- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309461564
感想・レビュー・書評
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世界中の神話には様々な象徴としての山が登場するけれども、
崇高だが必ず近づき得る、どこかに存在するはずの、この世の中心たる山を探そう!
想像の世界に聳える山に、本当に登るのだ!!
……と、意気投合した「山が好き」な人々が盛り上がる、
形而上的登山小説(笑)
登る前に、まず問題の山を探す必要があって、船で航海ってところが、
バカバカしくてイイ。
タイトルは硬いが、中身はクスクス笑える愉快な法螺話。
でも、著者が病死したため未完(涙)
遺稿の中から発見されたという覚書は、
小説を書き進めるためのメモであると同時に「登山論」にもなっていて興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人類にとって山は、天と地を結ぶ神話的な象徴として存在し続けてきた。そんな象徴としての山――つまり類推の山――の頂は不可視なほど高く、かつその入り口は人間の生活圏になければならない。
しかし、世界各国の伝説に登場する象徴的な山々は、ヒマラヤさえその頂は可視圏となってしまった現代においては、類推の山としての役割を果たし得ない。
しかしそんな現代にも類推の山、つまり地理学的にはヒマラヤより遥かに高いけど人々が麓には近づける山が、この世のどこかに存在しているはず・・・。
そんなトンデモ理論で始まる本書は、上述の理屈に賛同した理屈屋の登山家たちがグループを結成し、その山に挑む冒険譚というかたちをとる。
科学的、衒学的、詩的な記述が満載ながらも、どこか全体にファンタジックで神話的な色彩を帯びた本書は、その膨大な情報量にも拘らずなぜか軽快に読み進められる楽しさが特徴で、何とも言えない魅力を放っている。
(トンデモ理論の産物と思われた類推の山が、案外あっさり実在のものとして発見されてしまうのが可笑しい)
そんな魅力的な本書であるが、残念ながら著者の絶筆となり未完である。
本当にこれからますます面白くなってきそうな展開で途切れるので実に惜しい。
調べてみたら著者のもう一つの小説『大いなる酒宴』が今年翻訳出版されている。
これは買わざるを得ないか。 -
訳者のX投稿より興味を持ち、読んでみた。大人の冒険小説という感じ。先を読みたい気持ちと、読み込むに相応しい精神状態を己に求める欲求との間で、妙に時間が掛かってしまった。正直、感覚的に理解できない部分もありながら、素直に「物語」として読んでしまったが、まぁ正解はないのだろう。未完であるのが残念ながら、私たちはまだこの先を受け取る準備が出来ていないのだろうかとも思う。不思議な物語。
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①文体★★★☆☆
②読後余韻★★★★★ -
2008年11月26日~27日。
もどかしい。やはり未完で終わっているのがもどかしいのだ。非常に面白い内容だっただけに、やはり最後まで読みたかった。永遠に無理な注文なのだが。
確かに作者の最期と重ね合わせることも出来るだろうが、やはり作品としては未完なんだよなぁ。悔しいけれど。 -
未完だから4つ星。
ちりばめられた伏線みたいなモノたちを誰かに回収してもらいたい。 -
080116
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著者の死によって未完成なまま描かれた美しく深遠な世界