摸を生業としている『僕』は裕福な人からしかスらないし、必要なお金しか取らずカードや財布は郵便ポストへ入れれば警察経由で本人へ戻る……。
そんな僕の師匠が有る仕事の後に行方不明に……。
そんな仕事を仕切る木崎といつの間にか引き込まれ仕事をさせられる。
勿論、断ったり失敗すれば命の保証も無い
無理難題な仕事もこなしていた僕だったが……。
2016年25冊目詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山崎ナオコーラさんが好きだと、なにかのエッセイで書かれていた中村文則さんの作品。読むのは初めて。
「何もかも憂鬱な夜に」を読んでみたかったのだけど、図書館になかったので有名だというこちらの作品を手にとる。
ゆったりとした純文学とか、物語やキャラクターを通じて社会的なことを考えられる作品が好きなので、ハラハラするような小説は久々に読んだけど、とても面白かった。純粋に楽しめた。
他の作品も読もうと思います。 -
「すべてに満たされているのなら、小説は必要ない」
と、あとがきにあるように、
小説や物語でしか経験できないことがある。
掏摸にあったこともないし、あいたくもない、
そして、けっして、掏摸になりたいとも思わない。
「男の子」という名前のない登場人物が、
とても読んでいて辛かった。
あえて、名前を付けないことに、意味があるのだろう。
万引きは、ある意味病気の場合がある。
掏摸の場合は、どうなんだろう・・・ -
雰囲気がクール。派手な展開が無い分、心情や暗喩が充実している。
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この作者の作品はどれも灰色なストーリーで、感動したりすることはあまり無いのだけれど、感情の底の方をえぐられる思いを味わいたくて読んでしまう。
読み始めた瞬間からハッピーエンドになる事は無いと分かっている。
醒めた感情と色の無い世界、諦めた思いで語られる物語。 -
「掏摸」という漢字はスリっぽくない。あまり見慣れないせいなのかもしれない。少なくとも私は書けないし、突然出てきたら多分読めない。
ねずみ小僧のようにお金持ちからしかスらないとい拘りは、読者を見方につける。 -
作中に何度も出てくる「塔」は何の象徴なんだろう?運命や権力など絶対的なものなのか?
最後にほんのわずかだけど「希望」のようなものが描かれているように感じられたのが良かった。