永遠の少年: 『星の王子さま』の深層

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314003964

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  • <span style="color:#0000ff;"> 母親に圧倒されている若者が知の領域に逃げ込むのは、母親が特に単純な地母神タイプで、未発達のアニムスしか持ち合わせていない場合、知的領域まで追ってこられないからである。
     従って、母親には理解できそうもない哲学の議論や本の世界に浸ることが、母親の権力とアニムスの圧力から逃れる、まず手始めの試みだとすれば、これはさほど悲観すべき行為とばかりはいえない。彼らは自分たちだけの小さな世界に引きこもり、他の男性たちと議論を戦わせ、女性には理解が及ぶまいと悦に入る。(略)彼は活気に満ちた行動、すなわち現実という粘土を掴んで新たな方に捏ね上げる男性らしい勇気を放棄して、哲学の世界に逃避する。そのほうがずっと楽だからだ。

     今述べたように、哲学の仮面をかぶった*主知主義の問題点は、それが母親の支配の手を乃ばれる手段でしかなく、しかも実際には、知性が救われただけの不完全なものでしかないというところにあった。

    *感性・情意に認識の起源を求めず,知性ないし精神の思考にこれを求める哲学上の立場。


     つまり、自尊心こそ男性にとって本質的なものであり、それを失うことは深い意味での去勢と同じことになる。
     例えば、ブッシュマンはどんなにいい待遇を受けても、監禁されると衰弱死してしまう。希望を失ったという心理的な原因で死ぬのである。こうして見てくると、人間の男性にとっても自由や自尊心や名誉の感情、またそれと並んである程度の攻撃性や自衛能力はぜひとも必要なものだということがわかる。これは男性の生命力と直結しており、母親によってそれが破壊されると、男性は母親のアニムスの絶好と餌食となるほかないのだ。</span>

     「星の王子様」は作者の”こども”の両価性を描いている、と指摘している。
     わりとその「こどもっぽさ」はマザコンに繋がって著者の点は辛いのだが、私も同感でこの作品を心底好きな人の気持ちはいまいちよくわからない。

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:953||F7
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=37662

    『星の王子さま』を通して大人になれない深層心理を分析する1982年初版のロングセラー。学生さんは夏休みなど長期貸出期間中にじっくり読めるかも?

  • 大学で偶然見つけて借りた。
    いろいろと面白いのだけど、講義形態の唐突な出現にちょっと引っかかった。

  • 60〜
    94
    100〜
    198
    202
    206
    210

  • 星の王子様を心理学的に検証。
    空が好きってそんなに特殊な事態ですかね?

  • サン・テグジュペリとその著書
    「星の王子様さま」を足がかりに、
    人間の心に棲む“永遠の少年”について分析した本。
    「星の王子さま」について
    褒めてあるといった類の本ではないので
    ファンの人は注意したほうがいいと思います。

    ところで、わたしはアルチュール・ランボーや
    リヴァー・フェニックスが好きなのですが、
    その母親との関係、天才的な才能と、
    挫折の人生を鑑みると、彼らはまさに
    永遠の少年そのものだったのではないかと思うのです。

  • 「星の王子さま」の話から、永遠の少年の元型を考察した本。わりとサン・テグジュペリの未発達な側面として厳しい解釈をしていらっしゃいます。<BR><BR>

    なんだか一気に読んでしまった記憶がります。ふむふむ、なるほど、ああそうか。なんて思っていろいろ考えてしまった本。

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