選んだ孤独はよい孤独 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 1714
感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309418452

感想・レビュー・書評

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  • 男と女を分けて考えるのって、今の時代そぐわないのかもしれないけれど
    男の社会というのは、女の社会と同様に面倒くさくて大変なんだなと思った。
    劣等感にまみれた男、虚勢を張る男、流される男、なぜそうなるのか分からない男。
    「面倒くさい」男の話が多かった。いろんな「かかわりたくないタイプ」の男たち。
    要所要所で、「強い女」が出てきてくれてスカッとした。やっぱりある程度は「男らしい」人が私は好きなのだなぁと。

    超短編集。短編というより、これはメモ書きでは?と思うような短さのものもあった。

    タイトルはなぜこれにしたんだろう。

  • 「あのこは貴族」の作者さん、2冊目。19の話からなる短編&超短編集。

    本の半ばまで、おかしくも切なくもなく、どこが“愛すべき男たち”なのかさっぱり理解できない話ばかりで、正直言って読んでいて共感も反発もすらも何の感興も催さなかった(まあ、生きてきた/いる時代が違うよな…)。
    後半からは少し良くなって、その時代を知っている者からすると「1989年から来た男」は話としては分かり易かったし、若い人には「おれが逃してやる」は刺さるんだろうなとは思った。

  • 「選んだ孤独はよい孤独」山内マリコ著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/300456

    山内マリコ「選んだ孤独はよい孤独」書評 理不尽な世の中泳ぎぬく合言葉|好書好日
    https://book.asahi.com/article/11739792

    世界でひとつだけの花──山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』書評|Web河出
    https://web.kawade.co.jp/bungei/2224/

    選んだ孤独はよい孤独|山内マリコ|cakes(ケイクス)
    https://cakes.mu/series/4084

    選んだ孤独はよい孤独 :山内 マリコ|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309418452/

  • タイトルに惹かれて。
    大勢の中に居ればいるほど孤独感が増す人も多いはず。
    孤独の共有と言う矛盾に満ちた読後感でした。

  • ラジオで当選して貰った本。山内マリコさんの作品は初めて。男性の生きづらさに焦点を当てた作品も初めて。女性の生きづらさがあるのと表裏一体で、男性にも窮屈さやプレッシャーなど、色々あるってことをちゃんと分かっておかないと。長くても20頁、短いと1頁の文章で終わるものもあって、さくさくあっという間に読了。「ぼくは仕事ができない」、働くことにおいて男性には逃げ場がないって話にすごく納得して絶望的な気持ちになる。「1989年から来た男」「『おれが逃がしてやる』」「ファーザー」あたりも好きでした。

  • 男子校だったので、大学時代はかなり無理して陽キャラを演じていたのを思い出す。
    年末年始は苗場へスキーに行ったり笑
    それで楽しかった部分もあったけど、帰宅後にどっと疲れが出たし、いざ付き合うと直ぐにフラれた。
    今思うと、私はかなりガキだったと思う。女性の方が早く大人になるのかな。
    でも後悔はしてないです。ホロ苦い良い思い出。
    そんな思い出を巡らせながら読了‥。 
    まだ一人だけ繋がってます。当時一番ムカつく奴だったのに。
    追記:
    ファーザーに衝撃を受けた。子育ては走馬灯のよう。
    ちゃんと育てたのかな?

  • 短編集。「ぼくは仕事ができない」「心が動いた瞬間、シャッターを切る」が印象的だった。「ミュージシャンになってくれたほうがよかった」も短いけれど胸にぐざっと刺さった。
    女は面倒だけど、男も面倒。でも、必ずしも"男だから"面倒とは限らず、男女関わりなく「それって面倒だよねぇ」と感じることもある。もやもやする場所から抜け出せる話もあったり、抜け出せないまま停滞する話もあったり。その匙加減がまたリアルだなぁと感じた。

  • 山内マリコさんの短編小説集。といっても、5行ほどのものもある。
    とにかく、「男らしく」生きること、「男社会」で盛り上がるを強要してくる周りの圧が、もういい加減、嫌!と思っている男性だちの物語。
    私も男子が多い体育会系のクラブにいたので、なんか、あの男の盛り上がりに入っていけなくて、そのスポーツは好きなのに、その雰囲気にどうしていいか分からず戸惑ってる風な男子をいたな、と記憶をたどったみた。
    別にいいんやけど、なんていうか、その輪に入っていかけない男子を「男らしくない」とか「ノリが悪い」とか「面白くない」とか、いじられてしまう男子になっていて、そういうのを笑ってみていた(その時は、男同士のじゃれ合いみたいな感覚に思っていた)女子側の自分。私もなんも分かってなかった若者の一人やった。バカやった。

