ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 83
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309801056

感想・レビュー・書評

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  •  年に一度のお楽しみ状態なんですが、こうしてジャック・リッチー本の新作が読めるなんて。幸せを噛みしめつつ、読み終わって叫ぶのでした。「面白かった面白かった面白かった〜♪ジャック・リッチー、最高ー!」 どの作品も犯罪小説でありながら、軽妙洒脱でそこはかとなくユーモアが漂うのがいい。時代を感じさせはするものの、決してマイナスイメージではなく、それがいい持ち味になっている感じ。奇抜な発想による物語の面白さ、予測不可能なひねりのきいたストーリ、そしてオチの切れ味の鋭さは、この作品集でも健在。堪能しました。 よくまあ、こんなにバリエーションがあったもんだなと感心させられる「妻(夫)殺しを企む夫(妻)」はこの作品集にも収録。つい引き込まれて、スリリングな対決の行く末を見守ってしまったわ。「いまから十分間」の爆弾を持ち歩く男の真意にもビックリ仰天。「ヒッチコック劇場」でドラマ化されたのだとか。ぜひ見てみたいなー。「三階のクローゼット」の現代にも通じる内向性にしんみりし、「カーデュラ野球場へ行く」が、とぼけた味わいでありながら秀逸なダイイングメッセージものだったことに驚いたんでした。 「待ってました!」の迷探偵ターンバックル部長刑事ものが5編収録されていたのも、読み応え満点で、ファンにはたまりませーん。「二十三個の茶色の紙袋」の強引すぎるほど強引な推理に、いきなり驚く。まるで真相の方を、推理に引き寄せちゃってるかのように見えるんですが(汗)。秀逸だったのは、100年近く前に起こった大昔の未解決事件の真相を突きつめる「グリッグスビー文書」。入れ子になっている物語時代の構造の面白さ、意外な真相もさることながら、ターンバックル部長刑事の冴え渡る名探偵ぶりに惚れ惚れしちゃう(笑)。ま、最後はやっぱりターンバックル部長刑事で、トホホなんですけど(笑)。 年に一度でもいいから、こうして作品が読めるのは嬉しい。来年にも期待してまーす!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「年に一度のお楽しみ状態なんですが」
      と書かれているのが2007年、そんな前からブクログってあったんですね、、、
      まぁ、それは別の話として
      ...
      「年に一度のお楽しみ状態なんですが」
      と書かれているのが2007年、そんな前からブクログってあったんですね、、、
      まぁ、それは別の話として
      ジャック・リッチーは面白いですよね、比較する対象じゃないかも知れませんが、スタンリイ・エリンやヘンリイ・スレッサーと同じくらい好きです!
      2012/09/18
    • 黒百合お七さん
      >nyancomaruさん

      昔の本の感想は、
      WEB本の雑誌で以前提供してた「たなぞう」閉鎖に伴い
      ブクログに引越しさせたものなんです。
      ...
      >nyancomaruさん

      昔の本の感想は、
      WEB本の雑誌で以前提供してた「たなぞう」閉鎖に伴い
      ブクログに引越しさせたものなんです。

      リッチー面白いですね!
      読んで何で今まで知らなかったんだろうと
      いかに自分の世界が狭かったのか、思い知らされました~
      2012/10/04
  • 「カーデュラ探偵社」と同じ作者だったので。

    いつものごとく面白かったが、
    残念なのはすでに読んだことのあるカーデュラ探偵社の話が
    含まれていたこと。

    本のタイトルでもある「ダイヤルAを回せ」は警部より早く、
    被害者の関係者(容疑者たちともいう)が犯人を導き出してしまうところが
    面白かった。

    印象的だったのは「三階のクローゼット」。
    大きな屋敷の主人が旅行中に家政婦が死んでいた。
    ところが屋敷を調べてみると、旅行中のはずの主人が閉じこめられていた。
    警察一家で育った刑事はその主人の話の真実を突き止めて、どうしたか。
    同じ作者の別の話、ある店の屋根裏に住み着く男の話にも通じる、
    閉鎖的な空間や世界を好む人物になぜか共感を感じる。

  •  ジャック・リッチーの短編集。ほんとこの人の短編はおもしろい。才能ある。前半のよりそのあとのカーデュラもの、それより後半のターンバックルものとだんだんおもしろくなる。何がどうってことないんだけど気が利いておかしみがあるんだよな。短編ミステリの鑑だな。

  • ジャック・リッチーの短篇集。
    ひとつひとつどう展開されるのかワクワクしました。
    こんな楽しい推理小説があるなんて!
    また他の作品も読んでみたいです。

  • ジャック・リッチーらしいひねりの効いた短編が揃っている。後半に、シリーズ作品であるカーデュラものとターンバックルものが置かれているが、今回は、おなじみでない登場人物の作品の方にスリリングというか、展開が面白いものが多かったように思う。特に、妻に雇われた殺し屋に銃を突き付けられながら言葉巧みに逃れて反転攻勢に出る「動かぬ証拠」が、短い中に機転のエッセンスが凝縮されていて秀逸だった。また、夫婦がお互いに相手を亡きものにしようとするスリリングな「フェアプレイ」もジャック・リッチーらしい小品でおすすめ。

  • ジャック・リッチー二作目。短編で読みやすいし、面白い!キャラクターもユーモアがあっていい。

  • ひねりの利いた短編ミステリ。殺し屋がひんぱんに登場したり、夫婦間のトラブルがテーマだったりというベタな設定であるが、そのおかげで、いい意味で作り物めいた楽しさがある。間違っても、読後気が滅入ったりしない。人がミステリ短編を読むのは、こういう話に出会いたいからだ!少なくとも私はそうだ。
    シリーズ物とノンシリーズ物が両方含まれている。暴走気味のターンバックル刑事シリーズがお気に入り。

  • ヒッチコックの某映画とは全く関係の無い小説。ヘンリー・ターンバックル部長刑事のシリーズが石動戯作っぽくて良かった

  • 読んだ時の精神状態が悪かったせいで1度目じゃわけがわからないのが1/4ほどだったが、解説読んだ後だとわかった。

    エドワード・D・ホックみたいなノリの短編集。

    殺し屋関連の話が半分。

    金庫にグラス入れる話が一番面白い。今ではありがちに思えるけどね。

  • 大好きです、ジャック・リッチー♪
    読んでいると、最後にはついついニヤッとしてしまう。
    悪人ばかり出てくるのに、読後はスッキリとできる不思議な感じ。

    今回も、とっても楽しませていただきました♪
    もっと訳本が出ればいいのになぁ~…

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著者プロフィール

1922‐1983。ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。1950年代から80年代にかけて《ヒッチコック・マガジン》《マンハント》《EQMM》などの雑誌に、350篇もの作品を発表した短篇ミステリの名手。軽妙なユーモアとツイスト、無駄をそぎ落とした簡潔なスタイルには定評がある。「エミリーがいない」でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀短篇賞を受賞。邦訳短篇集に『クライム・マシン』(晶文社)がある。

「2010年 『カーデュラ探偵社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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