なにかが首のまわりに (河出文庫 ア 10-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464985

感想・レビュー・書評

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  • アメリカーナが面白かったので、こちらも読んでみた。
    一つ一つがとても短い話なのに、一話終わるたびに感じる余韻がすごい。本書で描かれている、ナイジェリアとアメリカの空気、それぞれの女性たちの感受性や生きる力などに触れ、視界が開けるように感じた。世界は広い。

  • なんというか・・・今まで読んだことのない生活の物語で、これがリアルなものなのかどうかさえ、私には分からない。ただ、乾いた大地の中に根を張ったような芯のある文章や描写から、きっと現実にとても近いものなんだろうなと感じる。翻訳の力もとても大きいと思う。もっとこの国に生きる人たちを知ってみたいし、登場するもう一方の国であるアメリカの文学も気になった。
    どの話もおもしろかった。「先週の月曜日に」のラストは不穏な予感に満ちていて、「なにかが首のまわりに」「結婚の世話人」ではナイジェリアとアメリカが描かれる。故郷であり出ていきたい国と、夢と挫折のある国。
    宗教について印象的な部分もしばしばあった。
    「われわれを宗教へ導くものは死後世界についての自信のなさだ。」
    「今回だけ。来週はあなたの教会にわたしが行くから」
    「神が人格であるという考えは捨てるべきだよ。」

  • チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。
    アフリカからアメリカに渡って、自己のアイデンティティを見つめる移民文学。アフリカの苦しみを伝えるストーリー。
    僕自身が、そんなステレオタイプで彼女の作品を捉えようとしていないかと、自問する。
    この短編集は、そんな簡単に括ることはできない。

    これまで無知であったナイジェリアに関する出来事を知るきっかけになったが、それ以上に何よりも物語の力に持って行かれた。苦悩を抱えて生きる人の心の震えを描く繊細さと、ナイジェリアの同世代と世界の両方に意識の変容を迫る揺るぎない力強さが、十二の短編に満ちている。
    心が苦しくなる幕切れも多いが、一冊読み終わった後にはポジティブな気持ちになってくる。頑固なまでに私らしくあること。彼女のメッセージに背中を押される。
    次は長編小説を追いかけたい。

  • あらゆる差別や偏見,戦争,階級闘争,断絶と断罪,信仰と信念…あらゆるものが混ざり合って出来上がっている世の中と言う「壺の底」から眺めた風景を擬似体験する様に読んだ.
    無知と傲慢を,抉り出して曝け出されたような気分…
    アフリカ系の名前の馴染みのなさについて行けず,没入しきれなかったか,また時間を置いて読み直したい.

  • アフリカ世界だけど(ナイジェリア)、フェミニズムな内容も含まれている。遠い世界だけど、この屈辱わかる、と共感を覚えることが多い。

  • 初めての衝撃を、たくさん受けた。黒人作家の本をもしかしたらこれまで読んだことがないのかもしれないし、そしてその日常的なことや当たり前なこと、文化をさらっと当たり前に書いていることが一つひとつショッキングで驚きだった。もちろんナイジェリアに住む人々にとっては普通のことなのに。あまりにも自分が何も知らないんだと大いなる自覚をしたし、違う目で今まで見ていたんだとショックを受けた。
    面白い!という印象ではないけど、グイグイ読み進めてしまう新鮮さがあった。新しい文学体験。

  • いままで知らずに過ごしてきたことを後悔。膂力の強い、共鳴する、親和性のある。アフリカと聞いただけで及び腰になってしまいがちな壁を軽やかに越えられた。ぐんぐん読めた。人間はどこにいても、人間なんだ。TEDトークも見てみよう。

  • 良すぎて困る。好きなのは「イミテーション」「ひそかな経験」「ゴースト」「先週の月曜日に」「ジャンピング・モンキー・ヒル」「なにかが首のまわりに」「結婚の世話人」でした。
    どこが好きなのか考えると、世界が見えるところかなと思う。
    どれもちょっと楽しくて哀しくて同じ国じゃなくても分かる。女性は辛いことがたくさんあるってこと。
    読書会の課題に推薦しようと思う。

  • あまり知識のない国のことを、こんな素晴らしい物語で知ることはとても幸せなこと。どんどん言葉がやってくる。押し潰されそうになった。すごい。

  • ナイジェリアの女性たちを描いた短編集
    米国に逃れたい人々、逃れても幸福になれる訳でもない人々

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著者プロフィール

1977年ナイジェリア生まれ。2007年『半分のぼった黄色い太陽』でオレンジ賞受賞。13年『アメリカーナ』で全米批評家協会賞受賞。エッセイに『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』など。

「2022年 『パープル・ハイビスカス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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