- Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309621982
感想・レビュー・書評
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狂気が描かれる。特別なこととしてではなく、全ての人間が狂人であるといった前提。ジャンルはニューゴシックだと。読み始めは、もう亡くなっている人の復刻かと思ったが案外最近の作品。父上が最凶の精神病院の院長に若くして勤務した人物らしいが、成長発展時に存分に影響を受けていそう。本人は明らかに健やかで、読み物の中であるからこそ自由に表現している。どれも面白いし好きだが「悪臭」「もうひとりの精神科医」など後半の「信頼できない語り手」からの抜粋がより好み。ぜひ他の作品も読んでみたい。
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不条理で残酷だが、なぜか目が離せなくなる展開のストーリーばかり。
死刑囚を取材するジャーナリストの話がよかった。 -
濃いわりに、中身がなくて1パターン。しかも、悪趣味。
最初の2話ぐらい読めば十分。 -
気がつけば、目をかっと見開いて読んでしまっていたほど、ぐいぐい引きつけられる短編集だった。基本的に暗い視線を通して語られるので、爽やかな物語が読みたい人にはおすすめできないが、ねちねちした感触やエログロをちょっとだけ(でもじっくり)味わってみたいという人にはよいかもしれない。
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好:「天使」「黒い手の呪い」「アーノルド・クロンベックの話」「長靴の物語」「蠱惑の聖餐」
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おもしろいけど、気持ち悪いよ!
「アーノルド・クロンベックの話」「血の病」「長靴の物語」が良かった。そう来るとは! とまさかの展開。「血の病」は場面場面のドラマチックさも良い。B級ホラー映画にしたい。「吸血鬼クリーヴ」「もう一人の精神科医」もイラーっと来る気持ち悪さが面白かった。 -
「信頼できない語り手」の一人称による作品6篇。やられた〜〜全19編のうち、13編は「血のささやき、水のつぶやき」に収録されていたので、6編だけが初読。しかし、この「信頼できない語り手」という表現が、結構いい。言っていることの、どこまでが真実なのかわからずに物語がすすんでいく・・・いい感じ。くどくど長くないところがまたよい。でも、ま、偏った一人称の話なので、なかなかわかりにくくもある。手にして初めてわかった。装画は松尾たいこ氏。この「奇想コレクション」シリーズ全てかも。他の作品群が、また楽しみだな♪
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話の内容よりも父と叔母がともに犯罪心理学など心理学の権威であり、そのことにまつわるエピソードのほうが私としては面白かった。
内容としては原作など背景を知らないと楽しめないものが多かったので読みにくかった。
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ストーリーも雰囲気も訳もすごく好みで、読んでて気持ちよかった(笑)!表題作の「失われた〜」は、探検家の存在が唐突なんだけど物語として違和感がなく、ラストはキュンとせつなくなりました。短編のなかでどれが一番好みか、というのは非常に難しい。表題作をはじめ、『血の病』、『串の一突き』、『マーミリオン』、『天使』等々、奇妙で陰鬱で皮肉で美しくて匂いに満ちた印象的な話が詰まってます。