- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309412245
感想・レビュー・書評
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☆☆☆★
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初の高橋源一郎。
もっと読みにくいかと思ったが、すごく読みやすく、面白かった。
悪とは何か、というテーマを読みやすい文体で重苦しく感じさせずに提起していて、教科書などに取り入れても良いんじゃないかな、と思った。 -
3歳の男の子、ランちゃんの目の前に、マホちゃんが現れた。「世界を『悪』から救えるのは、あなたしかいないの」。ランちゃんは弟のキイちゃんと、世界を救えるのか?「悪」とは何かを問う問題作。
高橋源一郎、初めて読んだ。タイトルや前評判と、まったくちがう話でびっくり。こういう、SFっぽい話を書く人なんだろうか? もっとリアルな物語を書くのかと思っていた、勝手に。
こういう抽象的な話は苦手だ。悪って、結局なんだったのか。ミアちゃんの正体は? ハッピーエンドなの?などなど。うーん、この人の違う本を読んでみたくなった。 -
めちゃくちゃ読みやすいけど、わからなかった。
ただそれだけ。ただただ悔しかった。
解説で絶賛されていることが、まったく理解に追いつかなかった。 -
今日(7/25)の朝日新聞の論壇時評を見て、最近読み終わったこの小説のことに思いが至った。
「悪」とは何か?ミアちゃんの母親が冒頭に発する「わたしは「悪」と戦っているのです」という高らかな宣言。
「風立ちぬ」と「チェルノブイリ・ダークツーリズム」に共通して描かれる、技術の「善悪二面性」。零戦と原子力発電。新しい技術を産み出すことは、同時に新たな事故の可能性を生む。そういう危うい技術革新によって、今の我々の生活は「便利」を手に入れている。
人間は「善きものと悪しきもの」が混じり合った存在である。小説の主人公ランちゃんは、無邪気な子供という存在にも関わらず、さまざまな「悪」と対峙することになる。
ランちゃんは「病」という「悪」に蝕まれている。しかし「悪」と対峙する中で、この世界には存在しない「マホさん」の力が彼を現実世界へ押し戻す。「悪」とたたかうことにより気付くことがある。存在しない者の後押しがあると分かれば、たたかうことはもはや孤独ではない。
論壇時評の中で高橋は「ぼくたちは不完全な、善と悪が混じり合った存在だから、歴史を学ばねばならない」と主張する。歴史とは、先人が「悪」と戦ってきた時間の積み重ねである。そのような現場を目撃し、我々はエモーショナルな問いかけを得ることができる。悪と戦う歴史に思いを馳せること、それはすなわち悲しみを感じるための「ダークツーリズム」なのだ。
そして、存在しないものの働きというのは、僕らが普段「運」と言っているものと無関係ではない。自然や命の連鎖の中で今生きているという現実。歴史を知ることは未来を想像することと一体である。 -
「悪」と戦う
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簡単なようで、優しくない。
単純なようで、根っこが深い。
常に題名を念頭において、読んでください。
「悪」=? -
「悪」ってなんなのか。絶対的な「悪」ってなんなんだろうか。
そこまで言えるものってもう個人を超えて「世界」でしかないのだろうか。 -
心が洗われていく様な言葉、文、文章。現代思想的な観点から、語る事が出来る作品なのだと思うし、そういった具合に読んでみるとまた違った面白さがある作品なのだと思う。ただ、純粋に一つの作品として素敵だなぁと思いました。イッツ・ショー・タイム!
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表題作はハードカバーで前に読んでたから、文庫書き下ろしを読む為に購入。