異性

  • 河出書房新社
3.54
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021041

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    クスクス笑いながら読んだ。
    角田光代さんが女性の恋愛観を、穂村弘さんが男性の恋愛観を語っているのだけど、どちらも個人の経験から出来上がっているから単純に女性側に共感出来るわけではなかった。
    それがまた面白いなぁと思う。
    角田さん、穂村さんどちらの話にも「えっ、そうなの!?」という驚きがあり、同じくらい「分かる気がする」という共感があった。

    でも「分かる気がする」と、「私もそう」はやっぱり違う。
    読み終わってから全体の印象をぼんやり思い返すと、やっぱり私は女性側だった。
    性別がそこまで個人の感覚(?)に影響しているというのは、当たり前だと思ってきたけど、よくよく考えると気持ち悪いかも。
    人間→日本人→女性→個人くらいの階層になっていて、それぞれの階層で共通項があって…、個人レベルで決まるのは本当に些細な部分なのかもしれない。

    私にとっては、異性だけではなく、同性についても勉強になる本だった。
    女性って実はかなりこわいんだな、とか。
    男性って意外といい加減なんだな、とか。
    恋人の言動に悩む友人にも薦めてみようかな。

  • 男と女って切り口は結構乱暴なところはあるのだけど、なんとなくわかる、の積み重ねで、うーんそれは違うなぁ、とか、いやーそれはわかる!確かに!がちょいちょい混じってきて、結果それなりに共感ができる、って言うのが実は作家の力なんだろうな、と思う。自分の考えのようで自分を小出しにしかしない、というところが上手い

    2023.10.17
    173

  • 人って、わからない事をわからないままにしておく事が出来ない性分なのかな?

    宇宙のこと、人体のこと、ミクロの世界や、数字の不思議、ウィルス、宗教、はたまた地球外生命体に至るまで。

    あらゆる分野にあらゆる研究チームが設立され、
    その生涯を全て研究の為だけに捧げた偉人だって決して少なく無い。

    …が、そのなかでも誰もが(一人研究チーム)を抱えてる最も身近な『謎』と言えば
    『異性』のこと。
    では、ないだろうか?

    わかりあえてるようで、わかりあえてない。
    真意が全くつかめない。
    近づきたいのに、触れ合いたいのに、溝が全く埋まらない。

    (さぐりあう)
    (表情を読む)
    (言葉の真意を推理する)

    これも一種の研究とは言えないかな?

    人は、本能から異性の存在は絶対必要だと確信しているからこそ、
    わかりあえる仲になりたい。
    もっと親密に付き合いたい!と、願う。

    だが、その方法がわからなくて、憶測でしか考えられない、異性の存在はやがて、(神格化)してしまう…なんて事もあるのではないだろうか?

    ああ、やばい、やばい。

    異性の存在が遠くなりすぎたら、ヤバい。

    案外、その神々しさなど簡単に剥がれるもの、と言うのが、この本を読めばよぉ~~くわかる。

    要は、研究チームなどを心に設立しなくとも、
    本音曝け出して語り合えばいいのだ。

    プライドや羞恥心を全て捨て、
    心の底から
    (あたしはこうだけど、あなたはどうなの?どうなの?どうなのっ?)と、詰め寄る。

    すると、案外何でもない様な心が返って来るのだな。

    角田さんと穂村さんは
    心の隅から隅まで、余すとこなく異性について思う気持ちをぶつけあった。
    そこには
    男女の考え方の相違、
    見栄や虚勢を張りたくなる心理、
    思わず、なんども
    (わかる、わかる)(うんうん、そうそう!)
    鋭い所を突くお二人なので、
    感嘆させられる箇所がたくさんあった。

    夢見る乙女も
    アイドルに憧れる男子達も

    この本を読めば、その憧れの対象は
    自分と大差ない、事に気付いてホッとするかな?


    それとも、がっかりしてしまうかな?

