- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309203416
感想・レビュー・書評
-
ジャン=クロード・ロマンが何を思って森を彷徨い、車を走らせていたのか、空白の時間と黒い穴を事実の力をかりて埋めていくのだが、本人存命にも関わらず〈要〉は謎のままフィクションとして描いているところが面白い。
それにしても犯した罪<18年間の嘘と家族虐殺>は重くて闇すぎる。
事件や、事件について執筆するにあたっての作者の葛藤(この小説が世の中に出たことで与えうる影響など)には共感する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは小説と言っていいのか?
真面目系クズのジャン=クロード・ロマンが嘘だらけの人生の末に引き起こした惨殺事件についてのレポートのような本。
アニメ「長門有希ちゃんの消失」第1話でこれ見よがしに映り込んでいたので興味を持って読んだ。
嘘つきは長門か、あるいはキョンか。あの平和な世界の先にも、こんな悲劇が待ち受けるのか……。 -
深淵を覗き込む時、その深い洞もまたあなたを覗き込んでいるのだ——「FBI心理分析官」に引用されたことで、犯罪ウォッチャーにはよく知られたニーチェの言葉である。
この言葉の意味するところが知りたければ、長くもない本書を読んでみればいい。何もない虚無、ただただひたすらのむなしさというものを、しみじみと味わうことになるだろう。
5人を殺し、もしかするともう1人殺し、これは確実にさらに1人を殺しそこねたジャン=クロード・ロマンという男は、善良な人々がその所業から想像するような大悪人ではない。彼の徹底した小物ぶりと、引き起こした事態のアンバランス、それがむなしさを呼び起こす。
犯人自身のみならず、子供騙しとしか言いようのないその嘘にころりと騙されていた(被害者含む)近しい人々、同じくころりと騙されている拘置所ボランティアたち、「そんなつまらないことで…」と最初のきっかけにあきれ返る読者たちと、そう言いつつ彼らもまた、似て非なる局面で似て非なる嘘を重ねて生きている、その集積体であるところのうつし世なるもの。
何もかもがむなしくなる、そんな本である。
2014/6/8読了 -
もはや人間ではない。暗く深い「空洞」がそこに在るだけだった。
最も恐ろしいものも人間で、その凄まじい恐怖を感じさせられた。 -
ロマンという、18年間身内と親戚をだまし続けた男の実話に基づいた小説。
こんなことが実際にあるのかという驚き。
ちょっとしたきっかけによって人生が狂い始めることって
よく小説に描かれてるけど
実際の人生にもありうるんだなぁ。
恐いな。
最後に家族を殺してさえしまわなければ
なんとか救われたのに・・・
自分だけ生き残ってしまうなんて悲劇中の悲劇。
-
フランスで実際に起こった、家族惨殺事件をもとにしたお話です。映画化もされましたが、そっちの方はあんまりです。