- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334724436
感想・レビュー・書評
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会社の上司から、無理やり読まされたのですが、予想以上に面白かった。
鮫島警部が好きになってしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いやあ、もう面白かった、としかいえん!
まずね、キャラクターが恐ろしく素晴らしい。
大きく出ると、これはキャラ命の小説であって、ストーリー的にはなんぼのもんでもないと思うんです。
いや、ごめんなさい。……でも、そうだと思ってます、勝手に。
とりあえず、あらすじとしてはこんな感じ。
「新宿署で働く孤立無援の刑事、鮫島。あるとき、彼の属する新宿歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺される事件が起きた。待ち受ける巧妙な罠に、鮫島は単身挑み、銃密造の天才・木津を追う」
ストーリー展開的には 「拳銃密売犯を追う防犯課の鮫島警部の捜査活動と、警察官殺害事件を追う捜査本部の活動を、同時進行的に描いて」いってます。(北上氏の解説より抜粋)
また、大きな特徴として、「キャリア」と「ノンキャリア」の警察事情について色濃く書かれています。
だけれど、この話の軸となっているのは拳銃密売の話でも、途中に張り巡らされた推理でもなんでもなくて、「人間」、もしくはそれに付随する「感情」だと思っています。
かといって、そうシリアスなわけでもなく、きちんとハードボイルドアクションもあります。
だがしかし。
なんといっても脇を固める新宿署署長、あだ名は「マンジュウ(隠語で「死体」の意)」の桃井、恋人の晶、警視の香田に犯人の木津、名前のせいで医者になるのをやめた鑑識の藪、誰かが1人いなくてもこの小説は成り立たない! と思えるほどに脇役の皆さんがすげー鮫島を引き立たせている。
だから、面白い!
まるで濃縮された1人の人生を目の前で実際に見せられたのかと思うほど、複雑に絡み合った人間同士の感情の混ざり合いに興奮しました。
途中感じるストーリー的な無茶も作品の色として素晴らしく引き出されていると思います。
だめ、敬愛してるから、何にも言葉が浮かばない。(おい)
それから今回の北上さんの解説はほんとタメになりました。
私はハマルと周りが見えなくなるタイプなので、色んな見方がある、ということを教えられましたし、小説を書く上で大切なことを改めて指摘された感じで、非常に勉強になりました。 -
とにかく有名なシリーズの第一作。やっぱハードボイルドだね。
登場人物すべてが個性的で、舞台が新宿と言うのも鮫島のキャラを活かせる場だなと感じました。
これは現代の刑事ドラマでよく上げられる公安と警視庁の確執などてんこ盛りです。警察用語も多いですが、それを感じさせないくらい手に汗握る展開でした。 -
『新宿鮫』という異名を持ち、やくざなどから恐れられる新宿署刑事・鮫島。
警視庁のキャリア組として出世の道を進んでいくのだが、同期の死についての警察組織にとって消したい重要な情報を握っていることからキャリアの道を外され、新宿署内でも一匹狼として捜査をしている。
警察組織の内情や専門の用語などが多く飛び出し、最初の方を軽く読んでいくにつれ、スピード感が上がっていき非常にのめり込んでテンポ良く最後まで読めてしまった。
自分の好きなハードボイルドの感じとは少し違ったが、これはこれで鮫島や課長桃井がカッコ良くとても面白かった。
そしてラスト1行にグッと来て清々しい気持ちで読み終わった。
これで晶と体の関係が無いか、描写が無ければ自分の中で理想のハードボイルドにもっと近付いただろう。 -
『法に触れるような悪事をして、それでばれなければ、まっとうな人間だと思っているような奴は全部嫌いだ』
犯罪者に音もなく近づき不意に喰らいつく新宿署一匹狼刑事「新宿鮫」こと鮫島の物語。
大沢在昌の代表的人気シリーズ第一作。
周りの署員が連続警官殺しを血眼になって探す中、
一人で銃密造の天才・木津を追い続ける鮫島。
やがてバラバラだった事件が一つに繋がっていく・・・
話のテンポが良く、登場人物も個性的で
とても映像をイメージしやすいエンタテイメント小説です。 -
超有名な本なのに、いままで未読でした。
なんか、男くさすぎるのではないか、やくざっぽいのではないかと思い敬遠していました。
で、読んだ感想ですが、活字よりも映像の方がたぶんいいだろうなーというところです。
主人公鮫島のキャラが立っていたのはすごく良かったです。ただ、電話するだけのエドは邪魔。まあ、ハードボイルドだから、どうでもいい話が出てきても許容はされますが。
時間があれば他の作品も読んでみようと思いました。 -
言わずと知れた国民的ハードボイルドシリーズの一作目。中学生の頃に一回読んでるけど、久しぶりに再読。いや、やっぱ面白いわ。
国産ハードボイルド小説の代名詞ともいえる「新宿鮫」シリーズだけど、原尞とか藤原伊織なんかの小説と比べると、ずっとワイズクラックが少なく、喫茶店+煙草の香り、ってシャレた感じをハードボイルドに期待する向きには向かないかも。ちなみにパズラー的な要素も薄いので、ジャンルとしてはハードサスペンスに分類すべき作品とも思う。
“マンジュウ”こと桃井の存在感が格別。鮫島よりもずっとHB的な人物造形。晶のキャラは・・・いや、わかるけど、周辺のエピソードも含めてチョイと恥ずかしい。花村萬月「ブルース」の綾みたいな若い女の子にしか出しようがない気高さみたいなものが皆無。それに、鮫島が晶の作詞の手伝いしてるとかね、それはやりすぎでしょうよ。もはやダサい。
と、過剰で恥ずかしい部分もありつつ、娯楽小説としての出来はやはり一級品。警察小説としての濃さもしっかりで、未読なら必ずチェックしておくべき作品だと言える。 -
非常によくできた物語だと思った。一気に読んでしまった。
晶という恋人との絡みがどこか引っかかった。ストーリーや登場人物の臭いからは、もっと厳しいストイックな印象を受ける。だが、恋人との関係の部分が妙に甘いのである。それが物語に奥行きを与えているかというと、僕には少し浮いているような感じがした。感じは悪くないんだけど、ちょっとだけ人物が小さくなってしまうような気がする。もっともそれは好みの問題だろうから、そういうムードが好きな人にはそれでかまわないのだろう。それに、そういうことを差し引いて(すごく主観的だけど)考えても、主人公はとっても魅力的である。
物語そのものは、いろんな伏線がするするとひとつにまとまってくるのが心地よい。やや先の展開が読めてしまうかな。タイトルから想像していたよりもずっとさわやかな刑事物で、驚いてしまった。いかにも(いい意味で)テレビの原作的である。これも、もう少し追いかけてみたいシリーズである。 -
どこまでリアルなのかは知りませんが、警察内部の上下関係とかもわかったきになれた。
色々回収しきれてない気もするけど、これは続編への布石なんでしょうね。
アクション要素はあまりなかったです、その点は残念。 -
深く軽快
・警察の官僚機構の葛藤や暗部を生き生きと描き、その大きな
ひずみを一人背負い、犯罪に向かい合う鮫島。
鮫島がキャリアとして採用された設定や上司の桃井の存在も絶妙です。
・物語のスピーディな展開に息をのみます。映画化、テレビドラマ化
と、この世界はどんどん広がっていきそうです。