- Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309408750
感想・レビュー・書評
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未完の作品なのが残念。
文章が美しく、古い言い回しながら物語にひきこまれました。
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まず読む前に知っておかなければならなかったこととして、この作品は「未完」であるということでした。
ページをめくっていき、徐々に終わりに近づいてゆくのに、なかなか纐纈城との一大決戦みたいな展開にならないなぁ、と思っていたのです。そのイメージは田中芳樹の『纐纈城奇譚』や石川賢の『マンガ神州纐纈城』を読んだ記憶からだったのですが、
それらの解説でも「未完」ということは言及されていました。10年以上前に読んだままなので忘れていたのです。そもそも「神州纐纈城」も積読でしたしね。
読み終えて思うのは、登場人物それぞれの決着はついたとしても、纐纈城自体は滅ぶことがあったのかな、という疑問。庄三郎と城主と光明優婆塞、陶器師と源之丞と園女、月子と甚太郎、彼や彼女たちの因縁因果は決着しても、纐纈の深く赤い存在は無くなりはしなかったのではないかな、という気持ちがします。
それだけ惹き込まれてしまう危うさが紛々と感じられた作品である、と読み終えて思います。未完であるが故に、想像をはたらかす隙間が多々あるからでもある。
文体自体が、得体の知れないしかし、引き込まれずにはいられないという、こちらを魅了するための語りだからか。登場人物が心中に抱えているものも敬遠したくあり、進んで触れたいものではないものもあるのですが、だからこそ触れてしまいたくなる
という恐怖と好奇を刺激するのです。
伝奇の面白さはこれです。 -
未読。
アポロの杯/三島由紀夫から。
三島由紀夫が疑いようのない傑作として挙げていた小説のひとつ。知りたい、とにかく知りたい。何を?と聞かれて、何をかはわからぬがとにかく知りたい。と、思わせる作品だそうです。