- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309412825
感想・レビュー・書評
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2014年7月16日読了。富山県高岡での合作時代から「F」「A」としてコンビ解消・その後にいたるまで、藤子不二雄の活動と生み出した作品について論じる本。「ドラえもん論」やF単体に関する評論はあるだろうが、二人合わせて「藤子不二雄」に関する評論は思いの外ないのだという。SFとホラー、少年少女マンガと劇画、白と黒など二人の藤子の個性を区別する要素には枚挙に暇がない、むしろ「漫画に全てを賭けている」「手塚治虫を神のごとく尊敬している」という以外に共通項などなかったのでは・・・?と思うくらいだが、そんな二人が「ストーリー/絵」といった分業ではなく、ストーリー・キャラ・背景など作品に応じて異なる分担で手がけることにより物語に緊張とダイナミズムが生まれ、その要素はソロ以降の二人の活動にも影響を及ぼしている・・・ということか。個人的に自分の興味と関心がFに偏りすぎていたこと、マンガ家としてのAの実力・実績には疑いようがないということを再認識。スタジオ・ゼロの手によるオバQの、二人の藤子と石森章太郎の明らかなタッチの違いなど非常に興味深い。まんが道、途中までしか読んでいなかったがぜひ読破したいものだ。
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濃密な作家論。とてもおもしろかった。SFとホラー、内向きと外向き。物語と絵。世界と個。子供と大人。記号と映像。いろんな対比をしながら、ふたりの足跡を内在的に分析していく。見事な評論だと思います。(2013年3月30日読了)
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二人で一人の漫画家「藤子不二雄」時代からコンビ解消後の軌跡まで、「白と黒」「内向・社交」などなどの対比から二人の漫画的手法や価値観の違いを提示し論じた労作。
巻末の総合作品リストも併せて、これだけ充実した藤子不二雄についての論評は他にない。
2022年6月現在、著者の米沢嘉博氏、藤子・F・不二雄氏、藤子不二雄A氏、解説の みなもと太郎氏、全員が鬼籍に入られた事が残念でならない。