チョムスキー入門 生成文法の謎を解く (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033446

作品紹介・あらすじ

「言語学の巨人」の難解な理論を、"マチケン"先生が分かりやすく丁寧に解説。「抽象的思考力」を身につけるための一冊。

感想・レビュー・書評

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  • うーん、著者のスタンスとして反証を適宜提示していくのはもちろんいいのだけれど、入門と銘打ったからには基本的な理論の説明を丁寧に積み上げていって欲しかったな。タイトルと内容の不一致から求めているものとのミスマッチ感がある。ミニマリスト・プログラムの話で終わったけど、どういう帰結に行きたいのか不明瞭な尻切れトンボな幕切れだし。

    著者はソシュール派ということで、ソシュール関連の著作を読んでみようかな。

  • 38770

  • 同著者のソシュール入門を読んだ後に本書を手に取ったが、両著書を通して読むとソシュールの学説に対する肯定的態度とチョムスキーの学説に対する否定的態度が顕著に表れていて、入門と言うには少し灰汁が強すぎる。
    両著書共に、いきなり著者の意見が混ざりこんでくるため、どれが誰の意見なのか混乱する。

  • 「科学としての言語学」を厳格に掲げる立場から、チョムスキーの生成文法を批判的に解説している本です。

    生成文法の理論の変遷を簡潔にたどっていく形で説明がなされているのですが、そのたびに著者によるほぼ同趣旨の批判が繰り返されるので、若干うんざりさせられますが、批判の内容に関してはそれなりに納得できるものではないかと思います。著者自身が「科学としての言語学」としてどのような内容がふさわしいと考えているのかまったく知らないのですが、認知的なシステムの裏付けがないところで恣意的に統語論的な枠組みを想定するのは、やはり問題が大きいのではないかという気がしました。

    とはいえ、本書のように著者自身の立場を鮮明に押し出した内容の本に、「チョムスキー入門」というタイトルを付すことには、やはり疑問なしとしません。「20世紀思想家文庫」というシリーズの一冊として刊行された田中克彦の『チョムスキー』も、イデオロギー的な批判に終始しており、どうも生成文法は一般の読者にも手に取りやすい入門書に恵まれていないのではないか、という気がします。

  • ある種の正しい意味での「入門」。
    理論の紹介をしつつ、休む間も無く批判を加える。そして、生成文法論への批判と今後への憂いとも見えるコメントで筆を置く。
    さらっと理論を知る、といった意味の「入門」ではなく、批判的な態度を持ちつつ議論の輪の中に入るという意味での「入門」の本。
    憎さ余って…で理論をくさしまくってる本、と読んでしまうと面白くないかもしれない。学問的態度で向き合うことを、この本は要求している。

  • 学部の時に取ってた言語学の授業で、ひたすら樹系図みたいの書かされたのはこういう訳だったのかーと納得。
    でもまるっきり入門者には、一つ一つの解説は納得できても、全体として何をしたいのかは分かるような分からないような…

  • きたる3月5-6日(2014年)にチョムスキー来日講演が上智大学で行われる。
    チョムスキーが偉人であることは知っているのだけども、結局何を説いているのかはよくわからないので、手に取った1冊。


    チョムスキーが解き明かしている生成文法について、ざっくりと解説されている。
    やや難しい部分あるけども、概要は何となくわかった。

    ところどころ(というか、頻繁に)チョムスキーに対する批判的意見が差し込まれているので、頭を切り替えるのが難しい。
    正直、後半にはウンザリしてきた。

    もっとスッキリとまとめて、くれないと、チョムスキーの入門書なのだか批判書なのだかよくわからない。
    てことで、他書をあたってみたい(ググって終いにしておくか・・・)。

    ----------------
    【内容(amazonより)】
    本書は、アメリカの言語学者ノーム・チョムスキーが創り上げ、そして発展させた「生成文法」という文法理論の基礎を解説し、その価値と問題点の両方を明らかにしようとするものです。生成文法は、独自の用語を使って独自の道具立てに基づきながらコトバを分析するため、初めてこれに接する人は、まるで数学の論文を読むかのように、ひどく難解な理論のように思ってしまいます。もちろん、専門的な論文を読む場合には、他のどの分野の学問でも多かれ少なかれそうであるように、ある程度は難解な部分もあります。本書はできるだけ平易な英文を題材にして、生成文法でとられている考え方の基本を、できるだけ丁寧に解説します。
    ———————
    【目次】
    まえがき
    第1章 文の構造を分析する
    ・「文法」とは何か
    ・語順の決まり
     ほか

    第2章 生成文法とは何か
    ・生成文法の登場
    ・文の構造を表す方法
     ほか

    第3章 深層構造と表層構造
    ・句構造規則は単純な方がいいのか
    ・句構造規則を超える―深層構造の登場
     ほか

    第4章 普遍文法を追究する
    ・生成文法と主語、目的語
    ・普遍文法を仮定する
     ほか
    牽引
    ————————

  •  深層構造と表層構造の関連、理論化の矛盾など、生成文法を批判的に解説。現代言語学の祖はソシュールといわれています。その研究の第一人者である著者が生成文法を「外」の視点から解説します。ちなみに、生成文法は今でも(?)現代言語学の主流です。私は個人的には無理があると思うのですが・・・。言語学の世界は1980年代から「認知言語学」という分野が生まれ、発展してきています。私はこちらを勉強しました。

  • [ 内容 ]
    「言語学の巨人」の難解な理論を、“マチケン”先生が分かりやすく丁寧に解説。
    「抽象的思考力」を身につけるための一冊。

    [ 目次 ]
    第1章 文の構造を分析する(「文法」とは何か 語順の決まり ほか)
    第2章 生成文法とは何か(生成文法の登場 文の構造を表す方法 ほか)
    第3章 深層構造と表層構造(句構造規則は単純な方がいいのか 句構造規則を超える―深層構造の登場 ほか)
    第4章 普遍文法を追究する(生成文法と主語、目的語 普遍文法を仮定する ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 生成文法について、その問題点を述べつつ解説した本。

    大学で生成文法"も"専攻してたんですが、
    その時の教材みたいに「生成文法とはこういうものだから~~」という一方的なモノより、
    この本のように問題点を提示してくれる方が学習にはいいと思った。

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著者プロフィール

1957年福岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。
現在、名古屋大学教授。専門は言語学。
著書『言語学が好きになる本』『生成文法がわかる本』『日本語のしくみがわかる本』(以上、研究社)
『チョムスキー入門』『ソシュール入門』(以上、光文社新書)『言語世界地図』(新潮新書)ほか。
フジテレビのクイズ番組「タモリのジャポニカロゴス」に解説者としてレギュラー出演

「2009年 『変わる日本語その感性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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