クライム・マシン (河出文庫 リ 2-1)

  • 河出書房新社
3.64
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463230

作品紹介・あらすじ

自称発明家がタイムマシンで殺し屋の犯行現場を目撃したと語る表題作、MWA賞受賞作「エミリーがいない」他、全十四篇。〈このミステリーがすごい!〉第一位に輝いた、短篇の名手ジャック・リッチー名作選。

感想・レビュー・書評

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  • 殺し屋をゆすった一人の男。彼はなぜ殺し屋の仕事ぶりを知ったのかークライム・マシン
    カジノで勝ち続ける男が強請ってきたールーレット必勝法
    無作法な奴が多すぎるー歳はいくつだ
    無実の罪を晴らしようやく出所した男の話ー日当22セント
    などなどグイっと捻った短編ミステリー14本

    『このミス』の海外部門で1位を獲ったんですよね。
    海外モノはついつい安定の作家買いをしてしまうのですが、これは手が出ました。
    そして大当たり・・・!!!!!

    すごい!全部面白い!こんなにショートなのに、情景が鮮やかに浮かび上がり、まんまと作者の罠にひっかかる。
    中でも好きなのは「エミリーがいない」「罪のない町」「こんな日もあるさ」

    ブラックユーモア、ホラー風味、猟奇もの、ファンタジックなど、テイストは様々ですが、全部面白い!
    オススメです!

  • だいぶ、面白かった!
    自分のなかで評価は3.8点はある。

    短編ミステリーで読みやすく、引き込まれる。
    特に好きな話が、無礼な輩を次々に殺していく
    「歳はいくつだ」

    そして、ラストが微妙に理解できない縛り首の木。
    これは、実際に起こったという解釈でよいんだよね?

    想像力のない人がいるんだなぁ
    というセリフがわからない!!

  • ジャック・リッチー、大好きだ。

    同じ題名の単行本を半年くらい前に図書館で借りて
    読んだのだけれど、
    文庫になっているのをみてドキッとなった。
    その日は「カーデュラ探偵社」の方だけ買って
    帰ったのだがどうしても気になって、
    次の次の日、違う本屋さんで見つけてやっぱり買った!

    単行本に入っていたカーデュラの探偵シリーズは
    別の文庫にまとめられ(「カーデュラ探偵社」)、
    この文庫には「記憶よさらば」が新たに収録されている。

    結末も知ってる、あるいは読みながら思い出す、
    それでも良くできたお話には、わかっていても
    「そうそう!」と確認する楽しみがある。

    「ルーレット必勝法」
    カジノを経営する主人公、
    毎夜毎夜、『ルーレットの必勝法を知っている』
    と言う男が店に現れるようになり…

    「旅は道づれ」
    旅に出る飛行機で出会った女のひと同士、
    お互いがお互いを下にみている感じ、
    相手の話なんて全然聞いてないところが面白い。
    そして、突然「ん??」となる瞬間が…!

    ジャック・リッチーの趣味は
    ターンバックル刑事と同じクロスワード・パズル。
    一時私立探偵をしていたときもあったとか。
    そんなのもなんだか面白い。

  • 短編集。ヒッチコックが絶賛した作家らしいが、生前はあまり評価されていなかったとか。まあこういう作風で高い評価を得るのは難しいだろう。
    表題作でもある「クライム・マシン」を読んでいる時は、実はそこまでとは思っていなかった。勿論内容は面白いし、発想はすごいなと思ったが、展開としては大体予想通りだなあという印象。
    但し、それは最後の4行を読むまで。
    読後何とも言えない余韻が残り、こう締めるか!と素直に感心。
    他の作品もどれもいい意味で予想を裏切られて非常に楽しかった。同著者の作品で他にも文庫化されているものがあるらしいので買ってみよう。
    特に気に入ったのは「歳はいくつだ」「日当22セント」「殺人哲学者」「旅は道づれ」「エミリーがいない」。

  • 軽妙な語り口と奇抜な発想が光る短編14編。短篇ミステリーの名手、ジャック・リッチー名作選!

    面白かったが、ときどき「削りすぎでは?」と思うところもあった。説明不足という意味ではなく、もう少し作品に流れる空気の描写をしてほしい、というか・・・。会話などが「跳んで」いるように感じ、少々不自然に感じてしまうところがあったのだ。

    とはいえ、どの作品も発想と、オチに至るまでの手腕が素晴らしい。
    奇抜な発想ながら、きちんと説得力のある短編集で、ストンとした「落ち」の感覚が心地よい作品が多かった。なかにはブラックなオチも含まれているが、決してグロテスクだとか不快になる類のものではないので、安心して読める。
    私が特にびっくりしたのは、「ルーレット必勝法」、「歳はいくつだ」、「日当22セント」。特に「日当22セント」のオチには笑ってしまった。こういうオチは好みだ。「記憶テスト」もよかった。どちらかというと、ミステリーとして正当なオチよりも、余韻の残るオチのほうが好きだ。

    というわけで、ケチをつけるところがない短編集なのだが、しかしどうも私には痒いところに手が届かない歯がゆさがあって、☆3つ。
    どうやら文体が合わないらしい。もともと私は饒舌な文章が好きなほうなので、なにか物足りなく感じてしまうのだ。発想も手腕も素晴らしい作家だとは思うのだけれど・・・。
    こればっかりは好みの問題だから、仕方ないのかもしれない。

