ヒエロニムス・ボスの快楽の園を読む

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 59
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309264462

感想・レビュー・書評

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  • 「世界をゆるがしたアート(スージー・ホッジ著、青幻舎)」「図説 ヒエロニムス・ボス: 世紀末の奇想の画家 (岡部紘三著、河出書房新社)」「ヒエロニムス・ボスの世界(ティル=ホルガー・ボルヒェル著)」の流れで図書館で借りた。
     宗教を背景とした世界観、また背後にある寓話などその解釈は推測の域を出ないという。ボスは「聖母マリア兄弟会」の会員の中でも名士だったようだから、宗教観を逸脱した絵画は描かなかっただろうというのが大方の見方らしい。
     信者としての素直な気持ちを奇妙な表現で作品に遺すボスの人間性に迫ってみたくなる一冊だ。

  • 「快楽の園」という沢山のモチーフが散りばめられた絵の中の、モチーフひとつひとつについて、聖書や当時のベルギーの風習やことわざと照らし合わせながら詳細に研究してある。

    個人的には、好きなように描いただけじゃないの?と思うバラエティ豊かなモチーフたちに「あああ!これは!!あれだよ!!!」と牽強付会イエー!な感じでのめり込んで持論を展開してゆくノリについていけなかったのであんまり楽しめなかった。
    ちなみに文章はこんなにハイテンションではない。

  • 絵画に描かれたもの(動物、植物、魚、人、背景)が何を暗喩しているのかを事細かに書いている。
    要は元ネタの解説。
    同時代の他の人、絵画、聖書などから推測されるもの、他の方々の解説の翻訳など。
    参考図画も大量にあるのにカラーでないのが残念。

  • 西洋風曼荼羅、と言えばいいのでしょうか。

    ウォーリーを探せ、よりこれ見て育てばよかったかな。この恐ろしいほどに細かい米粒人間、怪物、動物、果物、には∞の謎と、もしかしたら答えが隠されている。
    それを一つずつ先生と一緒に解いていきましょうか、という本。単語の裏意味、西洋(とくにJheronymusの母国であるオランダの)諺なんかを何も知らない人向けに丁寧に教えてくれている。

    宗教を良く知りたい人にもきっと役に立つ、これからいっぱい西洋画を見よう!って人にも役に立つに違いないトリビア本。

    4つ星なのは、重量オーヴァーのせい。画集としては文句がないプリントなんですが。

    私も木箱入りの一万ピースのパズル買おうかしら。

  • 海斗がフェリペに王宮で見せられたトリプティカ、ヒエロニスム・ボッスの『快楽の園』。ボッスについて書かれた本は多いですが、1枚の絵画について深く掘り下げてあり、とっつきやすいと思います。解釈や謎解き、宗教画の基本的な知識まで図解入りで解説との事。絵画に詳しくない人でも大丈夫そうです。

  • 彼の描く人物の目つき、肌、色彩、ヒトならざる物体、風景。「恐い」だけで片付けるには勿体無い彼の名画のひとつ「快楽の園」を様々な部分から解釈していく一冊。是非これを読む前と読んだ後に彼の絵を眺めてみて欲しいです。

  • ヒエロニムス・ボス快楽の園一枚だけにターゲット絵を絞り、図像学的にこの不可解な名作を読み解こうとした珠玉の一冊。その造詣のなんと深く広いこと。聖書を中心とした図像の解読、または他の絵画との比較も興味深く、しかし同時にボスと言う異能の作家に新たなる不可思議のベールを掛けていることになる。今から五百年前、いったいネーデルランドで「森」という名を持った画家は何を見詰めていたのだろうか。

  • 図解入りでわかりやすい。宗教画の理解の仕方も説明してある。

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著者プロフィール

神原 正明(かんばら まさあき) 
1952年大阪に生まれる. 神戸大学大学院文学研究科修了. 西洋美術史・図像学専攻. 現在:倉敷芸術科学大学芸術学部教授. 著書:『ヒエロニムス・ボスの図像学』(人文書院), 『天国と地獄』(講談社), 『ボスの「快楽の園」を読む』(第13倫雅賞・河出書房新社), 『快読・西洋の美術―視覚とその時代』『快読・日本の美術―美意識のルーツを探る』『快読・現代の美術―絵画から都市へ』(すべて勁草書房). 共著:『芸術学フォーラム・西洋の美術』(勁草書房), 『名画への旅・北方ルネサンス』(講談社), 『世界美術大全集・北方ルネサンス』(小学館)ほか.

「2019年 『ヒエロニムス・ボス 奇想と驚異の図像学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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