- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334038588
感想・レビュー・書評
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2017 5 6
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組織開発というのは、考え方であると同時にスキルでもある。考え方を身につけておかなければならないのだけれども、何かを実現するためには、そのためのスキルが必須という意味。
組織開発を人に教えられる専門家、すなわち、考え方もスキルも身につけている人は日本には少ないのだと思うが、中村先生はその数少ない専門家のお一人。 -
良書、再読
個人、グループ、グループ間、組織全体
・戦略的な諸問題
・人材マネジメントの諸問題
・技術構造的な諸問題
・ヒューマンプロセスの諸問題 -
個に焦点をあてた人材育成で組織を活性化するには限界がある。だからこそ、ではどうしたら組織は活性化できるのか、組織開発(OD)のこれまでの歴史や国内外の動向、理論と具体的事例から、コンパクトにわかりやすく俯瞰した良書です。
これまで組織開発の関連書籍は数多く出版されていますが、海外に偏っていて日本での適用可能性がわからなかったり、一手法の説明に特化していて組織開発全体をザックリ把握することがなかなか難しかったので、TグループからAIまで網羅した本書は組織開発の入り口あるいは復習に、とても役に立つと感じます。
企業経営者、人事部門関係者、組織を扱うコンサルタントにオススメです。 -
組織のソフト面に焦点を合わせる「組織開発」の入門書。入門書とはいえ、組織の基本構成など主要なキーワードが網羅されており、とりあえず手に取る一冊としては最適
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組織開発は、組織とはニンゲンがつくっているのであり、
組織の目標を明確化しながら、ニンゲンの尊厳を守りながら
すすめることが 何よりも大切である。
マネジメントは『経済的な価値と人間尊重の価値』
『ニンゲンは意思や感情を持っています。仕事の意味を考えて腹落ちすることで、内発的な動議づけが高まり、その仕事に活き活きと取り組むことができるようになる。』
会議を行なうのは、
①創造的思考
②チーム学習
③将来のビジョンや目標の合意。
の 三つの点を 確保しなければならない。
時代の急速な変化の中で、
『指示伝達型のスタイル』では、古い方法になっている。
そのなかで、『同時最適解を得ること。』がポイントだ。
人材開発とともに 組織開発が 必要だと思った。
職場が 活き活きと 働きがいのある場所にすることが、
ひとつの目標となる。 -
活き活きとした職場の作り方入門
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アメリカで1980年代中盤にEAP(従業員支援プログラム)の個人レベルでの働きかけがメンタルヘルスにあまり奏功しなかった、というのが興味深かった。
組織レベルでの働きかけも大事なのだけれど、実際の対策として取り上げられているのはコミュニケーションの活性化。
コミュニケーションは確かに二人以上の集団だったらどこでもネックになる可能性はとても大きいから、そうなるとそこ全体にコミュニケーションを促すよう働きかけた方が、うん、まあいいんだろうなぁ。
・経済が右肩上がりの時代であれば、成績がよい人の給料をどんどん上げることができるかもしれません。しかし、現代のような経済が停滞している時代には、それも難しいでしょう。また、直接的に利益を生み出さない経理や人事、総務などの管理部門は、客観的に目に見える成績によって給与を上げるという、外発的動機づけによるマネジメントは難しくなります。
・部門や部署の数値目標というのは、経営層か経営企画から降りてくることが多いと思います。しかし、部署に降りてきた数値目標について、上司はその意味を伝えているでしょうか。事業を展開することが誰にどのような価値をもたらし、社会や顧客にとってどのような意味があり 、どのように取り組まれることによってその数値目標を達成していくのかという意味やストーリーを上司は語っているでしょうか。
・上司が数値目標を伝え、部下に結果の数値を報告させ、上司が叱咤激励をする、というコミュニケーションはなぜ行われやすいのでしょうか。それは、数値は明快で客観的、説得性があるので、マネジメントも楽になるからです。
心理学では「認知的ケチ(認知的倹約家)」と呼ばれる現象が起こることが知られています。
これは、人が何らかの認知や情報処理をしようとする場合、複雑で難しい認知的処理よりも、エネルギーをかけずに単純で簡単な認知的処理と判断を行う傾向がある、という現象を指しています。数値によるマネジメントは楽で反論が起きにくく、議 論も必要がないので、「認知的ケチ」に最適な方略です。
・現代は個業化が進む環境要因が多いので、関係性に対するマネジメントを何もしなければ、自然に個業化に向かっていきます。そして、職場が個業的な関係になっているか、協働的な関係になっているかは、会社の風土や、職場のマネージャーのスタイルや姿勢が大きく影響します。そして、個業化した状態で個人の容量を超えた仕事をこなす状態が長期的に続き、上司や他のメンバーからの心理的サポートを受けることができない場合、うつなどのメンタルヘルスの問題が起こる可能性が高まります。
・2013年に関西生産性本部の主催で「訪米組織開発調査団」のコーディネーターとしてアメリカに行き、組織開発を実践している組織を訪問し た際、ジョンズ・ホプキンス大学の組織開発部門の担当者から興味深い話を聞きました。
その担当者は、組織開発の部門が設置された経緯について話してくれたのですが、組織の中でメンタルヘルスの問題が多かったために、1980年代中盤にEAP(従業員支援プログラム)を導入し、カウンセリングなどによって個人の心の健康の問題に対して支援を行ったそうです。
しかし、EAPを導入してもメンタルヘルスの問題は改善されず、その過程で、個人レベルのメンタルヘルスの問題はグループや組織のレベルで起こっている問題に起因している場合が多いことがわかってきたということでした。
つまり、EAPは個人レベルに働きかける手法ですが、そのときにグループや組織全体のシステムのレベルにも働きかける必 要性が理解され、組織開発の部門が設置されたというわけです。
・綱引きの綱を引き、壁の向こうでその力が計測できるようになっていたとします。A君、Bさん、C君の3人について、まず個人で引く力が計測されました。A君が1人で引っ張ると50でした。Bさんは40、C君は60でした。つまり、3人で同時に綱を引いた場合の潜在的生産性は150と見積もることができます。
しかし、3人で実際に綱を引いた場合、生産性が120と計測されたとします。このように、複数で綱を引くと欠損プロセスによるロスが生じるわけですが、このロスはどのようなプロセスで生じるのでしょうか。
たとえば、自分自身の力が個別に測定されているわけではないので手を抜く、ということが起こります。また、引っ張るタイミングも 影響し、3人が全力で引くタイミングが同時でないと150にはなりません。さらに、綱を引く方法や角度が少しでも違うとロスが生じます。
…なお、スタイナーはその後、「プロセス・ロス」だけではなく、「プロセス・ゲイン」も起こることを主張しました。
・「社会関係資本」という考え方があります。これは、コミュニティや組織の中の信頼関係やお互いの間のネットワーク、助け合いの規範という関係性を資本と捉えるものです。社会関係資本は、その形成に投資しないと目減りするとされています。