  • 「クライム・マシン」……妻の浮気を疑っているある殺し屋の前に、”タイムマシンを使ってあなたの犯行の数々を目撃してきた”という男が現れ、口止め料を要求してくる。殺し屋はそんな男のことなど最初はまったく取り合わなかったのだが、話を聞いてるうちにその目撃談というのがあまりにもリアルなことが判ってきて・・・。

    「ルーレット必勝法」……カジノに出入りするその小男の客は本当にルーレットの必勝法を知っているのか? でなければそんなに毎日毎日勝ち続けられるワケがない。ある日その小男はカジノのオーナーにこう打診してくる。自分はもうこの店に足を踏み入れない、そのかわりそれ相当の見返りをよこせと・・・。

    「歳はいくつだ」……医者からあと4ヶ月の命と宣告された男は、残された時間を使って、街にあふれる礼儀をわきまえない輩どもを処刑してまわる。すると街はだんだんと変化してきて・・・。

    「日当22セント」……冤罪の訴えが認められて刑期途中で出所できた男。男は刑務所を出るとその足ですぐ、当時役立たずで男を救えなかった弁護士のもとに、ある目的のため向かう。そんな男に、当時偽証をして男を陥れた証人が、ある目的のため接触してくる・・・。

    「殺人哲学者」……男はひとりで思索を続けてきた。思索という崇高な営みだけを。労働などというタワけたものに時間を割くつもりは金輪際なかった。そして男は思いついた。無料で毎日きちんと食べ物をあたえられ、だれの邪魔もされず、ひとりで黙々と思索を続けられる方法があることを・・・。

    「旅は道ずれ」……旅客機の隣同士の席に偶然座ったふたりの主婦。ふたりはお互い自分のことばかりてんでにしゃべりあって、その話の内容には何の接点もない。しかしたまたまある一つの話題が持ち上がった時・・・。

    「エミリーがいない」……この男は前妻を殺し、今回は従妹のエミリーを殺害して庭に埋めた・・・はず。そんな悪党の化けの皮を剥すためにわたしは・・・。

    「切り裂きジャックの末裔」「記憶テスト」……殺人鬼を利用して身近な人間を殺そうとたくらむ男のお話。

    「こんな日もあるさ」……次々と繰り出される簡潔な文章。くるくる変わるスピーディな展開。本書の中でいちばんおもしろい。・・・そして笑える。

    「デヴローの怪物」……これもとってもスピーディ、そしてメリハリが効いている。シャマランの『ヴィレッジ』みたいな怪奇ミステリー。

    「カーデュラ探偵社」「カーデュラ救助に行く」「カーデュラの逆襲」「カーデュラと鍵のかかった部屋」……コージーミステリー×ゴシックホラー。全部面白い。こちらは『ドン・ドラキュラ』みたい。

  • ジェフェリーディーヴァーのクリスマスプレゼントを読んで、あまりにも面白かったので短編集で面白いと噂のジャック・リッチーのこの本を読んでみました。期待していたほど面白くはなかったです。

  • やはりジャックリッチー。
    短編の達人だ。
    全ての作品が気に入った訳では無いが大変面白かった。

  • 【感想】
    ・ミステリ仕立ての星新一って感じ。と多くの人が思いそう。ぼくもそう思った。なかなか皮肉なオチがあって思わずニヤリ。
    ・展開やオチが見え見えのもそうでないのも等しく楽しめる。語り口がいいのだろう。

    【一行目】
     「この間、あなたが人を殺した時、わたし、現場にいたんですよ」とヘンリーは言った。

    【内容】
    ・タイムマシンの機能によって仕事の現場を目撃したと脅された殺し屋。本当にタイムマシンなどあるのか?
    ・確実に勝っていく小男にイラつくカジノ経営者。必勝法があるのか?
    ・余命四か月と宣告された男が始めたことは。
    ・四年服役した後無実だとわかったと釈放された男が弁護に失敗した弁護士や嘘の証言をした証人に復讐を企てているだろうと皆が思っている。
    ・刑務所に入って思索に耽りたい男が見知らぬ少女を殺した。
    ・飛行機で隣の席になった二人の女が話しているうちに。
    ・妻の従姉妹が、妻の不在を怪しんでいる。
    ・切り裂きジャックの末裔だという男がクールな精神科医のところに治療に来た。
    ・住民すべてが善良で誰も罪を犯さない町?
    ・模範囚の女性は何度も釈放審議会で不可となっている。
    ・記憶喪失の「私」はどうやら記憶を取り戻したくないと思っているようだ。
    ・遺体誤認に怪しいものを感じた部長刑事はセレンディピティを巻き起こす。
    ・再登場の部長刑事はなんかヘンな町に泊まることとなる。
    ・怪物が出没する町。

  • やはり翻訳物を面白いと感じるのはなかなか難しい、と思う代表作。

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著者プロフィール

1922‐1983。ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。1950年代から80年代にかけて《ヒッチコック・マガジン》《マンハント》《EQMM》などの雑誌に、350篇もの作品を発表した短篇ミステリの名手。軽妙なユーモアとツイスト、無駄をそぎ落とした簡潔なスタイルには定評がある。「エミリーがいない」でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀短篇賞を受賞。邦訳短篇集に『クライム・マシン』(晶文社)がある。

「2010年 『カーデュラ探偵社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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