数量化革命

  • 紀伊国屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314009508

作品紹介・あらすじ

ヨーロッパ帝国主義が比類なき成功をおさめたのはなぜか?理由のひとつは、科学革命に先立つ中世・ルネサンス期に、人々の世界観や思考様式が、宗教的なものから普遍的・効率的なものに変化していたことだと著者は言う。数字、機械時計から楽譜、遠近法まで、幅広い分野に目配りしながら、そうした変化をもたらした数量化・視覚化という革命を跡づけてゆく西欧精神史。

感想・レビュー・書評

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  • 考えながら一気に読み進めることができた。

    数量化することで、ものごとを分けて捉えることができる、レゴブロックのように再構築もしやくなる、予測もしやすくなる、とメリットは様々ある。ヨーロッパはそこに先んじて気づき、実装し、世界の支配に成功した。
    その代表格が絵画であり、音楽であり、簿記であると筆者は述べる。視座も含めてとても面白く読めた。ただ東洋的な価値観は押されっぱなしになってきたのだよなあとも思った。

    なお、この構図は今もなお続いている。数量化を強力に押し進めた結果が、0-1のデジタルの世界なのだろう。アメリカのプラットフォーマーの影響力は絶大で、世界中に浸透している。デジタル経済の行き過ぎも指摘されるいま、バランサーとしての東洋的な価値観が出てくるとよいのではないか。

  • [ 内容 ]
    ヨーロッパ帝国主義が比類なき成功をおさめたのはなぜか?
    理由のひとつは、科学革命に先立つ中世・ルネサンス期に、人々の世界観や思考様式が、宗教的なものから普遍的・効率的なものに変化していたことだと著者は言う。
    数字、機械時計から楽譜、遠近法まで、幅広い分野に目配りしながら、そうした変化をもたらした数量化・視覚化という革命を跡づけてゆく西欧精神史。

    [ 目次 ]
    第1部 数量化という革命―汎測量術(パントメトリー)の誕生(数量化するということ;「敬うべきモデル」―旧来の世界像;「数量化」の加速 ほか)
    第2部 視覚化―革命の十分条件(視覚化するということ;音楽;絵画 ほか)
    第3部 エピローグ(「新しいモデル」)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • CA2a

  • 本書の説く数量化の延長に現在のデジタル化がある。

  • 数量化はモデル化であり、解釈する現実から操作する現実へと変革をもたらしたのではないか。

  • 中世の西ヨーロッパで起こった「事象を数量化、視覚化する」という流れについて、さまざまなジャンルから解説している。時計の出現、遠近法と幾何学、音楽と比率、複式簿記の誕生など。今の「当たり前」が生まれる前から産声を上げてよちよち歩きをするまで多くの文献や資料をもとに書かれている。「数量化」という軸を見つけた著者がすごいな。

  • 時々理屈抜きで気になる本がある。例えば私にとってそれは『リスク』や『人類が知っていることすべての短い歴史』だ。本書にも同じ感覚を持っていた。なんだろう、題名と装丁が私好みである。フィーリングといえばよいだろうか。

    肝心の内容も面白い。言い方は悪いが中世までは野蛮とされていた西ヨーロッパ地域が、文化的希薄さを逆手にインド・アラビア数字を取り入れて数量化により飛躍を遂げていく様が叙述されており興味深い。

    暦、機械時計、地図、貨幣、楽譜、遠近法、絵画、複式簿記と、ありとあらゆるものを数量化・視覚化可視化していく貪欲さは、当時抱えていた東洋や中東に対するコンプレックスからなのだろう。

    章ごとの散漫さが多少あり、体系的に理解するには骨が折れるが、題材は非常にチャレンジングで面白い。

  • 西ヨーロッパの帝国主義が世界を席巻し得たのは、事物を数量的に
    把握する世界観が広まったこと=数量化によるものとし、様々な
    ジャンルにおいてその数量化がどのように進んでいったかを記述
    している。

    遠近法によって絵画内の空間が等質化したのと同じようなことが
    音楽や地図・海図、数学や簿記(!)などにおいても起こっていたと
    いうのは実に面白い。

    ただあまりに取り扱う内容が多く、それぞれを記載するだけで終わり
    その先まで踏み込めていないという印象は否めないかな。

  • ヨーロッパ帝国主義が世界の覇権を握った理由を中世・ルネッサンス期に人々の世界観や思考様式の変化に求める本。
    西欧史、西欧精神史といった内容。

    物事を厳格に観測しようとしたら数値化が必要になってくるが、数量化という概念が発達したのは宗教と商売からというのが面白い。
    とくに宗教は妨げともなってたりするし、論理的な考え方がゆえに大問題になってたりと影響は大きかったようだ。
    儀式がゆえに正確な時間が求められ、数学的な正確さと今までとの整合性のどちらをとるかといった葛藤が起きる思考様式的背景は興味深い。
    日本なんて暦の調整はうるう月、ある年だけ一ヶ月多くなるとかでしたから大きな違いを感じる。

    筆者は大きな変換点、数量化革命の十分条件を「可視化」としている。
    単なる数値化は世界のいたるところで程度の差はあれ存在していたが、
    目に見えないものを見えるようにする、まさに神の視点を手にする行為ともいえる可視化、そして可視化による数量化の概念がさらに広まり世界は変わる。その変化はまさに革命と呼ぶに相応しいものと思われる。

    西欧史、人類史の見方の一つとしては抑えておきたい考え方と思うが、主題が多くの人々の考え方の変遷をあつかうものであり、扱う範囲も広く、理解が難しいと感じるものが多かった。

  • 130421中央図書館

    原題はThe Measure of Reality。中世にスコラ哲学でその萌芽を見てはいたが、13世紀中ごろに、西ヨーロッパは数量化と視覚化の技法を急激に定着させていった。そのアウトプットが、時計、地図、数学、音楽、絵画(遠近法)に発散し、それぞれが相まって、能率の悪い「定性的記述と創造」を超えて現実世界を記述、統御するパワーに転化していったのだ。という内容。

    邦題は「数量化」だったので、もう少し「数学基礎論と計測の再結合のきっかけ・・」といった数学基礎的な解説本かと思ったが、内容はほぼルネッサンス技術史のエッセンスに近い。

    第1部 数量化という革命−−汎測量術(パントメトリー)の誕生
     第1章 数量化するということ
     第2章 「敬うべきモデル」−−旧来の世界像
     第3章 「数量化」の加速
     第4章 時間−−機械時計と暦
     第5章 空間−−地図・海図と天文学
     第6章 数学
    第2部 視覚化−−革命の十分条件
     第7章 視覚化するということ
     第8章 音楽
     第9章 絵画
     第10章 簿記
    第3部 エピローグ
     第11章 「新しいモデル」

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