心臓と左手 座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334076610

感想・レビュー・書評

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  • 座間味くんシリーズの第2弾。那覇空港でのハイジャック事件後、事件に関係していた大迫警視と座間味くんは時々酒を酌み交わし、大迫警視の記憶に残る事件について語り合っていた(実際にはありえんだろうと思うけどww)警察側からの見解で処理された事件も、座間味くんの視点からだと別の顔を持つ。へ~と思うような発想もあれば、ちょっとこじつけっぽいような印象を持つものもあったけど、見方を変えるっていう部分では面白かった。でも実際に、警察の偏った見方だけで事件解決として処理しているとしたらそれはちょっと恐ろしい。
    最後の「再会」でハイジャック事件の人質だった玉城聖子と座間味くんが再会する。聖子は柿崎の人質だった子だから、最後の最後に座間味くんに命を救われた子か。座間味くんがテグスを巻き付け助けなかったら命はなかった・・・。今の聖子は家庭環境も良くなく、不幸せだけど今後どうなるのかな?そして、聖子の遠い記憶の中で頭をなぜてもらった温かい手、その時に心の中に入ってきた愛・・・って石嶺の事だよね。やっぱり本物だったのか・・・。続編が楽しみ。

  • 「月の扉」の座間味くんの後日談と言うか、座間味くんを主人公にした安楽椅子物。
    本格的な推理を求める人には、物足りないけど、座間味くんの飄々とした性格が、健在で、何とも読んだ後にあったかい気持ちになれました。

  • 座間味くんシリーズを逆から読んで、これが3つ目。テンポよく読めて、なるほどとなる。ただし、突っ込みどころ満載で、なんでそんな風に推測できるの?って展開もあるが、面白いので良しとする。

  • 2016年5月20日読了。過去に発生したハイジャック事件に関った「座間味くん」に飲み屋で過去の事件を語る大迫警部。座間味くんの思考により事件の思いがけぬ側面が明らかになり・・・。話の内容だけをヒントに表明する「違和感」とその結論には表題作のように猟奇的な色合いを持つものやヒヤリとさせられるものも多く、かつ真相は分かり過ぎないがかといって「ありえねー」というわけでもないフェアなもので、著者の技巧の高さが感じられる。「自殺」とか「事故」で済ませられる実際の事件にも、裏には数々の人間の打算や思惑、愛憎などが絡んでいたのかもしれない・・・が、少ない手がかりで他者が推理する限りは、いくらでも想像を広げる余地があるもの・唯一の真実と言うものは本当にありうるのだろうか?という気もしてくる。

  • お決まりの出だしに癒され毎回の食事が楽しみで最後のオチに頭をひねる... の繰り返しが心地いいんだな。

  • 「月の扉」に出ていた座間味くんの安楽椅子探偵?のような短編集。
    そろぞれの作品の推理に、ほほぅと思ってそれなりに楽しめたが、毎回どこかで食事しながらの推理なので、読後はお腹がすいてしょうがない。

  • 変わらず面白い短編集!

  • 石持浅海の小説でしばしばモヤッ、いらっとするのは、頭いい頭いいと評されている推理者の推理が大したことないということ。例えばこの本でいえば「地下のビール工場」なんか特に、まず思い浮かぶのは、社長は自ら何かを製造しようとしていたのではないか、ということで、いくら密告が違法貿易だったからといって、現にタンクを使って自ら醸造(?)しているのを目の当たりにして、なお、違法な輸出のことしか思い至らないなんて、警察バカすぎるし、違法な物を製造していた可能性に言及されて「ふわりと視界が揺れた」ほどの「衝撃」を受けてしまう大迫警視は、ワトソン役にしてもオバカ度が過ぎる(そんなのがテロや過激派担当の警視なんですぜ^^;)。さらに、その指摘に納得した後、醸造物(?)をテキトーに廃棄したことにヒヤリとしないなんて、マトモに社会でシゴトしているとは思えんよ。いくらワトソンをサゲて“名探偵”をアゲるのが常套とはいえ、サゲすぎると、“名探偵”の頭脳も大したことないように思わせて逆効果ですよ、石持先生。

  • 座間味くんシリーズ第二弾。
    「貧者の軍隊」「心臓と左手」「罠の名前」「水際で防ぐ」「地下のビール工場」「沖縄心中」「再会」の7編。

    シリーズ三本読んで、一、二を再読した。

    座間味くんと大迫警視が偶然再会し飲み友達になって、終わった事件の概要を伝えて座間味くんが真相を推理する、安楽椅子探偵もの。
    ヒントは十分に出ているので、座間味くんと読者にも同じ推理をすることが可能。ぜひチャレンジしてほしい。


    座間味くんの子供がついに幼稚園との記述。そしてたぶん事件の11年後である「再会」の頃は小学生か。
    感慨深い。

  • 座間味くんシリーズの2作目。『玩具店の英雄』と同じく新宿の書店→飯屋で推理という流れ。事件現場以外で推理するのを安楽椅子探偵と呼ぶらしい。
    科学警察研究所の津久井操は3作目からの登場で、今作には登場しない。大迫警視とのサシでの飲みである。3作目に比べて結構無理のある話が多かった。あるいは警察がさすがに注意力がなさすぎる話。
    表題作の『心臓と左手』だけが少し良いといったところ。あまり気分の良い話ではないことに加え、最後座間味くんが大迫警視を呼び止めるセリフにいまいちキレがない。
    先に3作目を読んだからかちょっと物足りない感じがした。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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