    充分承知のうえで、(雲の上の存在)として思い続ける事もまた、悪くはない事ですけれど♪
    異性の存在ってやはり、キラキラしたものですからね。

  • 対談かと思ったら往復書簡的なエッセイ。
    角田光代の本は初めて読むが、この人も「女子高出身」なんだな。
    女子高出身の書き手の独特の湿度がちょっと苦手だ。
    必ず「共学の女子は男の目を意識している」って書くのは
    どんなコンプレックスなんだろう。
    意識するのは「男の目」ではなく「相手の目」。
    女ばかりで周りを意識しない態度はただのオバサンではないの。
    穂村さんと角田さんのやりとりのなかで、
    男性女性ならでは、個人ならではの思いこみや無意識があらわになるのが面白い。
    読みながら共感したり、うげ、と思ったり、発見があったり、
    男女の内面は一筋縄ではいかないのだ。
    文体は穂村さんの方が味わい深い。

  • 「カクちゃん」こと角田光代と「ほむほむ」こと穂村弘の二人が異性について考えてみました。
    内面か外面か、おごるか割り勘か、という些末な事象から恋愛そのものといったまとめ的な内容に至るまで、男女の視点で交互に考察し合っている。
    カクちゃんのとがった物言いもいいことはいいのだが、頭の中を素通りしてしまうことが多く、エッセイとして読む分には、ほむほむの文章の方が心に残るなぁと思った。

  • 最初は二人のやりとりが面白く、男と女はこんな風に違うんだねーと読んでいました。

    しかし、最後はなんだかしんみり。
    穂村さんのせいです。
    「あれっ、変だな、同じことしても前は笑ってくれたのに、って感じた瞬間に、もう私は死んでいる」
    あああああわかるー

  • 角田光代さんと穂村弘さん、男と女の違いをそれぞれの視点から綴ったリレーエッセイ。
    これは、かなりおもしろかったです。

    女性視点では「そうそう、そうなんだよ!」と激しく肯きながら。
    男性視点の意見には、「えっ、そ…そうなのか…」と過去の自分の姿を思い浮かべつつぎくり。
    おもしろいのは、角田さんも穂村さんもお互いにやり取りする中で、積年の疑問が解けたり、「そうだったのか!」と新たな発見をしているところ。
    観察眼するどいお二方ゆえに、余計に目が離せないのです。

    興味深かったのは、男性の「所有」感覚について。
    確かに女性側からすると、男性がスポーツ観戦しながら「俺だったらこうするのに…」みたいなことを言っているのは、よくわからなかったのです。
    だけど、男性としては見ているだけでも「所有」している感覚なのかっ!
    そして男性にとっては、別れた女性でも「5%くらいは自分の女だと思っている」というのも、なんとなくわかってしまう。(これに苦しめられたことがあるのです…)

    そのほかにも、「モテる人には隙がある」とか「好きになったときののめり込み具合の男女差」などなど、とっても勉強になりました!

  • 自分はあっさり忘れたりするのに
    相手には未練たらしくいてほしいと何処かで願う。忘れなきゃいいって。
    性格悪く思う。

  • 面白かった。

    女性は最初の数秒で恋愛対象になるかならないかを判断しているはとても共感した…笑

    女性と男性の恋愛に対する認識の違いはけっこうあるんだなと改めて感じたし、なるほど〜という気持ちで読めた。

    男性は過去に付き合った女性を資産目録に入れるとか、モテる人にはスペースがある、とかが印象的。 

    そして、スペース=自信で、その自信は恋愛や異性に対する自信ではなく、自身の内に直結した何かである…他者を受け入れる余裕がある感じ、というのはかなり共感した

  • 永遠に分かり合えないのかも?

    歌人・穂村弘と作家・角田光代が男と女を代表し、それぞれの考えていることを意見交換していく。穂村さんの意見に、そういうものですか、と感心するような納得するような。角田光代さんも女子校育ちだとは知らなかった。

    ジェンダー論に踏み込むかもしれないけれど、アップデートしたこういう意見交換をまた読んでみたいと思った。時代や世代が変わるとここで語られている「男性」と「女性」もまた変わるのではないか。

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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