父が息子に語るマクロ経済学

著者 :
  • 勁草書房
3.28
  • (3)
  • (6)
  • (12)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 186
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326504008

作品紹介・あらすじ

著者の思い:第1に、大学で勉強することの大切さを具体例をもって語る。第2に、大学で学ぶには「一を聞いて十を知る」ような賢さではなくて「一を聞いて十繰り返す」ような根気が必要。第3に、歴史の中で現代の経済社会を見つめる癖をつけてほしいという願い。第4に、未来に向かってどのような可能性が私たちの社会に開かれているのかを見つめてほしいという思い。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とある父親と大学生の息子の対話に仮託して、経済学者である筆者が若い読者を対象に経済学の手ほどきをする一冊です。親子の会話をベースにしているので表現が柔らかくて読みやすく、また一つ一つ丁寧に説明が施されています。書籍の中で父親は「過去、現在、未来」といった時間概念の中で経済を捉えることを重視し、また登場する息子は父親に対して遠慮なく質問をすることで読者の疑念を限りなく払拭し、経済学の話を聞く中で鋭い考察や指摘も行うことで聞き手として父親の講義の進行の手助けをする役割も担っています。経済学を学ぶ際に複雑な数式や抽象概念の多さに嫌気がさして苦手意識を持つ人が多いと思いますが本書では数式は分かりやすく整理し、また具体的要素から抽象概念も細かく説明しているので、経済学を学びたいけど難しそうで取り組めてない人にこそ読んでいただきたいです。また経済学の基礎を教えるだけでなく、大学の学問全般において重要な「根気よく学ぶ姿勢」についても説かれているので今一度、大学における自分の勉強姿勢を見直す良い機会になりました。
    (文科Ⅲ類・1年)

    【学内URL】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000016936

    【学外からの利用方法】
    https://www.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/gacos/faq/gakugai.html

  • 難しすぎて理解できない

  • 2015.3.28

  • ついてくのでやっとだけど、良いのは良い。違和感を覚える箇所もあるものの、反論はするには力不足という感じ。適切な資本蓄積の水準ってどんなもんなのか。一国全体としては、資本蓄積は十分であり、消費に回すべき水準であると認知したとして、それをいかにして実現すべきか。市場に任せてていけるのだろうか… 消費を拡大させるしかないから賃上げ、とかできるのか。
    とりあえず、デフレーター、シラー式PERなどを定点観測するだけでも投資にも効くし、経済情勢の見通しも良くなりそう。

  • 毎日新聞書評欄で上がっていたのでつい。思ったよりもちゃんと講義してて驚いた。立派な息子さんですわ・・・じゃない、読むには多少頭を使う感じです。

  • ここまで数式が容赦なく出てくる経済学の本を読むのは初めて。ただ、微積分までは(多少はあるが)出てこないので、私のような大学入試以来数学にノータッチの純文系でも議論の流れを追うことは十分可能。

    一般モデルの構築の後、実際のデータで検証することの繰り返しで各章が構成されていて、例えば4章では交易条件の変化がGDPに与える影響をモデル化した後、実際のGDP統計と交易条件統計を検討することで日本の抱える問題点が炙り出される仕組みになっている(個人的には、この第4章と終章は是非多くの人に読んで欲しい。円安で輸出が増えるとハッピー、と盲目的に信じ込んでいる人が多いようだが、それは国内での生産に供される労働や資本に見合わない大安売りを日本が強いられていることを意味している可能性がある。決して手放しで喜べる類の事態ではない)。

    本書の「現在の経済の姿は将来の経済の姿を反映する鏡である」との主張は、資産評価や企業評価に親しんだ者からすれば当然のアイディアではあるけど、これが実際に国債償還が果たして可能かという問題(本書では実質成長率が実質金利を未来永劫上回るという、極めてrosyな前提を置かねば返済不能であることが示される)に適用されるのを目の当たりにし、改めて暗澹たる気分にさせられた。

    数式で考えると論点が明確になることを、改めて認識させてくれた。今後も何度も読み返すことになるだろう、自分にとっての今年最大の収穫。

  • 東2法経図・開架 331A/Sa25c//K

  • 朝日オススメ

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1960年愛知県生まれ。1983年京都大学経済学部卒業。1992年マサチューセッツ工科大学経済学部博士課程修了(Ph.D.)。住友信託銀行調査部、ブリティッシュコロンビア大学経済学部助教授、京都大学経済学部助教授、大阪大学経済学研究科助教授、一橋大学経済学研究科教授などを経て、2019年より名古屋大学大学院経済学研究科教授。
日本経済学会・石川賞(2007年)、全国銀行学術研究振興財団賞(2010年)、紫綬褒章(2014年春)。

著書
『新しいマクロ経済学』(有斐閣、1996年、新版2006年)
『金融技術の考え方・使い方』(有斐閣、2000年、日経・経済図書文化賞)
『資産価値とマクロ経済』(日本経済新聞出版社、2007年、毎日新聞社エコノミスト賞)
『原発危機の経済学』(日本評論社、2011年、石橋湛山賞)
『震災復興の政治経済学』(日本評論社、2015年)
『危機の領域』(勁草書房、2018年)
Strong Money Demand in Financing War and Peace(Springer, 2021年)他

「2023年 『財政規律とマクロ経済』 で使われていた紹介文から引用しています。」

齊藤誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×