鉄道ミステリーの系譜 - シャーロック・ホームズから十津川警部まで (交通新聞社新書102)
- 交通新聞社 (2016年10月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784330698168
作品紹介・あらすじ
本書は、19世紀のイギリスから昭和の日本まで、時代を追いながら、近現代推理小説の名手たちとその作品群を、「鉄道」をキーワードに読み解こうと試みる一冊。
その過程においては、国や時代を超えて与えた作家間の影響を垣間見ることができる。
ミステリーファンや鉄道好きの方々はもちろん、「鉄道推理小説」のブックガイドとしても楽しめる内容。
感想・レビュー・書評
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探偵小説の萌芽期からの発展には、鉄道も関わってきた。
海外と日本の鉄道ミステリーを紹介する。
第1部 探偵小説の萌芽と日本における発展
第1章 「探偵小説」の時代
第2章 探偵小説から推理小説へ
第2部 世相や社会を映す鉄道ミステリー
第1章 推理小説の中の鉄道ミステリー
第2章 草創期のイギリスの鉄道ミステリー
第3章 江戸川乱歩と同時代の作家たち
第4章 焦土のなかで再び芽を出した鉄道ミステリー
第5章 鉄道黄金時代と符節を合わせて発展した鉄道ミステリー
第6章 日本の鉄道ミステリーを支える国鉄の定刻運転
第7章 終焉の時を迎えた国鉄と昭和天皇の崩御
参考文献、索引(五十音順)有り。
海外での、探偵小説の始まりと流行になった作家&作品。
日本では明治期、翻訳物から始まり、萌芽と興隆、低迷期、
活況と、時代の中での変遷。戦後、探偵小説は推理小説に。
推理小説の二大大賞の受賞者と作品、受賞者以外の輝く
作家たちについて。と、ざっとミステリーの歴史を纏める。
ん、これだけでもなかなか興味深い内容です。
そしていよいよ、本題の鉄道ミステリーへ。
鉄道ミステリーの作家と作品のあらすじの紹介で、
当時の鉄道事情や時代の変遷世相、社会を織り込んでの解説。
イギリスでは創世期の作家、主にクロフツとクリスティー。
メインは日本。
戦前、戦後の国鉄の復旧、黄金時代と凋落と終焉、JRへ。
舞台は客車、寝台車だけでなく、機関車や貨物車、トンネル、
手小荷物扱所、操車場、駅、踏切、線路など。
登場するのは乗客の他、車掌、機関手や線路工夫、鉄道公安官。
小道具やヒントとしての、切符や時刻表。
江戸川乱歩、横溝正史、島田一男、鮎川哲也、松本清張、
森村誠一、斎藤栄、辻真先、西村京太郎等の代表的な作家たち。
知らなかった作家、未読の作品のあらすじの紹介は、
読みたい気分に誘ってくれます。どれも面白そうな予感?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホームズが好き➕子供がテツのため興味を持って読んでみました。
鉄道ミステリーと鉄道がどのように関わって現在に至ったか流れがわかりまた違った視点からミステリーを読むのが楽しみになりました。 -
知らない巨匠がほとんど。辻真先氏と斎藤栄氏挑戦してみようかな。
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ミステリー小説であれば数も多けれど、こと「鉄道」に特化したものとなると、あまり多くない印象があります。本書は「鉄道ミステリー」と謳っていますが、ミステリー小説が書かれた経緯が時代を追って羅列されてあり、最近の小説家しか知らない人には、また違う意味で楽しめるかと思います。日本以外に外国の小説家の事も挙げてあり、これはこれで為になりました。逆に、もっと鉄道ミステリーの系譜が深く分かるかと思いましたが、その点は少し物足りない印象が。