きみの言い訳は最高の芸術 (河出文庫 さ 45-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417066

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいるうちに、うんうん、と首肯したり、逆に首を傾げたり。そんな自由な空間を味わう…。
    どこから読んでもいいのが、エッセイの魅力だと思います。

    最果タヒさんの表現力の豊かさ、言葉選びのセンスはものすごく羨ましくて、そんな「らしさ」がギュッと詰まった濃縮果汁のようなこの本(しかも文庫本!)は、表現力が枯れた時に、それを潤すための栄養のようなものだと感じています。

    個人的に最もシンパシーを感じたのは、「作りましょうましょうましょう」。
    自分が作ろうと思ったものは、頭の中で出来上がっていても、いざ手を動かしてみると、思っているほどうまくできなくて、こうして幻滅を繰り返す。
    ただ、「思ったようにできない」が、ときに「予想とも理想ともかけ離れた偶発的にできたもの」を作り出すこともある。それが楽しい。だから作ることはやめられない…。

    なんか言葉にできないけれど、とにかく書く、と決めて、ひたすらに書き殴るように綴ると、後から見て、ほとんどは意味不明だったりするけれど、予想外の出来栄えに驚くこともあります。
    この、狙っていない偶然のヒット、もしくはホームランが、文章を書くのが下手な自分にとっても嬉しくて、そんな、打率を上げたくなってまた書いています。

    もう一つのお気に入り、「最初が最高系」にもありましたが、やろうと思った瞬間が楽しさ最高潮なのは、自分も同じで、書き始めた時の気持ちは続かないものです。
    だから、なかなかモチベーションを保つのが難しいのです。

    ただ、そう考えてみると、自分の本棚は、読みたいと思った時の、最高潮が集まった本棚なのかも知れません。

    それってなんだか素敵ですよね。

  • だいたい1つのテーマに対して、2ページくらいのエッセイが、わっさ入っている。
    人との関わり方など、これだけ本音で語ると仕事の関係者など、やりづらくなりそうだ笑 最近、ニーチェ関連の本を読んでいたので、作者の考え方に対し、否定的にはならずも、共感までは至らず。

  • 「きっと人は、ちょっとわからないぐらいがちょうどいい」__それはタヒさんの言葉にも当てはまると思う。読んでいると心が満たされたり、?が浮かんだりと忙しい。言葉に向き合ってるなぁと実感できてなんだか嬉しくなった。

  • 詩人の最果タヒさんのエッセイ。
    共感できるところ、できないところ。よくわからないところがあった。
    わかってもらおうとして書いていないところが素敵でおもしろいと思った。

    「わかってもらえないことや、わかってあげられないことが、ちゃんと心地よいままでいたい。わからない部分があるからあなたと私は他人なんです。そういう態度でいたかった。」

  • チェリーボムボムみたいな、きらきらひかる個装のお菓子を、これはどんな味がするんだろうって一つずつ手にとって、開いて、ゆっくり味わう、みたいに楽しい本。
    最果タヒの思想をだーっと羅列したような文章の書き方、抵抗があったけど、途中からはそんなに気にならなくなった。
    悪意とネガテイブ・ポジティブについての話が好き。

  • 友達と過ごすのは退屈な時間ぐらいでいい。友達を楽しませるのが私の仕事ではない。

    人と共有するのは、感情、不幸、苦労よりお天気やケーキが美味しいなど他愛のないものの方がいい。

    他人の人生の背景になれるくらいがちょうどいい。

    他者に嫌われることを恐れてる時点で、現時点自分が好かれてると考えてるから、図々しいbyアンタッチャブル柴田さん

    これらの言葉が刺さりました。

  • 『きみが友達との楽しい時間のために、ひねり出した悪意について。』や『わからないぐらいがちょうどいい』が好きです。

    人や人生を簡単な言葉でまとめたり切り取ったりせず、複雑で雑多な感覚や思考をそのまま行きつ戻りつ表現している感じ、いいですね。

  • 最果さんの思考が手続きを踏まずにそのままストレートに入ってくるような感覚。まあそんなわけはないんだけど。校閲だってあるだろうし。いやでも単行本版のあとがきに「ブログのものがほとんど」ってあったから、やっぱり思考トレースかも?だって考えるときってこんな感じで脈絡なくいくじゃん。

    読んでいるとこんな感じで話し方(書き方か?)が似てくる気がします。読み返したら全然似てなくて驚きましたが。一気に人の思考が入ってくるので、興味深いけど一気には読めません。時間をかけて少しずつ味わいました。
    文庫版のおまけの方が文章が整っている感じがして、ナマ感が薄い気がします。電車で船を漕ぎながら読んでいたからかもしれませんが。

    人の悪意とか、嫌いなものを見たときにその人の本性を感じる、というのは納得です。「うへー!!!」と思う一方で一気にその人を好きになっちゃったり。共通の敵を持て、と似ているようでまた違うんだけど。清廉潔白、非の打ち所がありません!よりも、時に嫌んなりながらも自分と同じでダメなところがあるんだね、と嬉しくなるんだと思います。

  • 世界への見方が似ているところと似ていないところがあり、共感ポイントはピンポイントにはまり、違う部分はそれとして楽しめた

  • タヒさんが自分の横にピタッと静かに座っていて、読み聞かせるでなく、ただ黙々と自分のことを語っているようなそんな一冊だと思った。例えるなら、、電車で隣りに座った人が本を音読してるみたいなそういう感じ

    この本の中にたくさんある言葉に表現にふわっと支えられて、うれしいようなちょっとおかしいようなヘンテコな気持ちで、読むたびにニヤニヤしてしまった

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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