    とか、そういう自分の周りの男性の本当の気持ちとか、しんどさとか、気付かぬふりをして生きてきてたのだなぁというのが一番の感想。
    だから、男性にとっても、女性たちが「女らしさ」を求められて、「良い妻らしさ」や「良い母親らしさ」を求められて、それがすごいしんどい!!とSNSや新聞で声を上げだして、「え?、どういうこと?」ってなるのかも。
    できれば、男が~!、女が~!という主張ではなく、お互いにリスペクトしながら、もっと自分に合った形で支え合いながら暮らしていける社会になっていってほしい。
    私もつい、ほんの一部のすご~く女をバカにしてくる、一部の男性が嫌いで(男性っていうか、人としてどうなん?ってレベル)、そういう男性と向きあうと、「女はこんなけ損失をくらって生きてるんじゃー!」みたいに言いそうになってしまうので(実際そういう男性と向きあったことはないし、言ってしまったらおしまいだし、できれば平和的に改善したいので、言ったことはないです)、男嫌いのミソジニーになってしまっている。

    えっと、本の中身の話をするとね・・・(ここまで長い)
    「『おれが逃してやる』」って話がさ、すっごい良かった。新入社員として入ってきた若い男性に、先輩男性社員が、男社会が実につまらないかをさりげなく話し、それでいいならここで働けばいいけど、それが嫌なら、自分の生きたい生き方をしろ!と話すシーンがさ、映画か!?と思うくらいかっこよかった。短編小説なのに。

    あと、以前読んだ山内マリコさんの「わたしたちよくやってる」の本のなかにも入っていた「1989年からきた男」という短編小説。この本にも入っていて、ストーリーを知ってるのに、読んでは、納得。あ~ほんとその通り。残業続きの仕事をして、パワハラでへとへとになり、働けども働けども暮らしは楽にならず・・・そんな生き方してる男性が、女性に甘い言葉をささやけると思うか? そりゃ無理でしょ。きっと男性が女性につい暴言を吐いてしまう理由の1つに、相手を気遣う余裕が皆無なくらい憔悴している、ことかもしれない。つまり、日本人、働き過ぎ。

    そのほかに、「あるカップルの別れの理由」。同棲していたカップル。でも同棲してから彼女が急にキレることが多くなった。洗濯物、干し方、料理、買い物、ゴミ出し、掃除、整理整頓のことで、すぐキレる。でも彼氏はなんでそんなことで怒るのか全く分からず、彼女が出て行ってしまった数年後、ふとした場所で彼女の生き方を知るが、やっぱりなんで出て行ったのか分からんという男性の話。分からんのや・・・なんで分からんかが分からんってとこが、たぶん、もう男性はね、「男らしく」「男っぽく」生きてるだけじゃ誰かと一緒に生きていけない時代になってるんよね。

    あと、ぱっと見は仕事できそうな男性を周りにいる人たちから見た感想を連ねた小説。「ぼくは仕事ができないい」。これも、思い当たる。でも、社会的に、男性は仕事ができた方がかっこいい。女性は仕事ができなくてもOK。みたいな空気あるから、男性としてはしんどい。えへっ^^;って笑って済ませないこと多いし。
    もう、みんなで楽になってしまおう~って言いたい。

    山内マリコさんの本って、短編小説なのに、そこに含まれている思いというか、山内さんの叫びというか、「いい加減、みんな気付け~」という熱い思いが詰まっていて、それにひたすら私は頷いてしまう。

  • 男性特有の生きづらさみたいなのもあるんだなぁ。

    与えられた環境の中でどうにかこうにかやっている話が現実的だけど、そこから「俺が逃してやる」というある意味開放される話がかっこよかった。

  • きっと誰にでもあるんだろうな。
    と思えるような、情けない部分、恥ずかしい部分を切り取った話がつまっていて、
    じわじわーとボディーにきいてくるようなパンチ力をひしひし感じる1冊。

    中盤の『ぼくは仕事ができない』で愕然とする思い。1人の人間が、見る人によっては憧れだったり、ろくでもなかったり。人生の表と裏を短い物語で見せられた感じ。

    最終の『眠るまえの、ひそかな習慣』
    この物語が心に残る。
    眠る前に死を想像しながら、人生を後悔する自分を妄想し、友人の顔を思い浮かべる夜の習慣。
    もう会えない人たちに想いをはせながら。
    向上心の影にあるのは、もう元に戻せない過去。
    心にグッと刺さる。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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