これが見納め: 絶滅危惧の生きものたちに会いに行く (河出文庫)

  • 河出書房新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309467689

感想・レビュー・書評

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  • 「銀河ヒッチハイクガイド」のダグラスアダムスによる、絶滅危惧種を訪ねる本。

    ダグラスアダムスなので、期待して読んだ。そして期待通りだった。さすがダグラスアダムス、ユーモアが素晴らしすぎる。生息地に行くまでのドタバタとか、熱心すぎる研究者の先生たちとのやりとりとか。何度読んでいてクスッとしたことか。このユーモアのおかげで、「絶滅危惧種を守ろう」というメッセージがお説教くさくならずに、人々の心にスッと響く。

    でもこの本を読んでて強く感じたのは、「人間って愚かだ」ということ。自慢したい、暇つぶししたい、邪魔だ…そんな理由で動物を絶滅に追いやってきたんだな。野生のコーヒーノキっていう植物は、絶滅しそうだから柵で覆ってたのに、「ちょっとぐらいいいだろう」っていう人々に少しずつ取られていって絶滅しそうなんだという。なんだそれって思うけど、自分も絶対やらないとちゃんと自制しなきゃいけないと思う。自分のやってるちょっとしたことが他の種を絶滅させるかもしれない。この本に出てくる動物の最新情報もしっかり載ってて、切なくなったり安心したり。絶滅危惧種を心の片隅に置いて生きていきたい。

  • 世界各地の絶滅危惧種を巡る旅を描いたノンフィクションで、80年代という時代もあってか、中国やザイール、インドネシアといった国々に対してツーリズムの波が押し寄せつつも、しかしとんでもない異世界といった趣も残っている珍道中を描くイギリスらしい辛辣なユーモアも見もの。もちろん、描かれた動物たちが失われるかもしれない、彼らがいないことを意味は?という問いへの一つの答えを導き出している点でも、とても意義深い一冊だと思う。

  • ダグラス・アダムスの英国人流皮肉にあふれた文章でつづられる、絶滅に瀕した動物たち(当時)のルポ記。
    ヨウスコウカワイルカの絶滅が寂しい。

  • 「銀河ヒッチハイクガイド」のSF作家が世界の絶滅危惧種動物を探る旅。その旅の道中はユーモア溢れる旅行記のようでもある。

  • 絶滅危惧種との遭遇のくだりが読みどころ。人間に接した動物たちの反応は様々だが、描写が巧みでその場の情景と興奮がリアルに伝わってくる。噛まれたのは名誉だという学者の呟きに著者が内心突っ込む箇所は笑えたが、人間による生態系破壊が、それを得難い体験にしてしまったということ。危機に瀕する生物は幾らでもあり、本書で取り上げた種も、保護活動の対象となっている種も、大河の一滴に過ぎないが、現在進行形で進む種の絶滅を、自然淘汰として傍観して良いと考える向きは少数だろう。生活に必要でもないのに種を根絶やしにするのも人間なら、それを阻止し護ろうと働くのも、地球の生物では人間だけ。絶滅危惧種の問題は人間を映す鏡のようでもある。

  • 壜びん しゅうれん収斂進化 肩章 下生えしたばえ 真鍮のテーブルの脚の先にあるような鉤爪 いかめ厳しくも落ち着き払って大統領が見下ろすなか プランテーションを築くのに適した土地を探し回った 安易で抗し難い思い込みによって この公園を訪れる人がとても少ないのは、旧ザイール(現コンゴ共和国)を訪れた者全てを襲うあの狂気の官僚主義的悪夢の為もあると思うが、最寄りのブニア空港から陸路で三日もかかるせいもあるだろう。 気難しい老人のようにちんまり背を丸めて操縦桿を握り 巨大な岩塊と空間がまわりで軽々と旋回するのに圧倒されて この極めて競争力の高いマシンがイギリス諸島(ここでもやはり、厳しい競争を知らなかったのは島の種族だった訳だ。日本も島国なのは私も知っているが、それを認めるとアナロジー(類推)が上手く成り立たないので、ここでは軽やかに無視することにする)にやって来ると、英国のオートバイは殆ど一夜にして絶滅してしまった。 ヘリコプターのローターの耳を聾する騒音のせいで 燦々さんさん かぎ鉤だらけのぎょもう漁網に引っ掛けられ じょうらん擾乱行為 かきん家禽 れいびょう霊廟 しょうしょ詔書を発布 文化大革命の大殺戮 煤で真っ黒な平底船(ジャンク) 外来種がその間隙に飛びついてきて乗っ取ってしまうということだ かんう換羽を終えたばかりでしたが 訳者としては歓喜雀躍であるわけなのだが 遺漏や誤りのないよう確認・訂正してくださった 細長くて少し反り返った口吻をしている

  • 『銀河ヒッチハイクガイド』で有名な作者が、動物学者と一緒に世界中の絶滅危惧種を訪ねるノンフィクション。とても真面目な内容なのだが面白くて引き込まれる。過酷な旅路さえもユーモラスに語られると、それほど大変じゃないような気がしてくる。観光地化されていてがっかりする様子などにも共感させられる。銀河ヒッチハイクガイドを知らない、SFを読まない人にもお勧めの一冊。

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著者プロフィール

1952-2001年。英ケンブリッジ生まれ。1978年BBCラジオドラマ「銀河ヒッチハイク・ガイド」脚本を執筆。翌年、同脚本を小説化し大ベストセラーに。モンティ・パイソンの脚本に携わっていたことも。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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